エネルギー・環境に関する選択肢に対する意見
「エネルギー・環境に関する選択肢に対する意見」の募集があったので、ここに述べます。 【匿名】 2012年8月11日
まず第一に、エネルギーと環境だけで議論することに疑問があります。
産業界の経済活動とか多くのところに関連がある。それらも考慮しないといけません。
産業界の意見を聴かずに原発の比率をいくらにしますかというのはどうなのでしょうか。疑問を感じます。
経済への影響などきちんと評価してからにすべきことです。
第二に、上位の戦略(目標)があるはずです。その目標を達するにはどうしたらよいかという視点でエネルギー・環境も考えるべきです
第三、選択肢C(35%)を排除した理由が分からりません。私としては、当初の計画では 26%(2010年)⇒45%(2030年)であるなら、45%という選択肢もあってしかるべきと思います。
なぜ0%と15%と20〜26%に3つに限定するのか。35%なり45%だったらどうだったのでしょうか。
比較のために残しておくべきと思います。あらかじめ排除したことに意図的なものを感じます。
私個人的には30〜35%程度が適当であろうと思います。(特定のエネルギーに集中する危険を避ける)
第四に、これが一番問題なのですが、原発をゼロにしたいという思惑が感じられます。
ゼロシナリオ、良く書き過ぎです。例「他のシナリオと同程度までCO2の排出量を低減する。」
それは、ものすごく困難でしょう。マニフェストにできないことをたくさん挙げたどこかの政党を連想します。
元総理がCO2削減で大幅削減を言ったこととの関連はどうなるのですか。
第五、意見聴取 本当に公平なのか疑問
電力会社の人は除外というのは意図的に操作しようということに思われます。
今は、福島の事故の記憶が大きく影響している時です。平常心が失われている可能性があります。
このような時期に民意を問うことに、特別な意図を感じます。
第六、原発に対する不安は理解しますが、許容できないものか科学的に数値に直して検討すべきです。起きる確率とか考慮すべきです。十分確率が低いなら、利益と勘案して判断すべきと考えます。
福島原発事故で、不安が高まったことは分かりますが、今回の事故の直接の原因である地震・津波は数百年〜千年に一度というものとのことで、想定外はやむを得ないものと思います。
100%安全にしろという要求がもともと無理なのです。現実的に考えるべきです。
100%安全でなければダメという人の言うことを聞いていては世の中進まなくなります。
飛行機事故や交通事故による死亡事故はある程度の確率で起きていますが、多くの人は、だからと言って飛行機に乗らないとか、通りに出ない、車には乗らないなどとは言いません。それよりも、このようなことをしていると、日本の産業が衰退して、会社や工場は外国に出て行って空洞化が進みます。すると日本には、仕事がなくなり失業率が増加します。
賃金は下がり、消費は増えずデフレがどんどん進みます。
ということが見えるからです。
それを避けるためには、電力の安定供給、それも安価に提供することが必要です。
太陽光発電や風力では安定供給は不可能です。これらを維持するには、同じ容量の火力発電をバックアップに持たないといけないと聞いとことがあります。
ドイツは脱原発を進めていますが、ドイツは隣国のフランスから電力を融通してもらえるという事情があります。
日本には、他国から融通してもらえません。
また、ドイツは産業にマイナスの影響が出ているという話もあります。
本当に脱原発でうまくいっているのかよく検証してみる必要があると思います。
発電と送電の分離が必要と説く人がいますが、発送電分離で電力供給が不安定になって大停電となったという事例はいくつもあります。
自分のところの利益にプラスになるところしか投資しなくなった、送電部門への投資が減らされたことが大停電の原因と言います。
総合的に考えないと、電力の安定供給に赤信号がともることになる恐れ大です。
電力の買い取り義務、それもかなり高額で買い取ることが決まっているようですが、これも日本の産業にマイナスです。
電力料金の値上げになり、家庭や企業にそのしわ寄せがいきます。
電気料金を下げるよう努力するのが政治家の取るべき道だと思います。
今年の夏は猛暑で熱中症で倒れる人が多数いますが、電力不足が言われなければエアコンを使って助かった人もいるのではないでしょうか。
年配の人に多いのですが、エアコンは嫌いだといって使用しない人が結構います。
あと、計画停電で一番暑い時間帯に停電となって熱中症で倒れ死ぬ人も出るかと思いますが、計画停電や電力不足による停電が起きないようにするのが第一ではないでしょうか。
また、病院で治療に支障が生じるかもしれません。その結果、助かるべき人が助からなかったということも起きるでしょう。
節電頼みというのはお粗末です。人が死んだ場合、責任を追及されるでしょう。そして「他に方法がなかったのか」と聞かれた場合、いや原発を動かしていれば停電は起きなかったはず、ということで(不安以外に理由がないなら)原発を再稼働しないことによる不利益の責任追及をすべきです。
電力会社も責任はあるでしょうが、政府が原発を再稼働させないのが悪いのです。
もちろん、安全対策は十分に行う必要があります。今回の事故を教訓に、より一層安全性を高めて次回は同じような災害が起きても、放射能の放出は最小限に抑えるようにすべきです。また、テロ対策、9・11後に言われたようなのですが、放ってあるということはいけません。想定外ではないのです。
第七、この報告書は脱原発という方向に持っていこうという意図を感じます。
もちろん、あらゆることを検討したうえで脱原発が望ましいという客観的、明らかな証拠があるなら分かるように示してほしいのです。
ここでいろいろな数値が示されていますが、最初から「こっちの方向に持って行くぞ」という意図が感じられるので、信ぴょう性が薄く思われます。
共有されつつある方向性で、原発依存度は可能な限り減らすというのは一方的すぎます。
それは、メディアはそのように書いた方が受けるのでそう書くでしょう。
いまは、脱原発と言わないといけないという風潮があり、みんなそれに乗ってしまっているのではないか。
第八、グリーンシフト、環境優先は当然です。原発はCO2削減に貢献します。
再生可能エネルギーの研究開発を積極的に行うことも賛成です。
しかしながら、コスト(電力料)が高いというのは是正すべきです。現状の平均コスト以下まで下げるべきでしょう。
今考えられている制度は特定の企業に有利になっているように見えます。
その上乗せコストのしわ寄せが国民や一般企業にいくということは先に述べたとおりです。
前に書いたように再生エネルギーで原発の代替は無理です。原発停止は火力発電を増やします。CO2削減に逆行します。
第九、すでに起きている原発停止による不利益
電力料金の値上げ。火力発電の比率が増えたため、燃料の輸入のコスト上昇が原因です。
そのうえ日本は足元を見られ、他国より高い燃料を買わされているようです。
日本企業がトルコや、ベトナムなどに原発を売りこんでいますが、政府の姿勢で不利になっています。
節電要請や計画停電、電力料金値上げを嫌って日本企業・工場がどんどん海外に出て行っています。
海外企業も日本への進出を見送りし、活性化されないという状況になっています。
結果的に日本の雇用が減少し、就職難や失業率の増加になっています。
貿易収支の悪化。3・11以降輸入は増えるが輸出は増えないと言う状況になっており、今後が心配です。
大きなコストをかけずに、これらの問題を解決する手段があるというのに、そうしないのは怠慢ではないでしょうか。
<総論>
私の見るところ、一部の世論というか、メディアというかそのようなところの声に迎合しているように見受けられます。
感情論に左右されず、どちらが国のためになるのか、世の中をよくみて判断して下さい。
専門家の意見を聞くのはいいが、彼らは全体を見ていない可能性が高いと思われます。
一般の意見を聞いてそれに迎合するのはもっともダメなやり方です。
デモの人たちに会って直接意見を聞くなどもってのほかです。会って、説得すると言うなら別ですが・・・
「政治の放棄」です。
「『民意に従え』は政治の自殺」という言葉がありますが、そのとおりでしょう。
簡単な例が、民意=税金は少なくしろ。社会保障は最大限やれ。
この通りやったら、すぐ国は破綻です。
「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」という言葉もあります。
脱原発は小善でしょうね。日本の国力を削ぎ、地位低下をもたらします。
放置すれば日本滅亡につながります。
戦略とは、もっと高次元のものではないでしょうか。
最も分かりやすい戦略が「富国強兵」です。
今の人たちには反発を受けるかもしれませんが、「富国強兵」は歴史から見て当然のことです(世界の常識)。
そして、相手の弱いところは徹底的に叩くというのも世界の常識です。
なぜか、日本は戦後、世界の常識に反したことばかりやっているように思えてなりません。
つい先ごろ「日本再生戦略」というのが出ていましたが、それとこのエネルギー・環境戦略は整合性が取れているのでしょうか。
日本再生のためには、当面は原発を再稼働させ、電力を安定・安価に供給するということに最善を尽くすべきです。
世界を見ると、米国、中国、トルコ、ベトナムなど原発の開発を進めています。
日本企業のビジネスチャンスなのに政府が支援しないというのは理解不能です。
中国、韓国などがこの分野に出てきています。
私は、原発の開発は進めるべきだと思います。より安全性を高め、低コストで電力を供給するのが務めと思います。
原発より安く安定的に電力を供給できるものが出てきた時点で、撤退するというのがまっとうな考えではないでしょうか。
日本はこの分野で技術力を維持していますが、脱原発になったらその技術は生かされず、技術者は外国に行くということで、日本の地位低下をもたらします。
また、いまある施設(原発)は可能な限り活用するというのも常識でしょう。(電力を安く供給できる)
不安に迎合するのではなく、対策をしっかり立てることにより安全性を高め、国民に納得してもらうことが大事だと思います。
安全性を数値化して、他と比べて十分に安全であるということを示せばよいと思います。
原発のある地域では、他の産業がなく原発に依存しているところもあります。原発をなくした場合、その人達の職や収入をどう補償するのでしょうか。
単に補償金を出すよりも、エネルギーを作ってもらう代償とした方がプラスではないでしょうか。
参考
「民意に従え」は政治の自殺
「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」
「人間というのは、真実を信じる生き物ではなくて、自分が信じたいと思うものを信じる生き物である。」
http://www.ne.jp/asahi/voc/j/hitokoto.htm
産経新聞(2012/8/2) 正論 原発が止まる「地獄」こそ直視を
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120802/trd12080203380000-n1.htm
以上