徳永英明


突然ですが、近頃、急に徳永英明のファンになりました。
彼の実力は世間では周知のことなのかも知れませんが、普段、CDやコンサートなど、ジャズかクラシックでなければ聴きませんし(趣味が上品なもので…)、
昨今はテレビの歌番組も少なくなっているので、歌謡曲(「Jポップ」ですか?)を耳にすること自体が少ないのです。
そういう折、先日NHKの番組で何気なく耳にした男性歌手の歌が、妙に上手いので、気になってツタヤで「ヴォーカリスト」のCDを三枚借りて聴いてみました。>
改めて聴くと、やはり異常に歌が上手い。こんな人がいたのかと驚いてしまいました。
その借りてきた「ヴォーカリスト」は、過去に女性歌手が歌ってヒットした曲のカバー・アルバムですので、
私でも一度くらいは聴いたことのある曲ばかりですが、どの曲も実に新鮮に聞こえます。
第一集の「ハナミズキ」、言わずと知れた、一青窈のヒット曲です。でも、これ、こんなにいい曲だったんだと改めて知りました。
第二集の「セカンド・ラブ」、来生姉弟の名曲です。中森明菜も上手い歌手でしたが、徳永はレヴェルが違う上手さです。
第三集の「まちぶせ」、荒井由美は悪くはないんだけど特に好きでもない歌手の一人でした。今回、その理由が分かりました。
要するに歌が下手だったんですね。徳永で聴いてみて、こんなにねっとりした良い曲だったんだと再認識しました。
全体として曲のアレンジも、ギターやピアノだけの伴奏とか、シンプルに徳永の声を生かしたものが多く、
夜に聴くと、徳永の、独特の世界に引き込まれてしまいます。
(2009/5/12)

先日、上で触れた「SONGS スペシャル」の再放送があったので、見直してみました。
他の女性歌手も数人出てきて歌ったような記憶もおぼろげにありましたが、私の記憶では、これは徳永の歌を中心にした番組でした。
ところが驚いたことに、この90分の番組は、松田聖子や今井美樹や竹内まりや等の歌が中心で、徳永英明はたった3曲しか歌っていなかったのでした。
つい2・3週間前のことだというのに、人間の記憶なんて当てにならないものです。
しかし、それにしても、その徳永の歌の見事なこと!
三枚ある「ヴォーカリスト」のCDから、さらに練り上げたような歌唱で、改めて聞き惚れてしまいました。
全体に何か作り物のような感じが残る松田聖子、曲と詞はプロだなあと思う松任谷由美、歌も曲もいいけど歌詞の意味がいまいち分からない一青窈…
なるほど〜、これでは他の歌手の印象はすっ飛んでしまうわなぁ〜と妙に納得したのでした。
(6/1)

ついでにもう少し書いておくと―公平という基準は重要なので―、「他の歌手」で印象に残ったのは、今井美樹と竹内まりやでした。
今井美樹というと私には女優というイメージしかなかったのですが、この番組でピアノとのデュオで歌った「Pride」は、今井の歌唱も素晴らしく、
ピアノの即興的な伴奏も面白くて、彼女の歌手としての実力を、今更でしょうが、改めて知りました。
竹内まりやは「ヴォーカリスト」の三枚のCDの中で(中島みゆきと松任谷由美というシンガー・ソング・ライターのツートップ(*)と並んで)三曲取り上げられている歌手です。
「ヴォーカリスト」に入っているのは、「駅」、「シングル・アゲイン」、「元気を出して」の三曲ですが、TsutayaでCDを借りて他の曲も聴いてみました。
特に歌詞において情念の表現では並ぶ者のない中島みゆき、曲はいい(笑)松任谷由美という二人比べても、曲・詞・歌、どれも平均的に素晴らしい出来です。
ところが不幸なことに、外見が可愛いということが災いして(!)、若い頃はシンガー・ソング・ライターとしての実力が過小評価されてしまったようです。
また「欠点」はしばしば才能です。「平均的にどれも良い」というのは「特に良い点がない」という評価と裏表です。
番組で歌ったのは、「時というものはこんなに早く過ぎるものなのか」、「50でも人生は素晴らしい」という感慨を歌った「人生の扉」でした。
その歌詞の通り、「その人が何をしたいのか」ということが、世間にも当人にも分かるためには、時の経過というのは必要なのでしょう。
(6/7)
(*) 続編を予想していなかった(であろう)第一集が、中島みゆき「時代」で始まり、松任谷由美「卒業写真」で終わっているのは
この二人へのオマージュの意味をこめたものでしょう。


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