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この日は朝からとても寒くて、それだけでも充分私にとっては“ユウウツ”なのですが それ以上に、起きたときから感じる下腹部痛が私をとてもクライ気分にさせていました。 ちょうど1週間前に妊娠検査薬にて陽性反応が出ていたため、妊娠はほぼ確定している わけで、とても幸せな1週間を過ごしていたのに、この痛みはもしかしたら“流産!?” と、朝から落ちこんでいました。 というのも、4ヶ月くらい前に流産を経験しているので、その時のことを思い出してし まっていたのです。 1度目の妊娠は結婚してすぐの出来事で、生理痛とはまた違ったかすかな腹痛を感じ、 軽い気持ちで妊娠検査薬を使ってみたら、陽性!! うれしいような何となく照れくさい ような気分でダンナに報告したのを覚えています。小さい頃から、大人になったら経験し たいあこがれの出来事ベスト3が「車の運転」「結婚」「出産」だったため、「これで私 も大人の女ね。」と、幸せをかみしめていました。そんなときの思いがけない流産だった ため、しばらくは立ち直れませんでした。 それでも、私の前では決して涙を見せず、泣きじゃくる私を黙って見守っていてくれた 家族のはげましと、「私が頑張って明るく生きていれば、赤ちゃんは私のところへ必ず戻 ってきてくれる」との思いが、少しずつ立ち直らせてくれました。が、以来、毎月のよう に少しお腹が痛いだけでダンナに「何か妊娠したような気がする!」。車に酔っただけで 「今度こそ絶対そうや!!」と言い続け、そのたびに検査薬を使ってはガッカリというこ とを繰り返していました。 すっかりオオカミ少年になってしまった私ですが、ちょうど1週間前に、1度目の妊娠 の時のような痛みを感じ、お得意の検査薬を使ってみたら、陽性!。本当に本当にうれし い瞬間でした。 ところが、この日の朝の痛みは今までには感じたことのないズキズキとする痛みだった ため、「またもや流産?」と一気に心配な気持ちでいっぱいになってしまいました。 そのため、仕事を休んで病院に行くことにしたのですが、とても不安でいっぱいの私は、 「前日にバッテリーがあがってしまった車を、雪の降る寒空の下で修理してもらっている のを立って待っていたり、雪の積もったガタガタ道を運転したりしたのがもしかしたら悪 かったのではないか。どうしよう!!」などといった内容を、ダンナにグチリました。 これに対して、ダンナは「ウダウダここで言っていたってしょうがない。病院に行くしか ないじゃないか!」と強い口調で一言。 今思えば、朝の忙しい時に長々と“どうしようどうしよう”とグチられたら、私だって 気分が悪くなっていたかもしれないのですが、その時の私は、その言葉を聞いた途端、悲 しいやらくやしいやらで思わず泣いてしまいました。「しょせん男なんて、女がどんなに 出産に対して不安を持っているのか全然わかろうとしないんだー!」とくやしくてたまら なかったんです。これがまさしく“マタニティ・ブルー”というヤツだったのでしょうか。 そんなこんなで落ち込んだ気分で病院へ行きました。この日、診ていただいたK先生は、 前回の流産のときも私の担当医で、穏やかな関西弁まじりの口調で丁寧に説明して下さる 若い女医さんでした。前回のこともあったせいでしょう。先生は「あら。」と驚きとも、 戸惑いともつかない声をあげましたが、すぐに診察してくださいました。 妊娠反応が陽性であることや、今朝からの腹痛のことを話し(ついでにダンナの悪口も 言ってやろうかな、とも思いましたが、さすがにそれはやめました)、いよいよ内診台へ。 検査が始まってからも、先生の「あら」とちょっと驚いたような声や、眉間にしわを寄せ て書類に何かを書き込むような仕草にも、思わず「ドキッ」としてしまい、結果も聞かず に逃げ出したくなる衝動を抑えるのに必死でした。 どのくらい待ったでしょうか。遠くで聞こえる子供の泣き声も、周囲のざわめきも、 現実のものと思えませんでした。 私を現実に引き戻したのは、先生の妙に落ち着いた、でもとても温かい、おそらく私が 一生忘れることのできない言葉でした。「おめでとうございます。現在、4週目くらいだ と思います。特に気になるような点は見当たらないし、腹痛もあまり気にしなくていいと 思いますよ」。何をどう答えたのかも覚えていません。「先生にまた診ていただけてうれ しいです」なんて、ちょっと的外れなことを言ったような気がします。 帰りの道では、朝の悔し涙が感激の涙にかわっていました。「あの赤ちゃんがまた私の ところへ帰ってきてくれたんだ。」と、その思いだけでとても幸せでした。 こうして私の妊娠生活が始まったのです。 ・・・ちなみに、ダンナの名誉のためにつけくわえておきますと、ダンナに対して腹が立 ったことはこの時のみで、妊娠生活中は私の体を心配し、いつも優しく気遣ってくれてい ました。ダンナの心遣いには現在とても感謝しているのですが、妊娠中はそのことよりも とにかく不安や心配の方が大きくて、精神的にも不安定になり、ついついわがままになっ たり弱気になったりしてしまって、なかなかまわりの人たちの心遣いなどは見えなくなっ ていたのかもしれません。 「それもこれもみんなマタニティ・ブルーのせいだ!!」と 勝手に理由づけして一人で納得しているのですが、どうでしょうか。 |
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