ある韓国人の歴史評価

産経新聞 2002年3月8日

若手評論家・金完(火言火又)氏「統治評価」の本出版

歴史の評価は日本でなく韓国

慰安婦 当時の現実無視/竹島問題 日韓併合は無関係

【ソウル7日=黒田勝弘】

「日本統治時代はわれわれにとって祝福だった」「日本は(西欧帝国主義と異なり)

植民地を単純に搾取の対象としてではなく、投資や開発、教育を並行し文字通り共存

共栄の政策を行った」「韓国人の反日感情は意図的な歴史歪曲によるものであり、

歴史を歪曲しているのは日本ではなく韓国である」−韓国人自身が日本統治時代の

歴史を肯定的に評価した本が最近、出版され関心を呼んでいる。

「親日派のための弁明」(ソウル・文芸春秋社)と題する評論集で、著者は

ソウル大出身の若手評論家、金完整(火言火又)氏(39)。

日本を一方的に悪者にしてきた過去史にかかわる政府や歴史教科書、マスコミの

公式的な歴史観を全面的に批判している。

著者は出版の動機について、東アジアは協力と共存の新しい時代を迎えつつある

のに韓国では「極右・国粋主義の狂風」が吹いているとし、「破廉恥な歴史歪曲

と反日は結局、韓国という国を東アジアの孤児にする」と述ベ、誇張された数字や

事実歪曲による反日を激しく批判している。

本書は日本の韓国支配について「民衆を抑圧していた古い体制が清算され近代的な

法による統治が実現し、民衆は文明の洗礼を受けより人間的な生活が可能になった」

などと近代化政策を高く評価し、日本支配を受け入れた韓国の選択は正しかったと

断言している。また戦時中のいわゆる従軍慰安婦に関する韓国の非難についても

「(貧困や戦時体制など)当晴の現実を無視した不当な主張であり、人権侵害を

今日の基準で判断して日本を非難するのは不自然」としている。

さらに韓国の国民感情を最も刺激する竹島(韓国名・独島)をめぐる領土間題に

ついても「無主の無人島として日本が1905年に島根県に編入したもので

日韓併合は関係ない」と日本の主張を支持している。

著者は「韓国が文明開化や近代化における日本の責献と成果を無視し、被害者だ

として一方的な主張を続ける限り韓日関係が穏やかになることは難しい」としている。

金氏はこれまで同様の主張をインターネット・サイトで展開し論争を巻き起こしている。

韓国人自身による韓国でのこうした出版は初めてで読者の反応が注目されるが、

今のところ抗議や脅迫はきていないという。

HOME  意見目次