妖華−女神館の住人達
 
 
 
 
 
第百十五話:碇姉弟の碇姉弟による妖しいお時間
 
 
 
 
 
 女だけの大会であり、男はいないはずであった。
 審判だって全員女だし、いるのは会場警備と雑務係が数名いるだけである。
 だが午後の部が始まって早々、ぶらりと姿を見せた長身の青年は明らかに忍び込んできた風情ではなかった。
「ここは部外者の立ち入りは禁止されている筈よ、何者」
「さーて、誰でしょう」
 台詞と違って顔は笑っておらず、突如現れた闖入者に、参加者達の表情が険しくなった途端それは凍り付いた。
 自分達は百年かかっても追いつけない――及びも付かぬ美女がその横にすっと立つと、青年はその体内に手を差し入れたのだ。
 しかもあろうことか、そこから抜き出されたのは見た事もないような長剣だったのである。
 見るからに重そうなそれを軽々と一振りし、
「股間に木刀突っ込んで、セルフ破瓜してる連中がお遊戯大会してるって言うんで見に来たんだが、見る価値もなかったな。審判のおばさま方は、技をチェックするのに忙しすぎて、自分の顔の皺やたるみにはまったく気付いてないと見える――おや、気に障ったの?」
 これで嘲笑している表情ならまだしも、真顔で言われた日には神経の逆なでもいいところであり、まともに視線を向けられた審判の女性陣が、気色ばんで立ち上がった。
 いずれも手に木刀を持っているが、
「四人じゃ足りないよ――四人程度じゃ。東京学園から来た連中と、先ほどうろついていたゴロツキは片づけた。同じ出場者同士、敵を取るがいい」
 碇シンジという名を知らなかったのは、シンジにとっては大ラッキーであり、彼女たちに取っては大いなる不幸であったろう。
 血相を変えて、と言うよりどこか引き寄せられるように立ち上がった娘達を見て、シンジはにっと笑った。
 
 
 
 
 
「ふーん、要するに、あたしが結婚して人妻になる。そうなるとシンちゃんにはちょっかい出さないはず。だから今がチャンス――そう考えたわけね?」
 シンジに自分をあげるの、アイリスにいきなりそう言われ一瞬絶句したものの、すぐにミサトは自分を取り戻した。
 自分がゲットしたシンジのファーストキス、その時の年齢を考えれば、そしてませガキが増えている近頃だし、別にあり得ない話ではない。
 何よりも、既にアスカやすみれ辺りが、もうシンジに惹かれているとミサトは読んでいたのだ。
 だとすれば、一人置いてきぼりをくった感じのアイリスが、とんでもない事を言いだしてもおかしくはない。
 それに、ミサトは倫理的に見て悪いなどと口にする気はなかった。
 シンジと身体を重ねる事を妄想し、自分の乳に、或いは性器に熱く指を滑らせた時からもう、そんなものは粗大ゴミとして捨ててきた。
 それにシンジも、そんな事で否定はするまい。
 ただ、その結果は後ろの処女で終わってしまったが。
 もっとも、アヌスを指でぐにゅぐにゅと抉られたのは、ミサトにとってあまりに強烈すぎる快感であり、むしろそっちで良かったとも思うくらいだ。
 実のところリョウジが天井から吊されたのは、上手下手からではなく、アナルの初体験と比べて痛みだけが強調されたせいである。
 そう考えると、リョウジは加害者ではなく、むしろ被害者と言えるかも知れない。
(でもシンちゃんにお尻の穴抉られて…すっごく気持ち良かったわあ…)
 怒られるかと思っていた。
 シンジの事を好きなのは分かっていたから。
 ところが、相談を持ちかけたら一瞬唖然として、その後なにやら考え込んだと思ったら顔を赤くして、うっとりと宙を見上げている。
「あ、あの…ミサトおねえちゃん?」
 おそるおそる呼ぶと、はっとこっちに帰ってきたが、思考を読まれなかったのは幸いだったろう。
 シンジの姉だけあって、普段の精神防壁は半端ではないが、尻に侵入するシンジの指に身悶えていた自分を想像した瞬間、思考はがら空きになっていたのだから。
「シンちゃんの話だったわね」
 真顔になると、じっとアイリスを見た。
「う、うん…」
 睨むものでも射抜くようなものでもなかったが、アイリスの全身は硬直した。
 十秒ほどで和らいだ。
 と、今度は一転してニマッと笑みを浮かべたのだ。
「お、おねえちゃん?」
「ま、いいわよ、シンちゃんとシタければ、ヤっちゃっても」
 グラスを拭いている愛は、客の事に首を突っ込まない事くらいは知っている。例え視線がこっちを向いていても、意識はグラスにしかない。
「でもね、アイリスあんた多分身体汚いわよ」
「ア、アイリスちゃんとお風呂には入ってるよっ」
「そんな事は分かってるのよ。じゃ、あんたこのままシンちゃんとこ行く?」
 ううん、と反射的に首を振ったのは、入浴の有無を言われているのではない気がしたのと、何よりミサトの眉が少し寄ったような気がしたのだ。
「あんたが風呂に入ってるかなんてのは、どうでもいいのよ。乳臭い小娘とか、小便臭い小娘ってのは、風呂に入ってない子の事言ってるんじゃないのよ。その事、あんたの身体に教えてあげるわ。さ、いくわよ」
 さっさと立ち上がったミサトに、アイリスは慌てて続いた。
 
 
 
 
 
「それでアイリス、なんで急にそんな事言いだしたの」
 首を数回器用に回し、フリーズ状態から戻ってきたシンジが訊いた。
 アイリスの答えはあっさりしていた。
「おにいちゃん、すみれとえっちなキスしたでしょ」
「俺?」
「そう俺。すみれが首に絆創膏貼ってたよね。おにいちゃんがちゅーって、吸ったところに」
「…読んだの?」
「見てたの」
「さ、左様で」
「それだけじゃないよね、おにいちゃん」
 後ろから抱き付き、きゅっと身体を押しつけてくるアイリスだが、幼い肢体ながら既に乳首が当たっているのにシンジは気付いた。
 硬くなっているらしい。
 とりもなおさず、ほぼ九割は全裸であろう。
 シンジに気付かれぬよう浴場で待ちかまえるなど、アイリスにとっては造作もあるまい。いざとなったら、瞬間移動してくればいいのだから。
 まして、切り札があるとなれば当然である。
「あの、まだ何かあった?」
「あるんだよねえ」
 台詞だけ聞くと、アイリスがお奉行でシンジが罪人のように聞こえる。
「この間、さくらと織姫にもしたでしょ――織姫の方はそうでもなかったけど」
「そうそう、アイリスが勝手に読んだ時だ」
「う…」
 一瞬ひるんだが、
「だ、だってアイリスが読まなかったら、アイリスの知らない所でおにいちゃん、みんなとえっちな事するんだもん。そ、それにあれは無理矢理読んだんじゃないもん」
「ご、ごもっともで」
 すぐ反撃に出てきた。
(ってみんなと?むう…あれ?)
 どうやって撃退しようかと考えたのだが、ふと背中にあたる感触が冷えているのに気付いた。
 身体が冷えてるからだと気付いたシンジが、
「アイリス、ちょっと待った」
「え?」
「こっちおいで」
 背中に腕を回し、背中を向けたままの格好で、すとんと膝の上に落とす。
「ほらやっぱり。身体冷えてるじゃない、駄目でしょ」
「お、おにいちゃん」
 宙に身体が浮き、一瞬身を固くしたが、すぐに身をもたせかけてきたアイリスに、
「アイリス、キスならアイリスにもしたでしょ。それに、レニは従妹だから別として、俺の部屋で、それも一緒に寝たなんて誰もいないでしょ」
「やだ」
「え?」
「アイリスにしてくれたのは、おやすみのキスだけじゃない。それに、レニが寝てるからアイリスはおまけなんでしょ。どうせおにいちゃん、アイリスの事子供としか見てないんだから」
「……」
 小さなお姫様、いつになく強気である。
「ま、いいや。わざわざアイリスが姉貴の所に行ったのに、何もしないで追い返したら俺が怒られそうだ」
 ぴくっ。
 かまどころか、それ以前に勝手にのってきた。
「姉貴の所へ訊きに行ったね?」
「ご、ごめんなさいおにいちゃん…」
 これだけいつもと変われば、どこぞから知恵が入った事くらい分かる。そして、シンジ相手の知恵を付けるとなれば、ミサト位しかあるまい。
 怒られるかと俯いているアイリスの首筋に、シンジは顔を近づけた。
 はふっ。
「きゃふうっ!?」
 アイリスの身体がびくっと揺れ、見る見る耳が赤くなっていく。
「で、姉さんはなんて?」
「お、怒ってないの?」
「正直に言ったらね」
「あ、あのね…」
 
 
「さてと、少しお勉強しないとね」
 風呂が女神館より大きいとか、見下ろす眺めがいいとかそんな事よりも、アイリスは目の前でたぷたぷ揺れている乳に圧倒されていた。
 元々入浴は一人が多いから、他の娘の裸体も知らない。
 いや、知っていたってミサトの胸は群を抜いているし、これでシンジを誘惑と企むだけの事はある。
 おまけに色も白い、たっぷりと重量感もあってお買い得――いや、自分の控えめすぎる胸とは大違いである。
 アイリスの視線にすぐ気づき、
「触ってみる?」
 手に乗せて差し出したが、明らかに余っている。
「う、うん」
 おずおずと乳房に触れ、
「お、おねえちゃんのおっぱい柔らかい…いいなあ、大きいし」
 平らと言えばあまりにも平らな自分の胸を見ているアイリスに、
「揉んでもね、おっぱいは大きくならないのよ」
「ど、どうしたら大きくなるのっ?」
「いい恋したらね――こら、何よその顔は」
「だって、マユミは違うよ」
「たまにはああいうのもいるのよ。でもまあ、あたしみたいな美乳は、天然だけじゃ無理ね」
「アイリス…おねえちゃんみたいになれる?」
「それはあんた次第。さ、そこ座って」
 桶をひっくり返してアイリスを座らせると、いきなり股間に手を伸ばした。
「お、おねえちゃんっ」
「その様子じゃ、やっぱりちゃんと開いて洗ってないみたいね。アイリスくらいの年齢の子は、大抵じぶんのおまんこはちゃんと見ないからね」
「お、おまんこって…ミサトお姉ちゃん…」
「赤くなる所見ると、ちゃんと知ってるんだ。アイリスのくせにおませじゃない」
 当然だが、まだアイリスの股間は筋が一本入ってるようにしか見えない。
 秘裂としての形もないし、まして小淫唇など影も形もない。
「こ、この間クラスの子が…は、裸の本持ってきて先生に怒られてたの」
「クラスの子が?ったく、初等部のガキ共は何考えてるのよ」
 ぶつくさいいながら割れ目に指をかけて左右に開き、
「ま、確かにおまんこってのは俗称よ。正式には男性器が入るのは膣口からだし、ほらここ」
 上の方を指して、
「こっちはおしっこの出るところ――尿道ね。でもってこの少し上に」
 幼くとも女は女であり、ちゃんと形になってる小淫唇の基点に指で触れた。
「ひゃふっ!?」
「この中にあるのが陰核――クリトリスよ」
 自分の性器をまじまじと見るなど、生まれて初めての経験だったが、相手がミサトだったのと、冷やかす気配など微塵もなかったおかげで赤くならずに済んだが、クリトリスを覆っている包皮をちょっと指で押された瞬間、電流のような感覚が背を走り抜け、アイリスは思わず声を上げていた。
「医学的に言えばね、膣と尿道の間にもちゃんと名前はあるんだけど――」
 アイリスの耳元に口を止せ、
「太いおちんちんがおまんこから、ずぶずぶって出入りして、その度におまんこからえっちな液が止まらなく溢れてくる――って言う方が感じるでしょ?」
 ぼっ。
 首筋まで真っ赤になったアイリスに、
「一応の知識はあるみたいね。じゃ、後はシンちゃんに見られても恥ずかしくないように、ちゃんと綺麗にしないとね〜」
 妙に楽しそうな顔でアイリスの身体を軽々と抱き上げると、並べて逆さにした桶の上に乗せ、
「さ、お姉ちゃんが身体の隅々まで綺麗にしてあげるわよん」
 にやあと笑ったその顔に、アイリスはなぜか蜘蛛の巣にかかった蝶の気分が分かってしまった。
 
 
「姉さんにしてはいい事を言う――俺じゃ無理な話だ」
 確かに、普通の娘はあまり自分の性器をまじまじと見る事はあるまい。まして、アイリス位の年頃なら、丁寧に洗う事も少ないかも知れない。
 大したものだと妙な事に感心してから、
「で、避妊がどうとかこうとか言ってなかった?」
 ミサトからは何も聞いていない。
 黙ってアイリスを帰したのは、おそらくシンジに小学生の破瓜を遂行させる為ではあるまい。
「ううん、なんにも言ってなかったよ」
(やっぱりお尻だ)
「分かった」
 一つ頷いてから、
「アイリス、キスしよっか――ちゃんとしたの」
「ほ、本当にっ?」
「うん」
「じゃ、じゃあ…」
 んー、と顔をこちらに向けて唇を少し突きだしたアイリスの顔を両手で挟み、シンジは唇を重ねた。
 いつもとは違う、その思いがあるせいか幾分緊張気味のアイリスだったが、すっと離してまた重ねるそれを数度繰り返すと、慣れてきたのか今度は自分から手を伸ばしてきた。
 本来キスというのは、必ずしも快感のみに彩られているわけではない。
 キス自体を、他人と唾液を混ぜ合うなんて論外だと拒む者もいるし、何とかの味というのはとりもなおさず食べた物から来ているのだ。
 そして、その辺りがまだ未発達の年齢では、単にくすぐったいだけの場合も多く、だからシンジも幾度か触れるだけのそれを繰り返したのだが、もういい頃かと少し強く唇を押しつけ、そのまま舌の先端を差し入れた。
 一瞬歯列に力が入ったが、数秒も経たずに緩んで舌を受け入れると、まもなく自分もちっちゃな舌を絡め返してきた。
 既に感じる準備は出来ていたのか、徐々に下肢をもじもじさせだし、シンジがたっぷりと――と言っても普段の半分以下だが――咥内を舌で弄りまわしてから唇を離すと、切なげに足を摺り合わせている。
「どうしたの?」
「アイリス…お、おまんこがなんか変なの…熱くてじんじんするのっ」
「んー、どれ」
 ただし、触ったのは股間ではなく背中であり、
「暖まったからもういいね」
 抱き上げて湯船の縁に座らせると、
「あっち向いて」
「う、うん」
「そのまま、前にぺたっと倒れて」
 言われるままアイリスが身体を前に倒すと、ピンク色のアヌスと――控えめに息づく割れ目が見える。
 足を開いた状態だから、少しだけ中が見えており、
「アイリスのあそこ見えてる。お尻まで綺麗だよね」
「え?あ、や、だ、だめっ…うひゃっ!?」
 慌てて起きあがろうとした途端、シンジがつぷっとアヌスに指を差し入れたのだ。
「お、おにいちゃんそんな所汚いようっ」
「こっちも綺麗にしたげる、姉貴はそう言わなかった?」
「き、聞いてたの?」
 お尻に指を入れられたまま、アイリスが顔だけ動かした。
「聞いてないよ。でも、アイリスのお尻、指をおいしそうに銜えてるし。ほら」
「お、おにいちゃんやだあ…」
 いやいやと力無く首を振るアイリスだったが、シンジがあるものに気付いた。
(あ、溢れてきてる)
 幼い秘所からは少量ながら蜜が流れ、湯と同じ色にして微妙に違うそれがとろりと垂れてきている。
 指は抜かぬまま、
「アイリス」
「な、なあに?」
「アイリスの処女には興味ない――と言うより十年ぐらい早いの。勿論、今はまだ身体も出来ていないからね」
「う、うん…」
「でも、一度くらいイクのを経験するのは悪くない――こっちで良ければ、だけど」
「こっちって…お、お尻?」
「うん」
「お、おにいちゃんなら…アイリスいいよ。そ、それに…」
「それに?」
「本当はアイリス、ちょっとだけ指が入ってむずむずしてたの。だ、だからその…」
 一瞬言いよどんでから、
「お、大人になってからアイリスのおまんこはおにいちゃんにあげるっ。だから今はアイリスのお尻を思い切りかき回してえっ」
 言った途端、肛門は激しく収縮し、シンジも一瞬指を抜きかけた程のものであった。
 だがそれもすぐ元に戻り、
「了解。まだちっちゃいけど、もう愛液出てるし、たっぷり滑らせてあげるね」
「愛液?」
「そう。ほら、ここから出てるえっちな液の事」
 言うと同時に盛り上がり始めている恥丘をぷにゅっと摘んだ。
「はああんっ!」
 子供らしい甲高さの残る声ではあったが、喘いだ事と呼応するように蠢いた腰の動きはもう、まぎれもなくおんなの物であった。
 
 
 お尻の中で指がぐりぐりと動いた挙げ句、クリトリスと乳首の三点を同時に責められたアイリスは、どっと流れ出た愛液と共に失神した。
 わずかに失禁の痕も認められたが、シンジの水により、まったく痕跡を残す事なく清められ、シンジに担がれて部屋に戻ったアイリスは翌朝まで目を覚ます事はなかった。
 アイリスが目覚める前に部屋を出たシンジは、間もなく風呂敷を担いで黒木のホテルへと向かった。
 
 
 
 
 
(つづく)

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