ベトナム人の結婚式


 先日、下宿先の息子さんの結婚式に出席した。ちなみにベトナム語で花嫁はコーゾー、花婿はチューゼーというが、花婿は中肉中背ではなくて、背も高くて筋肉質のスポーツマンである。2003年12月にベトナムで行われたSEAGAMES(東南アジア各国持ち回りのオリンピックのようなもの)ではハンドボールの選手として活躍し、金メダルを獲得した。なお、ベトナムではプロのスポーツ選手は政府から給料をもらっており、彼も一種の国家公務員である。「日本では政府はスポーツに関与せず、民間企業が選手を養っている」と言うと、「日本はアジア一の金持ち国なのに、国の名誉のために戦う選手を養うカネも政府はないのか?」と怪訝な顔をしていた。


 まぁそんなことはさて置き、結婚式を1週間後に控えたある日、家に帰ると色々と豪勢な物が一階のテーブルに並んでいた。聞けば、花婿の家から花嫁の家に贈り物(結納品のような物)をするアンホイという儀式が行われるという。そのうちに青い服のお兄さん達がドカドカと家に入り込んで品を運び出した。業者の人かと思ったら、花婿の友人達が手伝いに来たという。ご苦労なことだ。そして結納品とともに車に乗って花嫁の家に。花嫁の家では今度は赤い服を着たお姉さん達が待っていて、こちらも花婿の友達だという。そして彼女達はその結納品搬入の手伝いをしていた。まったく友人のためとはいえ、ご苦労様である。


 で、花婿・花嫁は挨拶もなくそそくさと2階にあがったまま、戻って来なかった。いったい上の部屋でどんな(*´ω`*)ムフフなことが行われているか謎であるが、私も含めて来客一同は一階でお茶をしながら待つことになった。そのうちどんな儀式があるのかと心待ちにしていたが、特に何もない。えっ、これだけ!?と思っていたら、青兄さん達と赤姉さん達が楽しく談笑して、さながら合コンのようであった。ああなるほど、彼らがご苦労にも手伝いに来たのはこのためだったか。日本でもよくある友達の結婚式で将来のつがい相手を見つけるというやつだ。



 こうして無事アンホイの儀式が終わり、1週間後に本番の結婚式が行われる。日本の結婚式だと、仲人が出てきて「大事にしなければならない3つの袋」とか「幸せは2倍。悲しみは半分。」とか定番の台詞が聞かされる(?)が、こちらはただ晩飯を食うだけ。開会の挨拶もなく客が途中でぞろぞろと来てまた途中でぞろぞろとかえってくる。会場ではスピーカからガンガン音楽が鳴るし、あとで芸人が呼ばれて歌を歌ったり、どうもこのあたりは日本人の感覚からほど遠い。新郎新婦が各テーブルにやってきてお酒をついだり乾杯したりするのを除けば会社の慰安旅行の宴会の様だった。


 ちなみにこれが、新郎新婦が私のテーブルに来たときの写真。




これが呼ばれた芸人の写真。


この人はいつも他人の結婚式で歌っているのだろうか?


  次号に続く

「ハノイつれづれ」の目次に戻る

表紙に戻る