10/18 大阪 サンケイホール
10/19 広島 広島クラブクワトロ
10/20 名古屋 愛知県勤労会館
10/22 東京 渋谷公会堂
10/23  東京 渋谷公会堂
 

2004年 ジャパンツアー序章    

 2000年の来日騒動のときはインターネットが生活の中にはなく、キャンセル騒ぎも何も知らず、1年後にそういった事実があったことをネット開通により知った。ブラックモアのギターは暇を見つけてコピってはいたけど、雑誌を読むこともせず、動向にちょい気を抜き過ぎていた。
                    
 当ホームページを運営するまでに至った今、7年ぶりの来日情報はネット上で簡単にキャッチすることが出来た。昔のように整理券を取りに奔走することもなく、ネットで余裕の購入を考えてたんだけど、3/31 am11:00の先行予約を3分フライングするも混雑していて繋がらん!更新クリックを1秒に1回づつ押し続けること10分後の11時7分頃にようやく予約フォームが出た。渋谷公会堂を1枚ゲットするが、結局席は抽選で2階席だった。試しに11:45頃もう一度アクセスしてみたらすんなり繋がった。慌てて損したが、とにかく先行予約のSOLD OUT(4/7にようやくSold Out。)を恐れてクリックしまくった。ただ、一般予約は4/10に即日Sold outだった。何なんだこの落差は・・・結局一般予約の方が競争は激しいけど、良席ということか?いい席はやはり苦労しないと手に入れることは出来ないようだ。
 とにかく現場に入ることが先決だ。大阪サンケイホールも楽な先行予約で安全確実に購入だ。発売数分前から念のためクリックしまくろうと思う。渋谷公会堂の2318席より約900席も少ない1425席しかないようなので一般では超不安だ。最悪席でもホールが小さいので、1.2の視力があればある程度ポジションの確認くらいはできるだろう。
 
 4/26は土曜出勤の振り替え週休で、朝9:00頃からトップページのBGM用にI Still Remember(←録音した音源)をコピーしつつ録音していた。録音が終了し、さあ、ミックスダウンと思って何気に時計を見たら、ゲゲッ!11:10を指してる。慌ててパソコンを立ち上げ、ウドーにアクセスするも、やっぱり繋がらない・・・と思ったら、3分後には予約フォームが出て無事サンケイホールも押さえることができた。やはり先行予約は敬遠されてるのか、知られてないのか・・・とにかく人気がない。
 さて購入した帰省予定の大阪は足を運ぶとして、広島・名古屋は時期的に長期休暇は望めそうもない。幸いにして休日の10/23(土)に渋谷で追加公演が組まれたので、5/12からの先行予約で三度購入だ。今までの人気のなさからして、職場から帰宅後の夕刻(17:45無事予約完了)で十分だろう。予約作業中私の横で、CDや私が弾くギターでBNに興味を持ち始めている7歳の娘がいっしょに最終日のコンサートに行きたいと懇願してくるが、真剣勝負で挑む所存の私には遠足気分の娘はちょっと足手まとい。次回に連れて行く約束でうまく取り成す(果たして次回はあるのだろうか)。
 23日の渋谷は唯一17:00の開演で早めだ。会社帰りの勤め人に配慮する必要がないためだと思うけど、今のところ来日最終公演でもあるし、海外なみの3時間コンサートを期待したい!とりあえず今回の来日公演は計3公演に参加確定だ。

       

 5月のBN米国公演のセットリストによると、連夜の公演にも関らずセットリストはかなり変更されている。このことから、ジャパンツアーは時間さえ確保できたら本州縦断して何としても全公演見たかった。週末を地方公演、平日に東京公演のパターンだったら全公演制覇できただろうに・・・。残念無念!       
 
 ところで来日直前の10月9日、台風22号が関東地方を直撃した。10年ぶりの強い台風ということで、前日から自宅待機を余儀なくされ、当日は休日にもかかわらず朝出勤を命じられ、20時頃まで不測の事態に備えて職場で待機と相成った。よかったこれがBN来日コンサートの週でなくて・・・と思ったら10月13日に台風23号が発生。18日の大阪は何とか大丈夫そうだけど、その進路を本州上陸へと向けつつある。ここんところ台風は劇的なターンで一気に日本列島に上陸してくるパターンが多く、そのタイミングが22.23日に当たらないことを祈りつつ毎日台風進路予定とにらめっこだ。関東直撃コースを進まれると、間違いなくコンサート観戦などありえなくなる!すごく不安である。どうせなら一気に22日の午前中あたりまでに突き抜けてくれれば・・・・。気持ちを切り変え、とりあえず大阪公演を楽しもう。10月17日21:15分、大阪へ向け出発した。


2004年10月18日 サンケイホール 2階
 
 後年のオレにきっちり思い出を残す意味で、当日の行動を細かく含めて顧みる。
 今年の7月から自宅最寄駅から直接京都八条口行きの夜行高速バスが運行になり、新幹線よりも、自家用車で疲れきって運転するよりも安価で楽な交通手段を利用して大阪へ行くことにする。もはや東京に21年も住んでると、大阪は「帰る」ではなく、「行く」だ。完全に関東人になり染まってます。今では大阪弁が異様に聞こえるまでになってしまった。つまり最寄駅から出発、あとは起きたらもう京都というわけだ。これは楽だ。9月のうちに往復割引で押さえておいた。NHK大河ドラマ「新鮮組」観柳斎転落を見たあと、子供たちとお別れのスキンシップ、そして就寝を確認(子供の夜更かしはすべてにおいて悪影響だからね。)後、17日21:15頃、台風23号の進路が気になりつつも最寄駅南口のバスロータリーへ自転車で向かう。
 近くのファミマで缶水割りとチーズ柿の種を購入する。すでに歯は磨いていたので、水割りだけを飲みつつ肌寒い中バスを待つ。定刻の21:55にバスは出発するが乗客はオレ一人だ。パレスホテル、JR立川駅と停車。ここで男性3人が乗り込み4名で京都・大阪方面へ出発。立川バスだとばかり思ってたんだけど、南海バス・サザンクロスとのこと。東京の西の中心立川に新たな攻勢をかけてきたようだけど、こんな人数で採算はあうのか?便利なのでオレは帰省の度に今後利用するつもりだけど・・・・。夜行バスということで、カーテンは締め切られ走行ルートがよくわからない。隙間見したところ昭島市内の旧奥多摩街道を走行していることから、八王子インターに向かっているのは間違いない。しかしすでに就寝してる人もおり、あまりカーテンを開けて外を覗くわけにもいかない。消灯後、しばらく読書灯にて新聞を読んでると何時の間にかバスは高速走行中。外を覗いてみたけど、高速道路の反対車線の向こうは闇夜が広がっているだけ。都内に向かってるのか山梨に向かってるのかさっぱりわからぬまま寝ることにする。
 道が悪いためかバスはよく揺れ、何度も目が覚めた。それこそ1時間おきに時計を見た気がする。目が覚めたときにたまたまカーテンをこそっと開けて見ると、反対車線に「高根」〜kmという案内表示がチラっと見えた。でも知らない地名だ。多分東名高速に乗るには、一旦中央道を降りて一般道路を走るはず。その気配はなかったので恐らく中央道から小牧JC名神ルートだろう。私が自ら運転して帰省するときのルートだ。あんま寝た気がしないまま5:20バスは八条口に到着。新都ホテルの前だ。運転手に帰りの乗り場もここでよいかを確認してバスを降りた。
 
 さあ、どうするこれから。あとコンサートまで12時間以上もある。この時間じゃどこもやっていない。とりあえず京都駅北口にある中央郵便局の前のローソン新京都センタービル店で朝飯を購入して、パブリックスペースとなっている傘つきのテーブルで食事をしながら、ネットから取り出した市内地図をカバンから取り出す。あ、高速バス備え付けのご利用案内を持ってきてしまった。まずいな・・・。体力練成がてら新選組ゆかりの地を歩くことにする。明るくなってきた市内を1時間30分ほど闊歩した。西本願寺、壬生寺、八木邸、そして四条河原町附近の池田屋跡へ・・・。子供の頃、何十回も来てる京都だが、当時は歴史的な名所なんか興味あるはずもなく、初めての京都観光となった。(2011.7.27、大阪帰省中に生まれて初めて、金閣寺と清水寺を訪れたほどである。)さすがに疲れたので賀茂川河岸で、途中で購入した日経新聞を1時間かけて読む。最初は出勤・通学の人達の視線が気になったけど、記事に没頭すると人の気配すら感じなくなってしまった。月曜の朝からノンビリと土手に座って新聞、失業者と間違われたかな?
 
 さて、そろそろ大阪に近づいておこう。8:30頃河原町で阪急電車に乗り込み京都を後にする。急ぐ旅ではないので普通電車でのんびり故郷の街に向かう。阪急電車に乗るのは多分、女房を両親に紹介しに帰省したとき依頼10年ぶりだ。停車駅一覧をみて驚いた。いつから特急が故郷の駅に停まるようになったんだ?子供の頃、阪急の特急に乗りたくても、当時の停車駅は確か梅田、十三、大宮、烏丸、河原町だったので一度も乗ったことがない。なんか価値が下がった感じ。(2007.8.19帰省中に家族揃って特急に生まれて初めて乗った。座席が進行方向なので、女房は関東私鉄では当たり前のように請求される特急券が必要なんじゃないかと言い出す始末。こんだけ停車駅多いと、関東私鉄ではせいぜい「急行」としか呼称しない。事実、昔の急行とほぼ同じ停車駅ですがな。乗ることなく終わった当時の特急→) 故郷の駅で降りて、なつかしの子供時代の街を散策。しかし京都で散々歩いて疲れているところに寝不足も効いてきた。現在実家は市街化調整区域の公共交通機関未発達地に移住しており、車での帰省じゃないと寄る気がせず、安上がりにインターネットカフェで仮眠をとることに。
 会員登録(次回利用する機会は多分ないだろう・・・。11/1にダイレクトメール到着。東京在住者に割引券郵送してくるとは・・・。)を済ませ、3階の個室でまず台風情報を確認。なんと21日には通り過ぎてしまいそうな勢い。ただし、前日の20日は無給の泊り込みとなりそうだ。予想とはいえ一縷の望みがわいてきたぞ。渋谷公演は2日とも無事観戦できる確率がグッと上がった。
 
 仮眠をとりつつどれくらい経ったのだろう。時計は15:00を指している。インターネットカフェを出て、サティで食事をすませ、再び阪急に乗ったのは16:15頃だ。雑誌を読みつつ、ハっと気がつくと地下に潜って天神橋筋6丁目に着いてしまった。確かローティーンの頃マイクロJuggやグレコのストラトを購入したミュージックランドKEY南森町店へ行く際利用した路線かと・・
 20年以上前の話なので記憶がおぼろげだ。天下茶屋行きに乗っていたらしい。すぐに淡路に戻り梅田行きに乗り換える。そして相変わらず阪急の梅田駅は圧巻だった。恐らく私鉄であれだけの駅は他にはないだろう。時計はまだ17:00。サンケイホールの位置を確認、裏口からのアプローチを確認して、時間まで録音機、デジカメの処置をすることにする。
 JR大阪駅に隣接する駅ビル内にある小さな出口に面する、"SPICE MAGIC"という店でカールスバーグビールを注文して、ICレコーダーにステレオマイクを装着、念のため電池を新品に交換するが電源が入らない!古い電池にするとOKだ。再度新品を入れるがダメ(なぜだ?)。古い電池もほとんど使用してないので多分大丈夫であろう。写真撮影は一切するつもりはないけど、京都観光用のデジカメを没収されると後が面倒い。洗面具入れの中にタオルで包んでしまう。ここでビールを飲み干したので追加注文し、あとは18:30まで売店で購入済の日経夕刊を読んで過ごす。
 
 さあ、いよいよ7年ぶりにRBの生演奏を堪能する刻が迫ってきた。そして22年ぶりの大阪公演参加だ。18:40にサンケイビル裏口に到着。ジーパンの前ポケットに細長いICレコーダーを忍ばしておき入館する。どうやらホールは3階らしくEVで上がる。さっそくカメラチェックが入る。カバンの中を見せてそのまま問題なく中へ。携帯電話での撮影もご法度らしい。未だに携帯電話を持ってないオレは、いくら電話嫌いでも超時代おくれか。本当に大嫌いで、どうでもいい無駄話になると切りたくなってくる。独身時代、よく女房や友達に「電話切りたそうだね。」と言われたっけ・・2005.10.19、結婚10周年を期についに遺憾ながら購入。社会人として立場上持たざるを得ないというだけの消極理由がすべて。来日記念プログラムは・・・高い割につまらないし、今までのも全部紛失(実家にありました・・高校時代の日記参照)。どうしても欲しけりゃ渋谷で買おう。
 
 2階席前から2列目の通路横の席に18:45着座した。会場が小さいためステージ全体がよく見え、充分ブラックモアのプレイを確認できる満足席だ。客層は20代後半以上が大半で9割は男。ブラックモア流に言うと、ロックに飢えている"暴力に満ちた若者"はいない。係員の位置を確認するもまったく視界内にはいない。場内案内で、最後まで着席しているように指示を受ける。また、座席からの移動も曲間のみに制限された。一応手探りで録音操作が出来るよう手はずを整え開演を待つ。ステージの状況から前座はなさそうだ。19:00を過ぎるも始まる気配はなく、スタッフの大男がステージ上を行ったり来たり。ICレコーダーはステレオで152分録音できる。21:39には多分コンサートは終了してるだろう!と判断して、19:07に録音スタート。座席下に置いたカバンの上に録音機を置く。今までのカセットテープと違い、裏返す必要がないので負担を随分減じることができた。あとはバランスのいい音量と、ブラックモアのギターがしっかり録音されるのを祈るのみだ。
 果たして19:10頃に97年来日のとき、そしてブートなどで聞きなれたメロディーがそれまでのBGMより音量を上げて流れてきた。この時点で前座はありえないことが確定し、録音続行の決断をした。気持ちが盛り上がってくる。帰宅後パソコンに取り込み、リアルプレイヤーで確認したカウントだと、約20秒の間をおいて会場内の熟知者がコンサートへのイントロだと気がつき、拍手を先導し奇声が上がる。ブラックナイトとスモークオンザウォーターをミックスしたパートも前回同様だけど、初体験の人達からは小さく笑い声が漏れる。
 
 イントロの音量が更に盛り上がってきたところで場内暗転だ。聴衆が盛り上がる。まもなくブラックモアのシンセギターイントロが始まる!と思ったら、双子姉妹メンバーの美しい対位法による旋律から始まった。2003年ブートビデオでチェック済だったけど、2回くらいしか見てないのですっかり忘れてた。
 一息つくとそのままスティールによるシンセギターサウンドが始まる。ブラックモアの生演奏だ。ほどなくステージ向かって右奥から薄暗い照明の中、ブラックモアがスライドさせつつ歩みながら登場すると歓声が上がる。7年ぶりのお姿拝見だ。軽く右手を上げるとバックはEからE-Am-G-F-Eの進行に。やがてオープニング曲Cartoucheへと進む。さっそくギターチェンジだ。1曲目が終了すると、キャンディスナイトが日本語でご挨拶。
 「コンバンハ、オオサカ、ハロー。・・・モドッテ、コレテ、ウレシイデス。」 
 2曲目もギターチェンジ、ナイトのMC中、Gコードで軽く音程の狂いがないかを確認。Queen For A Dayが始まる。途中パートUへは転調していた。絶対音感のないオレにはライブ中のキーが何なのか気づくゆえもないが、パートTはCmでスタートし、パートUでDmに転調してくるアレンジだ。パートTのコードは弾かずCmスケールをオブリまくる。アルバムでは半音下げて全編C#mキーのプレイで、レギュラーチューニングのまま挑むライブでは必然的にナイトのためにパートTはポジションを下げてのCmに、パートUはブラックモアが弾き易いように転調させDmに、といったところだ。
 「リッチー!」の声援に右耳を塞いで聞こえないそぶりをしつつ、独演後にMinstrel Hallへ。初来日のときよりかなりテンポアップさせての演奏だ。ラスト部分では本日1回目のフィンガー・トレモロ・アルペジオをディミニッシュで上昇させてくれた。これはスタジオ盤The Stomと同様の旋律であり、すでにマスター済のためまだ余裕を持って受け止めることができた。
 Under A Violet Moonは1音下げのため、またもやギターチェンジ。ブラックモアも薄暗いステージ脇のギター群の中から、お目当てのギターを見つけるのに少し迷ってる。ギターチェンジの際、ストラップの間を通したりシールドジャックの抜き差し、弾き終わったギターを受け取ったりするのはブラックモアより10cmは高く体重は100キロを優に超える巨漢のスタッフだ。あの羽根付きトンガリ帽子はブラックモアの指示かな。「ヘイ、をやってね。」とナイトのお願い言葉。この曲は確か初来日ではレギュラーDmで演奏してたはずだ。

           
 
 Past Time With Good Companyが終わると、追っかけしているらしきカップルをナイトが紹介していた。気合入ってるな。どうやって最前列取るのか。続いては独演ソロから始まるSoldier Of Fortune。ナイト左横のメンバーはアコギにベースと持ち替え対応していた。他の何曲かでも同様だ。「負けるな負けるな和尚さんに負けるな」の歌をバイオリンソロでフューチャーした定番Durch Den Wald Bachaus。ステージ上を移動しようとして、先生のシールドが引っかかっていた。ゴチャゴチャと何本かコードがステージ上に見える。
 
 ここまでは、比較的余裕で対応できそうな内容(あくまでコピーね。自力生産する能力は全くありません。)だな。うむ。なんて気持ち(ちょっと自惚れてました。)もあったけど、Diamonds And Rustの独奏イントロで本日2回目のFTA(フィンガートレモロアルペ)は、さっぱり何やってるかわかりまへん状態に。コードはEm→D→B7系統のようだけど、細かくコピーするには超苦労の案件がついに勃発だ。しかも本人はおそらくアドリブやで〜!こんだけ長年コピってても思いつかんわ即興であんなフレーズ。変にこのFTA(自由貿易協定じゃありません!)の凄さを認識できてしまう程度の能力はあるので、余計に落ち込む。どうやったら一発で何の策略もなく思いつきであれが出せるんだ。ちなみにFTAの右手のノリ(スピードアップ自体は短期間でマスターできた。あくまでノリ。単なるスピードアップは練習繰り返せばいずれ誰でも到達できる。)は初挑戦から5年経った今でもブラックモア同様のノリにはイマイチの感じだ。かなり進歩したけど・・・・
 しかしミスしないなアコギ。アコギを弾くときのオレはミスらないように弾くのが精一杯で、自分が出している音を楽しむ余裕なんかない。ブラックモアは今や演奏しながらリアルタイムで自分の弾くメロを、第三者としての耳で酔いしれることができるレベル(意味わかります?)に到達している以外の何ものでもない。Mr. Peagramu's Morris And Aword演奏後、先ほどの最前列追っかけカップルの男性に弾いていた楽器を手渡しする。受け取った男性もしばらく楽器を膝の上で保管していたようだけど、いつ、誰が回収したかは不明。RBに集中してるわけで、楽器の行方を案ずる暇はなしだ。
 
 「I Surrender!」会場は笑いに包まれつつも、反感を持った人も少なからずいたかも。ブラックモアの胸中は知るゆえもなし。(2005年12月10日の米国ニュージャージーのライブでは、パープルの曲を連呼するたった二人の聴衆のせいで、1時間に満たないアンコールなしのライブで終わったらしい。温和なキャンディスナイトでさえ心無いリクエストに不快感を示していたことから、相当酷かったのだろう。もし本公演が同様の結果になっていたら、アイサレンダー!と叫んだ奴は附近の聴衆に間違いなくつるし上げられかも。)
 曲はHome Againへ。お約束の挿入歌はHall Of Mauntain Kingのメインリフ。何をしゃべってるのかさっぱりわからないが、今では聞きなれたブラックモアの声がステージ上から聞こえてくる。小さい会場はええよな。武道館なんてボッタクリの店に入ったようなもんだ。ブラックモア先生ももう老眼なんだろう、セットリストはENGLの上に置き、それをパラパラめくって曲順を確認してる。さすがにメガネはかけないけど。
 
 本日3回目のFTAが登場の独演前奏から始まるFires At Mid Nightはコピーには時間を要する難関だ。アンサンブルのコード進行は少し変更してるのか、ちょっと違和感あり。中間部のギターは超サイレントバージョンで、アレンジし直したコード進行のバッキングギターを伴い、物悲しくスライドギターで始まった。フィンガリングに移行後の数小節後に飛び出す長6度音。BmキーにG#音は目立ち、会場で即意識してドリアン音階使用したな、と感じた。しばらくフレーズが進むと今度はC音(短2度)を使用したフレーズが。音源には長7度も絡めてクロマティックな動きのブラックモア的なフレーズで、こちらは先ほどより不安定音の度合いが増すため、なんとなく弾いてしまい結果オーライといった感じにも聴こえる。ただ、聴いた瞬間は、先生!挑戦しすぎてミスらないでと、ちょっと心配しつつアドリブの展開を拝聴していたら、数フレーズ後でもオクターブ下でC音使用。更に3回さりげなく使用して来ることから、確信犯で使用してると気がつきました。先生!さすがです。大変失礼いたしました!
 アンサンブルに演奏中断の指示を出した後は再び独演ソロに。短調キーに一瞬メジャー3thを奏でるところは、相変わらず心憎い演出に感服する。10代の速さばかり求めてた頃のオレだと、鼻水たらしたまま、この熟練の味を理解できなかったことだろう。そして何演ってるかわけわからへんFTAが2パターン(うち1発はかなりハイポジションで、2弦開放音を伴いつつ)を盛り込みながら、メリハリを付けた強弱フィンガーピッキングフレーズへと繋がっていく。アクセントに強烈にピッキングして、その後は優しくピッキング音をソフトに音量を下げていく。忘れてました先生。こういった硬軟活かしたプレイを。この曲は課題曲として各フレーズをコピーさせてもらい、最終的に完コピまで持っていきたい12分弱だ。
 
 
Renaissanc Fairは毎回演奏している曲のためか、演奏者に飽きが来ないよう、アレンジや構成を変えての演奏だ。最後はおふざけでキーボードメンバーのオペラ調の絶叫でナイトのパートを奪って締めくくる。がっくりと舞台に膝まづいて、やられたって感じのナイト。かなりボリュームでかく耳にきた。Ghost Of A Roseはやはり7フレにカポだ。壮大なアレンジのため、ブラックモアのギターは埋もれ気味で、バックに徹している。続くMond Tanzも他のメンバーの楽器に主要メロディーを任せ、控えに廻る。途中Child In Timeが挿入されてた。
 ハーディーガーディーが大男スタッフにより用意されるが、ブラックモアは位置が気に入らないのかズルズルと台ごと引きずって下げてしまい、場内は爆笑となる。くるくる廻しながらスコットランドとアラビアを混ぜ合わせたメロディーを披露し、そのままClock Ticks Onになだれ込む。やはり長年演奏してる曲のため一部にスタッカートさせたアレンジや、ナイトのメインメロディも変更したりしていた。この曲で一旦終わりかな・・・。しかし何やら、ナイトとブラックモアが相談?もう1曲演るみたい。バイオリンの女性メンバーも何の曲演るのか、キーボードのメンバーに確認していた。最後はI Still Remember。静かに終了し、メンバーは一旦バックステージへ消える。
 
 アンコールを求める手拍子の中、GK-2混じりのストラトがDをキーに立ち上がってくる。スライドギターを咽びかせながらアンコール1曲目はAll For Oneからだ。Difficult To Cure-Self Portraitとメドレーで進む。そのSelf Portraitのソロで何弦かわからないが、チューニングが甘くなっている。キーボードソロのあとに演奏されたWriting On The Wallのときにやっと気がついたか、しきりに演奏しつつペグを調整していた。どうやら3弦が怪しいらしく、3弦開放をバッキング中に何回か低くして上げ直していた。ストラト派のファンにはたまらない、ブラックモアの速弾きタイムだ。ストラトの音はトレブルを押さえかなりこもり気味のサウンドだ。Burnのメインリフを途中で挿入するけど、2回弾いたあと、残り2回をスライドで弾くとこがなかなかいい。フェーダーボリュームを下げるような合図でアンサンブルを下げさすと今度は、Woman From Tokyoのメインリフを挿入。この曲でストラトタイムはお終い。メンバーは再度バックステージへ戻る。
   

 アンコール最後はNow And Thenだ。コンサートは21:25頃に終了。最前列に突撃してきた群集に各メンバーはタッチを繰り返してから引き上げていった。ズーと座ったままだったのでオシリが痛くてしょうがない。さて、ブラックモア先生の技巧についてだが・・・・一生かかっても、あのレベルに到達できそうにない。無理だわ。オレのレベルじゃ繰り返し弾きこんでコピーがやっと。鬼のように毎日練習したとしても、即興演奏であのレベルには到達できそうもない。授かった才能が違う・・・・生まれ持つ才能が低い凡才が練習で底上げを図ったところで、足元にも及ばないことを改めて強力に実感させられたハイレベルな演奏でした。
    

 ごった返す混乱の中、ようやく裏口出口に出ると早速ミニヘッドホーンをICレコーダーに接続して、JR大阪駅への道すがら録音したばかりのmp3を再生してみる。トラック1は試し録音、トラック2が本編だ。ところが30秒くらいで音が消失して、トラック1の再生が始まる。アレッ!もう一度、トラック2再生開始、またも音が消失トラック1の再生が・・・・。ガーーーーン!録音失敗かよ!レコボタン押したあとポーズボタン誤って押してしまい、ずっとポーズ状態になってたのか???血の気が引いていくと同時に絶望感が迫ってくる。落ち着け。大阪郵便局の前で信号待ち中にICレコーダーのディスプレイを確認。トラック1は27秒。トラック2は・・・2時間19分。ホッ・・とりあえず録音はされてる。なんで再生が止まるんだ?
 どうやら、歩きながらの再生操作だったため、トラックバック操作を意識外で行ってたらしい。アホもいいとこ。軽く触れただけで作動することが判明。もうちょっと強めで反応すればいいのに。消費者はわがままなのだ。JR大阪駅から快速に乗って京都へ向かう車中に、プレイバックを確認する。ブラックモア先生から頂いた(無断だけど)貴重な教科書はなかなかの音質に加え、ギターの音もはっきりと良好だ。Fires At Midnightはぜひ完コピに挑戦したい!(完コピ録音保存済)
   

 さて22:15頃京都に到着。さっそくみやげを・・・なんじゃこりゃ!コンビニ以外閉店状態。東京とは違うのね。まいった。遅い夕食をコンビニ食で済まし、夜行バス乗場である新都ホテル前に戻ってくる。ホテル中庭の長いすに座り、今日1日の出来事、コンサート中の出来事について印象に残っているものを、箇条書きに残しておく。後日このレビューを書くためにだ。時が経つとあっという間に記憶は喪失してしまうからな。
 そろそろバスの到着時刻が迫ってきたので、バス停に移動する。オバチャン2人、若い男一人が八条口からの乗客らしい。なかなかバスは到着せず、定刻より10分遅れの23:25頃ようやく京都を発つ。座席は往路と同じ席なんだけど、バス備え付けの案内がない!これは行きと同じバスだ。盗んだ犯人はオレだ!こっそりとご利用案内を戻しておいたのは言うまでもない。23:45消灯と同時に耳栓して就寝するんだけど、バスの揺れと慣れない姿勢での睡眠に、2時間おきに時計を確認した気がする。行きよりは眠れたかな?10月19日6:25頃JR立川駅北口に到着。乗客10人くらいが降車する。次のパレスホテルでは誰も降りる人はおらず、そのまま終点地である自宅最寄駅へとバスは向かう。6:40に到着。駅近くに留めていたチャリに乗って6:50に帰宅だ。自宅近くで知己の人が出勤するとこに出くわしてしまった。こんな時間に軽装で帰宅したところを目撃され、何と思われたことだろう。
 帰宅すると女房が少し不機嫌。自分だけ楽しんできたからかな?みやげもないし。しかしこの日の夕刻、昨日は何の日だったか知ってる?と問い詰められ、やっと気がついた。結婚記念日だったぜ。コンサートと台風でそんなのすっかり忘れてた。何年か前にあまりの忙しさに、自分の誕生日すら忘れてたこともあったっけ。女はアニバーサリーが好きだからなあ。ドイツワインとケーキ買ってきて少し嫌味で誕生日おめでとう!の音頭をとってやった。ま、なんとか、大阪公演は無事に目的を達成することができた。台風23号と24号(も発生)の動向を案じつつ、渋谷2公演も目的完遂を目指す。
       

2004年10月22日 渋谷公会堂 2階

 台風23号!結果はオーライだ。しかし、精神的苦痛を味わさせられた1週間だった。最初大阪は台風で諦めかと思ったら、予想以上の超低速でサンケイホールはOK。ところが、今度は劇的なUターンを見せて一気に本州方面へ。東京直撃コースのため、20日夜には非常召集がかかり職場に缶詰となる。しかし心は晴れ晴れ♪。なぜなら、問題なく渋谷公演を拝めることになったからだ。実を言うと今回東京公演以外に考えていたのは、大阪より東京に近い名古屋を当初考えていたんだけど、街をよく知らないことと、東京公演との合間が中1日と短いこと、そしてやっぱジャパンツアー初日がどうしても見たい!という理由で大阪にした経緯がある。その大阪公演と東京公演の隙間を台風はうまくすり抜けてくれた。名古屋を選んでたら、今ごろ地団駄踏んで落ち込んでたに違いない。本当にラッキーだ。もっともブラックモアウイークに台風が来たこと事態はやっぱ不幸なことだが。無用な心配をさせられ、生きた心地がしなかったわけだから。そんな台風直撃に伴う職場拘束の代替として、強制的に本日22日は午後から年次有給休暇をとらされた。12:30に自宅に帰ってちと休憩。さて早いけど早めに出発するとしよう。
 若い頃は、あんまり危機管理について考えなかったけど、まさに不測の事態に備えろ!だ。6年程前まで渋谷が勤務地だったことがあるが、何度中央線にはやられたことか。当時同僚によく「中央線は来た電車に乗るのが鉄則だ。後から来るであろう特快を待つのはナンセンス。もっと先の追い越される駅で乗り換えるべし!さすれば人身事故で止まっても、少しでも目的地に近づいてる。」なんて奴がいたっけ。そこまではしなくとも、どんなトラブルが待ち受けてるかわからない。なるべく早めに会場に近づいておこう。っちゅうことで、小学校と幼稚園からすでに帰ってきたチビ2匹がいっしょに連れてけ!と大騒ぎでまとわりついてくるのを振りほどき、15:00に自宅を出発した。駅までの道すがら、忘れ物に気がつく。なんと、チケットを忘れてたぜ!女房に「何が偉そうに危機管理よ。肝心のチケットがなけりゃ、早く着いたって会場に入れないじゃないの!」ごもっとも・・・・。
 
 原宿駅に着き、代々木体育館方面へ行こうと歩道橋の近くまで至ると、どっかで見たことのあるオジサンが・・・・。この10月の人事異動で渋谷に転勤した人だ。「お、なんだよ。今日は・・・休み?」「台風の振り替え。」そんなに仲の良かった人でもなし、あんたみたいな人が原宿に何の用って眼差しだ。「渋谷公会堂でちょっと・・・」原宿に用があって来たのではないとアピール。コンサートがなけりゃ足なんか絶対踏み入れない用なし地域だ。しかし、このごった返す雑踏で知己に出くわすかあ〜。早々に別れて時間までNHK放送センター近傍の公園野外ステージ近くのベンチで缶ビールに新聞で暇をつぶす。
  
 ダフ屋をやり過ごし、18:40頃、80年代中頃のラウドネス、89年のゲイリームーア以来3度目の渋谷公会堂、2階中央3列目に着席。サンケイホールに負けず劣らず狭い座席だ。古い建物なのでゆったりとは作られていない。ホールは2000席を越えるため、サンケイホールより一回り大きく、そのためかステージまでの距離も若干大阪より遠くなってしまった。でもぼったくりの武道館と比較するとはるかにマシだ。
 
 19:15頃、例のBGMが始まると同時に歓声があがり、手拍子まで始まる。曲が盛り上がってきたところで、ステージだけがまず暗くなり、4つある皿に火を灯していく。そして場内の照明が消え、姉妹がステージ前に登場。東京初日のスタートだ。オレの左隣と前の座席は空席のままだ。もう、来ないのかな?
 キーボードがEを重厚に始めると、大阪とは違い、そのままブラックモアがステージ右横から登場。定位置につきスポットライトを浴びてからスティールを弾き始める。顔を少し上げる合図をするとこれまた大阪とは違いE-C-G-Am-Eのパターンのコード進行をバックにアドリブスライドが続く。ブラックモアの指示か、キーボード奏者の技量か、とにかくこのライブごとの相違感がブラックモアミュージックの醍醐味のひとつだ。 Cartoucheが終わると「コンバンハ、トウキョウ、ハロー。・・・モドッテ、コレテ、ウレシイデス。」とご挨拶。ここで隣の席の人が遅刻して到着。ただでさえ狭い席幅に大柄なおっちゃんだ。背丈、体重ともオレを上回ってること間違いない。椅子背にもたれるとお互いの肩が密着しそうなので、おっちゃんは前屈みにずっとなっていた。
 
 2曲目はQueen For A Day。ラストフレーズが段々上昇してきて、最後は1弦を使用してE-F-G音を長く繰り返すパートでかなり終了のタイミングが判りずらいため、サイドギターのメンバーがA−A#−C−A,Aと演ることでエンディングへのタイミングが判別できるようにアレンジされていた。Under A Violet Moonのラストではナイトのボーカルコードが絡み、マイクスタンドが倒れてしまう。自分で起こしてMCに。ビールタイムのブラックモアは会場の最前列聴衆にも配っている。今日は出だしでdimのFTAを軽く決めてMinstrel Hallがスタートする。ワンコーラス後音量が気になってたのか、2コーラス目に入るまでの3秒間の間にレベルを調整。素早い動きだ。
 曲はPast Time With Good CompanySoldier Of Fortuneと続く。このイントロ独演も大変素晴らしい。ただ、Amキーの曲に対しEmキー使用は、彼の最も実力を発揮できるキーがEmなのであろう。純粋にあの速弾きぶりは難しい。ギターが泣きつつ速い!(上記クリック管理人の演奏はなぞりコピー後即アップしてみました。何回か繰り返してもこの程度の出来で1発アドリブのブラックモアの演奏と比較すると・・・・。コピーでこうだもの。即アドリブなど、速さとメロのどっちもヘタレな演奏しかできない自分を再認識させられた独演ソロだ。)この素晴らしい曲のあとに、あちこちからあがる「リッチー!」の声援に甲高いまぬけ声で「はあ〜い」だもんな。Durch Den Wald BachausDiamonds And Rust、そして大阪よりも遊びを盛り込みながらのHome Againと続く。
 
   
 
 お次は
注目のFires At Midnight。今日はフィンガリングから物悲しく中間部のソロを開始。途中ハーモニックマイナーを強調したワンフレーズを除き、全般を通じBマイナースケールを基本とし不安定な音は使用していない。バックの演奏をブレイクさせた後はまた感服独演ソロ。Bm(ルート,m3th,5th,)、A#dimと休憩がてらに奏で、ドミナントF#からバロック調のアドリブコードフレーズで盛り上げていき、ここからは嵐のフィンガリングがこれでもかと押寄せる。FTAの連発、コード分散フレーズにベース音鳴らしつつ速弾きフレーズ。完全に手癖のレベルに到達してる。会場内は誰一人として声を出すものはいない。

     

 曲間に遅刻して前の座席の人が到着。社会人は仕事を持っているからなあ。この人も大柄で、最初左、前と空いてた空間が完全に埋まってしまった。曲は大阪と順番こそは違うが、同じセットリストでRenaissanc FairGhost Of A RoseClock Ticks OnI Still Rememberと続く。そして次に演奏されたのはAvlon。大阪と異なるセットリストの登場だ。Mr.Peagramu's Morris And Swordが終わったところで再びビールタイム。何人かが一気に押寄せ、ブラックモア先生怖気づいて後ずさりしておりました。ラストはMond Tanz。今や最後の曲まで変更するのね。何の曲との曲間かは忘失してしまったが、メタラーらしきカップルが途中で帰ってしまった。BNにハードロック期待されてもなあ・・・。指示通りちゃんと曲間で帰るところは微笑ましい。
 忘失防ぐために最初手元にメモ置いて逐一メモろうとしたんだけど、結局暗くて見えないし、何より近隣の聴衆に「何だ?こいつ?」って思われそうなので断念した。このレビューはコンサート後の箇条書きと、録音したmp3聴き返して書いてるんだけど、さすがにメタラーが帰ったタイミングは音だけじゃわからん。
 
 ストラトのフィンガーボードを握る際に発生するノイズ音でストラトタイムを予感した聴衆が歓声を上げる。右隣の20代中頃らしき背広を着た青年は奇声をあげまくってた。彼女らしき女性が隣にいたけど大丈夫かな。あまりに豹変してたので。彼女は知られざる彼氏の一面を見てしまったかもしれない。1曲目はAll For One。2曲目のDifficult To Cureのイントロでも叫び巻くってる。収録したmp3にもちゃんと録音されている。切れ目なくSelf Portraitへと続く。Writing On The Wallは定番ストラトアドリブ中、音量を下げる指示。下がったところでBURNのリフを4回かますと、右隣の青年ばかりか左隣の40代後半のオッチャンまで奇声をあげる始末。
 アンコール4曲目は、ブラックモアがBlack Nightのリフを弾き始めるとバックもドラム、ベースと入り、ブラックモアがナイトに歌えみたいな指示。遊びではなく本演奏だ。2番はベースのメンバーが歌う。よくわからんのはソロ近くでブラックモアは後方アンプの更に後ろの方に行ってしまい、最初ソロを弾く気配がないためベースやキーボードが少しソロを代わりにとっていた。そのまま後ろの方で後ろを向いたままスライドプレイを暫く続け、元の位置に戻ってソロを続ける。最後は音量落とせ指示を出し、Woman From Tokyoのリフを間をとって軽く2回弾いた後、ギター振り上げブレイクダウンをして曲を終了させる。
 
 一旦引き上げたあと、次はアコギのアンコールタイムだ。Mid-Winter's Nightのメロをギターで弾き始めて、その後得意のE7アドリブ独演ソロを暫し続ける。さあ、Mid-Winter's Nightが始まるぞ・・・・あ、違う。物悲しいこのメロは・・Beyond The Sunsetだ。キャンディスナイトはステージ袖にはけていく。予定外の曲をブラックモアが始めたらしい。ステージ上の照明も日の入り後、完全な闇夜になる前の最後の青みがかった太陽光の色合いを演出している。個人的にPurple、Rainbowの有名ヒットテイクに飽き(未演奏曲なら興味惹かれるが・・Black Night、Smoke On The Waterクラスの曲は・・・・生演奏を聴きたいとまでは・・・その分もっと新曲を・・・。正直Renaissanc Fair、Clock Ticks On、Under A Violet MoonあたりのBN初期作品も飽きが訪れつつある。)を感じてるオレには、こういう曲の方に静かに熱くなってしまう。20席くらい離れた場所にいる奴の咳払いさえ、不快に感じるほど陶酔した。
  
 2曲目もMid-Winter's Nightのボーカルラインを奏でている。このことから、当初そのまま3曲メドレーを演奏するつもりでMid-Winter's Nightのボーカルラインを奏でてるうちに、急遽Beyond The Sunsetを演りたい気持ちになり、咄嗟にギターアドリブをE独演に移行したことがmp3録音を聴き返して判った。
 さあ、Mid-Winter's Nightが始まるぞ・・・・あ、違う(またも・・)、The Times They Are A Changin'だ。アルバムよりスローテンポでノービートだ。引き続きようやくMid-Winter's Night。メドレーになってたのか。3曲メドレーの最後はDandelion Wineだ。お別れの曲だとブラックモアがインタビューで言ってた。
 
 R:私達は、よくオーディエンスのことを考えながら曲作りをするのだけど、こういうタイプの曲で、ファンにいっしょに歌ってもらってショウを終えたい。この曲の内容は再会だよ。
 C:それぞれの歩む道を進んでいくうちに、またいつかどこかで会いましょう・・・という内容よ。(2004年当時のインタビューより抜粋)
 
 大勢詰め掛ける聴衆にブラックモアはステージの右から左に移動しながらタッチをかわすが、さばき切れず申し訳なさそうに引き上げて行く。終了後のBGMが流れて、場内の照明が点いてもまだキャンディスナイトだけは次から次へと押し寄せる聴衆にタッチを繰り返している。ステージ上のスタッフも困惑、ウドーの係員は必死の防戦。ほぼ突進した全員とタッチを交わすが、いい加減申し訳なさそうにバックステージに消えていった。ICレコーダーを停止させると、2時間33分を表示していた。残りは5分程度だ。出口がかなり混んでるようなので解消するまでそのまま場内に残り、舞台の後片付けを見てると、バイオリンの女性メンバーが舞台に戻ってきて、何やら自分の機材を点検だか、片付けだかをしてる。ほとんど人がいなくなった頃、係員に閉めますので退場願いますと促され、公会堂を後にした。
 
 渋谷の喧騒を避けて、行き同様のルートで帰宅すべく原宿へ向かうがやられた。代々木オリンピックプールで誰かのコンサートがあったらしく、歩道橋の上を人がノロノロと数珠繋ぎに移動しているのが遠巻きに見えた。通勤時間帯並にごった返す原宿駅。新宿方面の電車が到着するがすでに満員状態。すし詰めに押し込まれてしまった上、最悪なのは四方八方を若い女性陣に囲まれたため、痴漢に間違われぬよう手を上げて乗車してたんだけど、電車の揺れにカバンに入れていたICレコーダーの+ボリュームが押されて、聴いていた渋谷公演のプレイバックが劈く大音量となってしまった。当然耳からは外すが、手をカバンに持っていくことができない。無理やり下げると痴漢の冤罪が待ち受けてそうだ。しかしミニヘッドホンから漏れ出す音はいい迷惑で四方八方を取り巻く女性たちの冷ややかな雰囲気に絶えられず、手を降ろさずにカバンを無理やり引っ張り上げて停止ボタンを押す。引っ張り上げたカバンはもう下ろすことは不可能で、私の真前にいた背の低い女性の後頭部に押し付けるような形になってしまい、大変申し訳ありませんでした・・・・。
 23:40頃帰宅。家族は全員就寝。mp3をパソコンに取り込んだり、ライブ中の出来事をまとめたりしていて、寝たのは2:00頃。明日(日付はもう今日か)は娘の授業参観だ。その上昼飯は近くに出来た回転寿司に連れて行け、だとか、コンサート前に行事が目白押しだ。


2004年10月23日 渋谷公会堂 2階

 昨日の出来事をホームページに忘れないうち随時書き込んでおく。思い出の日記代わりだ。22日のレポートを最後まで書く暇はなく、今日の最終日を体験するので記憶が混同しそうだ。しかし、子供の授業参観行かねば・・・とても時間はない。それと気がかりは3時間コンサートをやられた場合の対策だ。双子姉妹のオープニングまではブラックモアのギターもないし、寸分違わぬメロだからそこまではカットして、1曲目から録音するか。導入BGMと合わせて6.7分は節約できそうだ。アンコールを求める手拍子中もカットで更に1分。音質落とせば4時間30分録音できるんだけど、コンサートは今までどおり2時30分で終わる確率の方が高いだろうし・・・。いや、最終日はやっぱ高音質で行きたい。足りない時は諦めだ。
 13:30に回転寿司屋から帰ってくると、即効で出発準備だ。シャワー浴びて、ICレコーダーの新品電池を女房からもらい、チケット、ミニヘッドホン、ハンカチ、そして忙しくて未だ読んでない今朝の朝刊をカバンに詰め込み、14:00きっちり自宅玄関を出る。
  
 今朝2:00に就寝して、7:00に起きたため電車に乗ったとたん睡魔に襲われ、新聞は1〜2ページ読んだだけで乗り換え駅に着いてしまった。今日は原宿ではなくひとつ手前の代々木で降り、コンビニで缶ビール500ccのエビスを購入し、明治神宮入口近くにある消防出張所隣にある首都高下の公園でゆっくりビールを飲みながら新聞を読むことにしてベンチに腰掛ける。と同時に(本当に途端)年配の女性と若い女性の2人が掃除用具を持って公園内に。どうやら、ボランティア活動の一環で公園の掃除に来たらしい。公園内を見回すと、ダバコの吸殻が無数に、コンビニの袋のゴミなどが所々放置されている。年配の女性は公園の外を掃き掃除を始め、若い女性は公園内のゴミを拾いに入ってきた。明らかに彼女の様子は警戒心で一杯だ。そりゃそうだろう、土曜日とはいえ真昼間から缶ビール飲みながら、ベンチで新聞読んでるオッサンがいたらオレだって警戒する。読んでた新聞が日経新聞で、持ってきたカバンがビジネス風だったのが幸いし、懐疑心を抱きつつも危険度は低いと判断され、ゴミ拾いをしながら少しづつこちらへ近づいてくる。
 私の目の前にも若干ゴミが落ちており、相手の警戒心を解くため「大変ですね、ゴミを捨てていく悪い人が多いから。」なんて話しかけて拾ってあげようかとも思ったが、反対に警戒心を増幅しかねないと思い、すでにゴミ拾いの済んだベンチへ移動してやり過ごす。
 段々居心地が悪くなってきたので飲み終わった空缶をカバンにしまい、渋谷勤務時代に通勤経路として通っていた明治神宮内の道中に至り森林浴を楽しむ。
 途中、孝明天皇展を催している建物(文化館)のテラスに丸テーブルを見つけ、そこを開演までの安住の地に選び16:15頃まで新聞で過ごす。

 来日プログラムやグッズには目もくれず16:45頃には渋谷公会堂の2階席に着席する。通路横のラッキー席だ。2時間以上もあの狭い座席に着座していると、エコノミークラス症候群になりそうで、足を伸ばしたり肘掛を片側だけでも存分に使用できるのは嬉しい。しかも開演時間になっても隣席は空席のままで、うまくすれば両側に対して余裕空間を確保できるかも。今日は、長時間ライブを想定して予定通りケチケチ作戦で録音することにする。これが、後に失敗の導入になろうとはこのときは夢にも思っていない。
 17:14頃、導入のBGM開始。パープルナンバーのあたりで電源ON(5分で電池節約のため自動オフとなる機能が備わっていることが、反ってわずらわしい。早々と電源入れてしまうとRecボタンを手探りで押したときには電源が切れてる可能性があるため)。しっかりと録音ボタンを親指で確認したまま待機し、待ちきれず予定より早く双子姉妹のオープニングで録音開始!のはずだ。暗闇の中、ICレコーダーのディスプレイはさっぱり見えない。不安感が込み上げ、思わず通路対面の2列ほど前の座席に設置されている客席誘導灯の明かりで確認したくなるが、怪しい動きを係員に見つかるのが怖いのと、何よりその座席の人だけでなく附近一体の聴衆に不気味がられる方が怖く、ここは覚悟を決めてレコーダーを所定の位置に置く。
 
 昨日と同じく定位置についてから暫くEをバックにスライドプレイ、途中で大阪と同様の、昨日とは異なるE-Am-G-F-Eの進行に変わる。Cartoucheが終わっても昨日挨拶済みのため日本語はなし。続いてのQueen For A DayパートU部分の分散ピッキングフレーズで明らかに違和感のある音。帰宅後、聴き返してみるとA−Dm−C−FのF分散部分(A音-F音-C音)で1弦17フレA音のところ16フレG#音となってしまったことによる。観戦3日目にして明瞭明白なミスをようやく発見、鬼の首を取ったような気分だ。それほど完成度の高い演奏が続いていたのだ。
 Under A Violet Moonのバイオリンソロでは、ブラックモアの指示でバックのアンサンブルはコード進行をスタッカートでブレイクさせてる演奏を実施。色々細かく即興でアレンジを変えてくる。事前に打合わせをやると新鮮味がなくなるとのことで、正しく本番一発だ。
 例のDim上昇を混ぜつつ軽く独演ソロからMinstrel Hallの始まりだ。ミドルパートから段々とフレーズを上昇させてトリルブレイクするまでの間、サポートギターのメンバーの方に顔を向け、いっしょに演奏できることを楽しむように目で合図をしながら弾いている。一瞬の気の緩みが誤魔化しの聴かないミスに繋がる(露見する)アコギプレイでようやる。ラストの独演プレイも・・・本人はある程度アコギの手癖になってるとは思うんだけど、あれだけ華麗にテンションコード混じりに、しかも素早く音符を連発されると音取り自体に辟易してしまいそうだ。音楽的センスの貧弱さだけでなく、そもそも指の運動能力も劣ってるわ。運動神経系は時間を弾かないと解決できそうもない。音楽的センスは一生かかってもダメだろう。
 
          

 次の曲ではドラムがビートを叩き出したのはいいが、ブラックモアのギターがアンプから鳴らないらしく、他のメンバーは暫くリズムを刻みつつ待機。ベースがちょっとしたアクセントを入れたりして間を持たしている。69秒後にようやく1・2・3・4の掛け声でPast Time With Good Companyがスタートした。
 ビールをグイっと飲み、最前列の客に別のビールをプレゼント。間合いがあったため他のメンバーに「レディ?」と声をかけてから、物悲しいAmキーの独演フレージング.そしてAmアルペジオを合図にSoldier Of fortuneが始まる。中間部のソロで冒頭キメフレーズはオクターブ下で弾いている。エンディングのアドリブフレーズは、今までの2日間はスライドプレイだったところを今日はハーモニクスとフィンガリングで締めた。
  

 ところで、この曲の途中、なんとなく揺れている感じがしていたが、曲間で次の曲の導入フレーズをDメジャーでブラックモアがアドリブってる最中、明らかな強い揺れ(震度3か4かと)。地震だ!1弦2.3フレのトリル部分で演奏中断。聴衆のどよめきが上がる。ブラックモア先生は軽く万歳をした「Oh my God!」ポーズを取ってる。地震慣れしている聴衆はそのポーズに喜んで拍手している。日本人だか外人だか「Don't worry!」の掛け声も。ナイトは比較的落ち着いて、笑い声も出ていたようだけど、以前RAINBOWで来日した80年代前半頃、名古屋公演後ホテルでネズミか何かの物音で地震が来ると思い、夜中にタクシーで8万円かけて東京に行くくらいの主は、正直ステージを中断なんて言い出すんじゃないかと少しハラハラした。
 時たまDメジャーアドリブを弾きながらも、照明器具の揺れを見て、落下してこないか心配している様子だ。会場から今度は「Are You OK?」にNo! No!と2度答える。どこから持ってきたのかバイオリンの女性メンバーがブラックモアに、これかぶる?とヘルメットを差し出すと会場は爆笑の渦に。最後は責任者らしきスタッフまでが舞台に上がってきて、ブラックモアの不安を取り除こうと声をかけていた。約2分半の地震騒動は取りあえず幕を降ろし、インスト曲Praetorius(Courante)の演奏が始まる。さっきからほとんど無意識に弾いていたであろうDメジャーキーのフレーズはこの曲への導入ソロだったのだ。

    

 ここで面白い分析が得られた。オレが高校生の頃の経験を思い出したんだけど、教室の中で放課後アコースティックギターを弾きながら、クラスメートの女の子とある話題について話をしていた時のことだ。ちゃんと話を聞いているのに、その子は「人と話をしてるときは、ちゃんと聞きなさいよ!」とご立腹。ちゃんと聞いてるのに、何怒っとんねん。といった思いのオレ。暫くすると今度は「ギター弾くの止めなさいよ!」と手で遮られる。なるほど、彼女はギターを弾いてるオレが、真剣に話を聞かず上の空だと勘違いしたのだろう。この時のオレは単なる指癖を爪弾いてただけで、脳みそは会話にちゃんと集中していたのだ。逆に手で遮られて、あ、今オレギター弾いてたんか、って感じだった。もう何が言いたいかお分かりだろう・・・。地震で動揺しつつ、キャンディスナイトやスタッフ、そして聴衆とのやりとりで意識を集中させていない状態のDメジャーKEYのアドリブに、難しいフレーズがポンポンと登場。あれが半無意識下で弾く単なる手癖かよう!
 
 今度は気合を入れたEmキーの独演ソロ(冗談抜きでブラックモアのテクニックは現在が最高レベルだと思う。)をぶちかましたあと、何事もなかったように涼しくDiamonds And Rustに入っていく。ボーカルパートはアルペジらず大半をスライドギターで進行させる。う、また余震だ。グラグラ揺れるが、さすがにあの感情こもったプレイを中断はしない。バイオリンの女性メンバー主役のDurch Den Wald Bachausが終了すると「マタ、ニホンニ、モドテ、コレテ、シアワセデシタ!」(現在進行形なのに完了形かよ!)のMCでHome Againに突入だ。今日はいきなりGmイントロフレーズを崩すインプロビゼーションでスタート。ノリノリバージョンでおふざけ度もますます増し、ナイトも笑い混じりに歌い出す始末。Gのお遊びフレーズを演奏、そしてブレイク。ブラックモアは更に続けるそぶりで少し再開するが、冗談、Gmをジャラーン!場内も笑いに包まれ、ナイトもまた笑い混じりに歌う。定番のショートコーナーではHall Of Mauntain Kingのメインリフが大阪と昨日の流れだったが、今日はアコギのままWomann From Tokyoだ。しかもお遊びではなくしっかり1番のみ本演奏だ。ナイトがちゃんと歌っていることから、事前の打ち合わせで決めていたことだろう。
 
 次は今回のツアーで個人的に超お気に入りの曲Fires At Midnightだ。独演は無しでいきなりイントロアルペが始まる。前半の2コーラスまでの新アレンジ(F#m-C#m-E-F#m-C#mのところをBm-E-Eに変更)はキーボードだけでなく、しっかりブラックモアもそのようにポジショニングしているのがやっと今日確認できた。中間部ソロはBナチュラルマイナーを使用してお涙フレーズが続く。ただ一点、速弾き展開中に経過音として一瞬大阪ではしつこく多用した準不安定音マイナー2th音が飛び出る。問題はないだろうが、1回のみの使用からフリージアンスケールを大阪のように確信的に使用したというより、速弾きで多用している手癖のEマイナースケール(7F〜10Fポジション)を思わず弾いてしまった、てとこが本音か・・・・。アンサンブル中断後の独演では、昨日の「休憩がてらコードトーンからバロック調〜部分」を、不況和音の度合いが高めの緊張感の高いコードでアルペジオを進めていく。そして長時間インプロヴィゼーションFTA。足を運んだ三公演ともアプローチが全然異なる持ち技の多さ。アマデウスモーツアルトの映画でサリエリがモーツアルトの楽譜を偶然見たときの、感嘆たるあの気持ちがよ〜く理解できる。そう理解までは出来る!論評するまでがオレの能力の限界だ。とてもあんな表現力を持ち合せていない。思いつかない。ブラックモア先生の存在は今や雲の上から、宇宙にまで飛んで行ってしまった。
 
  

 休むまもなく、Nur Eine Miniuteが演奏される。あまりにブラックモアのアドリブが凄まじくミドルパートからメインメロに戻るきっかけをバックが掴めなくなり、ブラックモアの「ヘーイ」(眉間にしわ寄せた表情だった。)の掛け声が上がる。小節ズレ程度のため、ほとんどの人はこの事態には気がついてなかったのでは・・・・。「ちょうど1分」という曲目だけど、小トラブルでの時間延長もたたり70秒の演奏にて曲は繋がったままHanging Treeへと変わる。普通ブラックモアのコンサートはスタジオよりライブはかなりテンポが速くなることが多いのだけど、この曲は逆にかなり遅く演奏している。またギターソロ部分もバイオリンがソロをそのまま取り、ブラックモアは数フレーズ、オブリガートを弾く程度で完全にバッキングに徹している。
 リクエストの声援は鼻っから無視し、予定通りRenaissanc Fairに曲は移る。そしてClock Ticks Onでは、少しふざけてハーディーガーディを演奏しながらギターを弾こうとする。誰も笑わない。少し外した様子。最後の曲はスタッカートアルペジオでスタートのI Still Rememberだ。
 
 さあ、録音時間の節約だ。係員が近くにいない上、薄暗いためもうICレコーダーの操作は何の警戒心もなく行う。手探りでしっかり停止させる。GK-2混じりのストラト試し音が場内に轟き、再びステージに戻ってきそうな気配。録音ボタンをしっかりと押す。しかし、暗さのため、ICレコーダーの状況はさっぱりわからない。そうこうしているうちにメンバーが戻ってきて、All For Oneが始まる。フィンガリングでフレーズを始め、例のごとくフレージングしなければならない所を中断し、完全ブレイクの間にスティールを取ってそのままスライドに移行。今度はスティールをいつもは投げ捨て、フィンガリングでないと苦しいキメフレーズまでスライドでフニャフニャと弾いている。自分がインプロヴィゼーションを楽しむこと優先で、聴衆がどう思おうと知ったこっちゃない状態だ。あのフレーズをスライドで挑戦するとは・・・・見習わないと。この日のお気に入りアレンジなのか、Renaissanc Fairで見せたブラックモアのギター振り上げによるスタッカートアクセントを転調後のラスト部分で実施。
 
 次は・・・ストラトのヴォリュームを絞って、Cメジャースケールをアドリブっている。前2日のコンサートにないパターンだ。何の曲演るんだろう・・・・。ナイトのボーカルが入る。Rainbow Bluesだ!相変わらずストラトになると、かなりラフなプレイに・・・特にバッキング。アコギと比較すると確かに入魂度は低そうだ。この後は定番のDifficult To CureSelf Portraitと続く。Self Portraitのエンディングでフラッテド5th音を伴ったペンタフレーズ。そして聴き覚えのあるチョッピングフレーズにオーディエンスの歓喜の声があがる。再結成リッチーブラックモアズレインボーのツアーの時ですら聴けなかった久々のBluesだ!前の曲のキーの都合上、ブルージーなA音階を聴かせてくれる。そのままAのキーを活かし、再結成レインボーバージョンのThe Temple Of The Kingへと曲は進んでいく。ノンディストーション音でAmのギターソロが展開されていき、途中からヴォリュームアップ!再結成レインボーのノリでストラトフレーズが再現される。ギターソロをブレイクさせるとドロくさいリフが始まる。ジミヘンのPurple Hazeだ。メンバーとの行き違いか、お遊び程度で止めるつもりだったか、ブラックモアが演奏を止めた後も続くリズム陣に両手の首切りポーズで「やめ、やめ!」と指示して、中途半端な中断となる。そんな様子にも聴衆は大うけで盛り上がる。
 息をつく間もなく、聴きなれないアルペジオが展開される。ギター1本で歌い出すナイト。何だろう?ああ、Since You Been Goneか。途中からリズム陣もインして来る。1番のみの短いテイクで曲は終了。ナイトのGood Night!の声を残して、メンバーはバックステージへ消えていく。
   
 もう一回アンコールに応えるはず、録音時間の節約のため再度停止。アンコールの手拍子の中、ふと嫌な予感が湧き上がってくる。全く見えない中でのICレコーダーの操作で停止や録音の操作を数回実施してきたわけだが、ある機能を思い出した。簡単に録音状態が解除されないように、Recボタンを長押しすると、停止ボタンを長押ししないと停止できない機能が備わっているのだ。暗闇の中の操作のためしっかりと押して操作をしたため、ひょっとしたらこの機能が働いてしまってるおそれがある。軽く押したときもあったような・・・。つまり、正常に作動させることが出来ず、録音失敗の最悪ケースが頭の中に浮上して来る。確認しようにも依然ディスプレイは全く見えない。そうこうしているうちにピックアップの拾うノイズ音が耳に入ってきた。今までの操作に間違いがないこと祈りながら、録音ボタンを軽く押し再アンコールのスタートだ。
 
 ストラトのコードカッティングで16Century Green Sleevesが始まる。アコギでのアンコールを想像していたオレは、まだ、ストラトタイム続けるんか!ひょっとして3時間コンサートに及ぶんではという不安が押寄せる。(素直にリアルタイムを楽しめばよいものを・・・。)
 3時間コンサートが気がかりなオレは、次のキーボードソロを節約のためレコーダーをまたも停止操作する。白鳥の湖のあたりで再度録音ボタンを入れる。もう完全にレコーダーの状態がどうなっているのか判らない。おまけに腕時計も暗闇の中では電池を節約するタイプのもので、19:15を指したまま止まって随分経っており、今何時なのかも判らず不安で一杯だ。Writing On The Wallは不安と邪推の中、雑念のあまり記憶がはっきりしない。確かいつものようにBurnのリフは演っていたはずかと。
 次に記憶があるのは、Writing On The Wall終了と同時に聴衆が多数舞台に詰め掛け、ナイトとタッチを交している様子だ。ストラトで公演が終了するはずはないと思い込んでるオレは、ブラックモアの動向を見張る。やはりバックステージに戻ることなくストラトを外して、アコギを装着している。その間もナイトは一旦バックステージに引き上げるつもりで聴衆とタッチを交している。レコーダーの残り時間も、現在の時分も、そしてレコーダーが動いてるかどうかについても猜疑心一杯のオレは、録音は放置してすっぱり諦め、今から演奏されるであろう日本ツアー最後のアコギプレイに集中することにした。

 ブラックモアが試し弾きを始めると、ようやくナイトはそのまま演奏することに気がついたらしく、ファンからの贈り物を持って一旦バックステージに消えて行く。アコギを試し弾きしながら、ナイトの戻ってくる機会を伺うブラックモア。ちらちらとバックステージの方に視線を送っている。ナイトがステージに戻ってくるとさりげなく何かを伝える。おそらく演奏曲あたりだろう。最後は昨日同様のThe Times They Are A Changin'Mid-Winter's NightDandelion Wineと続く3曲メドレーで締めくくりだ。これでブラックモアともお別れだ。最後のお姿は、ステージキーボード側上の藁束を観客席に投げ込み聴衆の笑いを誘う。聴衆の誰かが藁の切れ端だか、贈り物だかを逆にブラックモアの附近に投げつける。一瞬たじろぐが、そのまま最後の感謝の意を表しつつ舞台左側(キーボード側)へと消えていった・・・。終わってしまった。
            

 結局隣席は最後まで空席のままで、両肘・両足をゆったりと伸ばして最終日は過ごすことができた。場内の照明が点くと停止していた時計の長針が停止してた位置から一生懸命に現在時刻まで移動中だ。19:46分!か・・。曲数がかなり多かったので3時間近く経った気がしてたけど実質は2時間30分コンサートだった。ということは、ICレコーダーの許容録音時間内に充分収まってるはず。早速ICレコーダーの確認だ。電源が落ちている!ショック!録音失敗か!・・・。電源を入れようにも電池切れをディスプレイは表示している。ああ、最終日は初テイクの曲一杯演奏したのにみんなおじゃんかよう!とほほほ・・・。しかし、どういうことだろう?なんで電池が・・・。ガーーーーン!そうか、昨日から電池を交換してない。新しい電池を女房にもらってたのに交換してなかった。危機管理が全くなってない。とにかく電池を交換して中身を確認してみることに。
 ディスプレイに表示される。トラックは・・・4まで記録がある。ああ、良かった取りあえず録音停止させた回数だけトラックはある。ただ、トラック4が5分弱と異様に録音時間が短い。ひょっとすると・・・・聴き返してみたところWriting On The Wallのギターソロ途中で消失、電池切れになったようだ。大ラスが録音できなかったのは痛いが、変更してきたセットリストは何とか確保できたようなので良しとしよう。舞台を眺めると、どんどん植栽や楽器類が片付けられていく。名残おしいが、もう一度舞台上にまだ存置されているブラックモアの楽器群を目に焼き付けて渋谷公会堂を後にした。波乱万丈な1週間が幕を閉じた。 


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