雑記帳


駒場公園 旧前田侯爵邸
渋谷から井の頭線各駅停車で二駅、駒場東大前で下車。明日から6月という朝の不安定な空模様は昼までもたず、ひとしきりの強い通り雨ののち、穏やかな降りとなった。そのせいか駅から徒歩10分で着く駒場公園東門にはひっそりとした静けさが漂っていた。
駒場公園は「加賀百万石の当主だった旧前田家の前田利為侯爵駒場邸跡」だという。園内には洋風建物の”洋館”と和風の”和館”がある。東門を入ってすぐに和館があり、鬱蒼と茂った大樹の下を回り込んでいくと洋館の正面に出る。チューダー式建築という重厚な建物は部屋数が多く、その部屋がまた大きい。さりとてけばけばしいところがないのは住んでいた人の気品の反映なのだろう。端正かつ典雅。広い窓から外光が注ぐ大食堂など、大きな暖炉の脇に立ってイギリスの古びた短編でも朗読したら似合いそうだ。
旧前田侯爵邸洋館
旧前田侯爵邸洋館
階段脇のステンドグラス
階段脇のステンドグラス
しかし個人的にお気に入りは和館のほう。門を抜けて玄関からあがると広間はすぐ。かなり広い。その広さにまず心がほぐされる。ここには小さいながら木々に覆われた庭園があって、畳の香りに包まれながら縁側に出て眺めれば、梢の下を小さな流れが横切り、大小の灯籠が立つ。奥にはささやかながら滝まであり、響く水音が心地よい。心おきなく腰を下ろし、重なり合う葉群を眺め、蛙の鳴き声まで耳にする。閑けさ横溢。
旧前田侯爵邸和館の門内
旧前田侯爵邸和館の門内
広間より庭園を望む
広間より庭園を望む
訪問客は老若男女みな品よく雰囲気に浸っている。渋谷からそう遠くない距離にこんな場所があったとは。また行きたいところ。
2009/05/31記

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