1980年 Castle Donington

 待機している他のメンバーを観察するのもビデオを観る上で結構愉しい。Catch The Rainbow はソロを延々と続け、ブラックモアのソロ終了合図にてボーカルが入り、数小節後にエンディングに突入する手はずになっているのだが、1980年のキャッスルドニトンのビデオでは、いつ出るかしれないブラックモアの合図を見逃すまいと、コージーパウエルがちらちらとブラックモアの方を伺いながらドラムを叩いている様子を観ることができる。
 また、ボネットはソロの間バックステージで休憩しているが、ロングソロの途中でギターとドラムのオカズを絡めた決めフレーズ(1弦を適当にローポジションからトレモロピッキングしつつ、開放弦の音を伴いながら上昇させていく。この時もパウエルへ合図を飛ばす。)が出るとステージに戻ってきて、更に次の合図によりボーカルインするのだが、この時は決めフレーズのあとも引き続き長めにソロを続け、なかなか次の合図が出ないため、もてあましたボネットはドラムの方を向いて下を見て考え込むようなポーズで待機していたので、危うくブラックモアの合図を見逃すところであった。
 ブラックモア十八番の逆手ノイズフィンガリングを伴ったノイジー音がモニターから聴こえたか、「ひょっとして」といった感じに何気にブラックモアの方を見たところ、合図を発見し、180度回転して素早くマイクへすっ飛んでいきボーカルインしている様子が写っている。
    

 後年の90年代Rainbowでも同様、ベースプレイヤーはTemple 〜ロングソロ終了合図を見逃すまいと、歌いながらソロのバックコーラス節目に左斜め後方のRBを何度も何度も振り返り確認している。節目ではないところでも、ノイズ混じりのフレーズが出ると途中でも振り返り確認していることから、相当RBの合図予想に慣れていることが伺える。これはドラムと違って振り返らないと見逃す可能性がありストレスかも。
 RB
 

 ミス・トラブルというわけではないが、ライブのエンディング後、ブラックモアは他のメンバーがまだ声援に応えている中、早々に引き上げてしまう傾向にある。この日は1回目のアンコール終了時、Long Live Rock'n Roll のエンディング中、パウエルに何やら合図を送るとそのまま聴衆へ一通り感謝の意をトリルしながら表したあと、エンディングが終わらぬうちに早々とバックステージへ引き上げてしまう。
 最後はパウエルが手を上げ、4人でエンディングを決めている。ゼスチャーだけでブラックモアの指示を理解できる「あ・うん」の呼吸及び常に合図を見逃さぬ洞察力は見事だ。普通はわけわからへんやろ、これだけの仕草じゃ・・・
 もっともパウエルもブラックモアがさっさといなくなった瞬間に、さっきのゼスチャーの意味が理解できたのかもしれないが・・・・・・。

  

 アンコール2曲目はインストのKill The Kingだが、ぶっ壊し用のギターはスキャロプトしていないため弾きずらく、まともなフレーズを弾くことなくパフォーマンスに移る。
 ストラップを脱ぐとパフォーマンスに邪魔なピックを放り投げ、Calfornia Jamが再現されてゆく。今回はガソリンの量が適正だったので、アンプが爆発することなく計算どおりに燃えたようである。
 カメラの代わりに燃え尽きたアンプにギターを突き刺し、さぁこれからメインギターを装着してエンディングに突入だ!と思ったらピックがないことに気がつき、右側のアンプの上にあるピックを取って弾き始めよとしたところ直後にピックを落としてしまい、燃え尽きたアンプの前を横切り、更に左側のアンプの上にある予備ピックを取ってプレイを続けるが、ほとんどまともなフレーズは飛び出さず、ノイズだらけでKill The Kingを演ってると気が付いているのはヘヴィファンだけなんじゃないかと思いたくなるほどた。
 トラブルとパフォーマンスで疲れたのか、最後はよろめいている。

  


 1982年 Live Between The Eyes
 
 ステージでノリまくって演奏していたため、Can't Happen Here のエンディングへの小節を勘違いし、バックがエンディングに突入したとたん、あれって感じで他のメンバー見るも、わけがわからず立て直せないままメロメロな最後となってしまう。

  

 ノイジーな独演ソロ中、ピックを落としてしまうブラックモア。五角形のピックは小さいので実に落としやすい。明白な動作で聴衆にピックを落としたことを気取られぬよう取り繕う様子を見て、奏者の立場として共鳴できることが何となく感慨深い。
 
      

 アンコール曲インストのKill The Kingでギターをスクラッチさせるときの体勢が悪かったため、そのままステージに倒れこんでしまう。はっきりいっておちゃめだが、ちょっとかっこ悪い。
 その後、ギター破壊が終わりメインギターにてKill The King のキメフレーズであるアルペを弾くのを合図に曲が終了し、今度はエンディングのLong Live Rockn' Roll入っていく手筈になっているのだが、キメアルペが調子悪く(ピコピコとアタックのない詰まった感じで、どうやらフィンガリングとピッキングのタイミングが微妙に合ってないようである)、たまらずグローバーに合図を送って、バックステージへとトリルしながら消えて行き、代わりにグローバーがロンディネリに終了をうながす仕草で指示を送っている。
 他のメンバーはブラックモアのギターにトラブルが発生したと思ったことだろうが、バックステージに下がった後もトリルやアーミングで演奏し続け、再度ステージへ元気よく飛び出してきて、Long Live Rockn' Rollの演奏開始の合図を出していることからも、単に調子の悪いフレーズを弾くのをボイコットしただけのことである。


   
 
 1984年 Rainbow Japan Tour ’84

 コンサート後半のLazyを遊びで数小節演るも、今回のツアーではいつもよりワンコーラス長めに設定していたのを勘違いし、従前のところでブレイクさせてボリュームをゼロにするもバックはブレイクせず、あわててボリュームあげて再演奏するが、あわてているためスケールは聴こえずノイズがなっただけで再度ブレイクしている。

     
 
 また、Difficult To Cure では曲中のアドリブソロに夢中になりすぎ、決めの上昇下降フレーズに突入したのに気がつかず、あれって感じで他のメンバーを見るも2回目から気持ちよくプレイしている。同様のレコード盤ではスタジオで再録音しなおしているが、ギターサウンドにオクターバーが途中からなくなり、もろダビングってのがわかる。
      
 
 この曲のあとは、ブラックモアとバーギーのリズムのみでエキサイトノイジーむちゃ弾きソロが展開されるが、ドラムセット近くでパフォーマンスを終えたブラックモアにバーギーが立ち上がって握手を求めたが、ブラックモアはこれに気がつかず下がっていき、膝付ポーズで次はドラムソロの番だ!ってポーズを残してスキップ気味にバックステージへ消えていく。バーギーが手を差し出して苦笑いで引っ込める映像が見れる。

   
 
 また、そのむちゃ弾きソロの最中、スカーフがピッキングの邪魔となるため何度か、ピッキングの合間にギターの内側に入れるのだが、右手にまとわりついてすぐにまたギターにかぶさってきてしまっている。I Surrender のブレイクソロ中にもスカーフがギターへ垂れ下がり、アンサンブルに戻った直後フレーズの一瞬の切れ目にスカーフを素早くギターの下へ戻す仕草がみれる。最初かっこいいステージアクションだなって思ってたけど、何回も観てるうちに気がついた。うっとおしかったのね。スカーフが・・・・

 
 
 ラスト曲Death Alley Driver のキーホードとのハーモナイズ決めフレーズを誤り、リズムが途中でズレてしまう。
 Street Of Dreams のエンディング近く、アンサンブルのボリュームが下がってるときに、明らかなミストーン(痛恨の3弦開放G音)をぶちかましてしまう。

        
   
 アンコール一発目Fire Dance はイントロを既定の小節が終了してボーカルパートまできたにもかかわらず、ターナーの姿が見えないため更にイントロフレーズで場をつなげようとしたが、少し遅れてボーカルがインしてきたため、ブラックモアは途中で既定通りGmコードに移行して「おっ間に合ったか」って感じにうなずいている。

     


1984年 Sydney

 Child in timeは荒々しいノイズ混じりのフルピッキング連発むちゃ弾きソロにて、途中でタウラスにギターを擦るつけるほどテンションの高い状態で演奏が進む。とにかくテンポが早い上、単調なワンコードの展開のため表裏逆転に陥りやすい要素を包有する状況にあるわけだが、しっかりと最後のブレイクへのキメでやってくれます。ここでズレたらもう立て直す機会はない!

     

 Smoke On The Waterの最後で一旦音量を下げ、C(RBによるとCmとのこと。ジョンロードは間違って演奏しているとの発言あり)、G#、Gmと繰り返してギランに聴衆との掛け合いを取らすの忘れ、エンディングにむけサビを派手に演奏してしまう。場違いな流れに気がつき、小さくため息混じりにうなずき反省の表情を浮かべている。このエンディング前のサイレントパートはRainbowのラストコンサートで演奏していたことから、ブラックモアかグローバーのアイデアであろう。単純、かつ、しつこいので管理人は好きではない。
       
 更にその後、オーラスのエンディングでは・・・・Live In Japanのようにロードとちょっとした掛け合いソロを取る腹積もりが、予期せぬペイスのビート開始に完全に戸惑うRB。顔を左右に振り「知らんぞ?聞いてない(根回しが必要な集合体とはとても思えないが・・・)、私の指示ではない!」と動揺している。イアンギランも「何が始まるんだ?リハやジャムでも経験したことねえぞ!」といった様子で、再結成直後でまだ会話も成立していたRBの元へおもむき真意を確認するが、当然RBが知る由もない。

        

 1985年 Paris

 Strange Kind Of Woman のイントロ弾き出し途中にいきなり音が鳴らなくなり、すかさずバックステージへ向かおうと歩き出したところで、すぐに鳴り出し取りあえず戻ってコードカッティングに入る。右手のゼスチャーからもブラックモアは頭の中で「WHAT!」と叫んだに違いない。

   
 
 Knocking At Your Back Door 後半のメインリフをスライドパートで演奏する部分に突入する直前でスティールを取り忘れていることに気がつき、やむを得ずフィンガリングのみでリズム乱しながらダブルノートのメインリフを弾きつつスティールを確保するが、2回目の弾き出しにミストーン(幸いにも致命傷な音程ではない)をぶちかましている。
 相変わらず動揺した様子もなく、当然のごとくこの後はアドリブが続く。当然のごとく私もマネをしたくなるのでした。

    
 
 その後、同曲でスティールを混ぜつつ後半ソロでアドリブを展開、そして大胆な上昇スライドをアクションにてソロ終了の合図を送り、そのままエンディングへのきっかけにサビを弾くわけだが、アクションの影響かスティールを持ちそこない、3本の指でスティールを保持したまま人差し指をスライドさせ1回目のサビに対応。思惑外の状態になったが、ここは冷静に対処し、2回目のサビでスティールを握りなおす。'

     

 Space Truckinの後半、独演むちゃ弾きソロに入る直前のキメのオクターブリフあたりで、ギター音にまたもやトラブルが襲い掛かる。アンプの音は正常のようだがモニターの音が途切れたりつながったりしているようで、今度はスタッフにクビ切りポーズで、ギターが正常に鳴ってないと訴えている。
 メンバーにブレイクさせる指示によく出るクビ切りだが、スタッフにギターの音切れを教えるのにクビ切りポーズを出すのはめずらしい。このステージアクションを見て、クビを通告していると勘違いしてるファンも多々いるようだ。
 Q:ステージでの、首を切るジェスチャーは、ソロをやるから演奏を止めろっていう意味だったんですね。「ちゃんとやらないとクビだぞ」っていうブラックジョークかと思ってました。
 R:ある意味では当たっているよ。あのジェスチャーの意味は、私がソロをやりたいから演奏を止めろっていう意味だから、もし演奏を止めなければクビになるからね。(2001年当時のインタビューより抜粋)
 
  


1985年 Wisconsin
 Spece Truckin'のエンディング1回目のクロマティックリフ部分、ブラックモア、ギランの双方がミスし、タイミングの合わないボロボロのアンサンブルとなってしまう。ギランは途中で怒ってバックステージへ引っ込む。ブラックモアもキッチリとインできなかったわけだが、タイミングは把握していたのにギランのタイミングのズレたカモンに惑わされ2回ほど引きづられてしまうが、リズム陣がしっかりとビートをキープしてくれていたため、ギランより早く立て直す。が、カラオケ状態で進む残りのコーラス数を誤り、一旦エンディングへ入りかけてしまう。ブラックモアは小節数に弱い!絶対弱い!あちこちで頻繁に起こすポピュラーなミスである。ちなみにオーラスの同様パートではギランがペイスの前でしっかりカウントをとっている姿に笑える。ロード、ブラックモアの独奏中に怒りを収めた反省の意思表示か。