妖華−女神館の住人達外伝
 
 
 
ドクトルシビウの闇カルテ:ツェザーレ
 
 
 
第七十六話:ミーア先生のお時間:理解り合える巨乳(もの)同士
 
 
 
 
 
「うわ〜、あたしとマリューさんの汗とまんこの汁が混ざり合ってべたべたになっちゃってる。でも、ちょっとマリューさんの汁が濃…いたっ!?」
 ぽかっ。
「うるさい」
 シンジとミーアはシャワールームに居た。本当は温泉に行きたい所だが、絶頂失神中のマリューがいるので、放っておくのは不安が残ると、仕方なくシャワーで我慢しているところだ。ミーアは無論裸だが一向に親密度が上昇しないと娘達が知ったら、嫉妬の炎が燃えさかるのは確定である。、
「ミーアの恥ずかしい所も全部見せたのに…碇さん冷たい。ミーアのまんこには全然触ってくれなかったし…」
「元より触感を楽しむイベントではない。と言うよりも――」
 シンジの視線がミーアを捉えた。
「一晩とはいえ、俺を見ていて大凡の見当はついていよう。その辺の小娘ならいざ知らず、ミーア・キャンベルなら分かっている筈だが」
「…そうね」
 汗と愛液で、額に貼り付いている髪を指ですくいながら、ミーアが少し真顔になった。
「起動が遅いのは分かってるわ。正確に言えば……その辺の女じゃ、まず勃たないんでしょう?今の彼女が極上なせいで」
「ま、そんなところだ。がしかし」
「え?」
「彼女ではない。何をどう分析しても彼女ではない、これがもう誰がなんと言おうと譲れない一線だ」
「はいはい」
 マリューに遠慮しているのかと思ったが、そんな風情はない。そもそもシンジの中で、マリューはまだそこまでの位置にはいるまい。
(らしい、と言えばらしいけどね)
 ミーアは内心でふっと笑った。抱いているのか抱かれているのかは不明だが、シンジの相手は文字通り極上の女らしい。が、それが恋人ではないと否定すればするほど、彼女でもない女に開発され、あまつさえ普通の女を見て正常に欲情する事すら本能から消去されたという事になるのだ。
 とはいえ、シンジがこうまで言う以上、彼女とか恋人ではないのだろう。それを聞いた相手がどう思うか、ではなくあくまでも事実認定に拘る辺りはシンジらしい、とミーアは笑ったのである。
「それはそうとミーア」
「はい?」
「あの時の答えをまだ聞いていなかった。先だってラクス・クラインと勝負した時、何故使わなかった?」
「マリューさんと私の絡みを見ていて分からなかったの?」
「いや…」
「決まっているでしょうに」
 すう、とミーアの雰囲気が変わっていく。双眸の奥に危険なものを湛えたミーアが、真っ直ぐにシンジを見据える。
「壊れるから、よ。許嫁のアスラン・ザラとは時々やってるみたいだけど、所詮はその程度。あたしが本気でやったら――ジャンクになっちゃうわよぉ?おまんこ突きまくられて腰はガタガタ、もぉ、すーっかりおかしくなってあたしの牝ちんぽをはめられる事しか頭に無くなっちゃうってゆーわけ。ま、あたしはそれでも別に構わないんだけどぉ…エザリア様に怒られるのは困るでしょう?」
「ふむ」
 シンジは頷き、
「納得した。その通りだ」
「あったりまえでしょ。じゃ、碇さんちゅーして下さいな」
「……ハン?」
「だめ…なのぅ?」
 ちょっと考えてから、
「…特別許可を出す」
「はーい」
 ん、と突き出された唇は控えめで、その双眸は軽く閉じられている。ミーアの顔をくいと持ち上げ、唇の端に軽く口付けした。
 舌は入っていない。
 シンジの反応に満足したのか、ミーアの全身からゆっくりと邪気が消えていく。
 ぬるめの湯を肩からかけながら、
「マリューさんも、張り合う相手が悪かったですわね。もっとも、ほとんど処女みたいなものだったし、あれじゃいくらなんでも無理ね。碇さんはその事、知っておられたの?」
 訊ねた声は、すっかり元に戻っていた。
 ただ――どちらを以て、元とすべきかは少々微妙なところである。
「反応が妙に初なのは気づいていた。とは言え、姉御の過去を詮索するほど深い仲じゃない。それに、要があれば姉御から言ってくる」
(むう)
 マリューがこの場に居てシンジの台詞を聞いたら、どんな顔をするかとミーアは小さく首を傾げた。
(シンジ君って冷たいんだから!と怒って、でも、やっぱり私の事を分かってるのね、とか言って赤くなる可能性が高いわね。なんか…ムカツク)
 結論はすぐに出た。
「ね、碇さん」
「うん?」
「ミーアの身体洗って?」
「ア?」
「べ、別にいいじゃない。賭けに勝ったのはミーアなのよ。それでも中出しはしないであげたんだから」
 俺の意見はどの辺りを浮遊している?と訊こうと思ったが止めた。条件自体はシンジも承知しており、その上で傍観及び一部参加したのだ。根本から否定するのは、いくら何でもちと格好悪い。
「了解」
 スポンジを取った手が、すっとおさえられた。
「もしもし?」
「あ、あのね…」
 ほんの少し頬を染めたミーアが、
「ミーア…手洗いがいいなっ」
「お前は車か?まあいい、むこう向いて」
「はーい」
 
 五分後――。
 
「ひにゃあぁ…あう…」
 床にぺたんと座り込んでいるミーアがいた。
「身体を洗われると喘いで身悶えするとは思わなかった。ミーアは洗体フェチか?」
「いっ、碇さんが…碇さんがミーアのおまんこもお尻もさわさわとなで回して洗うか…ひゃう!」
 言葉に力が入ったせいで、敏感になっている割れ目を床に押しつけてしまい、ぴくんっと腰を震わせたミーアが小さく喘ぐ。
「で、良いと?それとも悪いと?」
 その表情に欲情の色が無く、それどころか入浴サービスにやって来た介護従事者の如く、淡々と訊くシンジにミーアがぷーっと頬をふくらませたが、
「よ、良かったわよ!んもうっ!」
「なぜ怒る?」
「知らないっ!」
 ぷいっとそっぽを向いた。
「機嫌が直ったら適当に出て。じゃ、某はこれにて…ぐぇ!」
 出ようとしたシンジの首にタオルが巻き付き、きゅっと引っ張られた。
「ミ〜ア〜」
 気道を圧迫されたシンジがゆっくりと振り向くと、まだふくれたままのミーアが睨んでいる。
「…んだよ」
「私と約束して」
「約束?」
「オーブまで、私を連れて行ってくれるって。そして、オーブで私と別れる前に…私を抱いてっ!」
 シンジはひとつ頷いた。
「一つは承知した。異世界人のプライドに賭けて、オーブまでは運搬していく。が、もう一つは断る」
「……」
「とは言え、ミーアにそうまで迫られるとは光栄な事。というわけで後二日」
「二日?」
「二日経って気が変わらなければその時は――」
 だが、言葉が紡がれる事はなく、扉は静かに閉じられた。
「その時は何なのよ…ばかっ!」
 湯をたっぷりと含んだスポンジが、濡れた音を立てて閉じた扉にぶつかる。
 その時のミーアの表情を見れば、シンジはともかくエザリアは驚いたかもしれない。
 それは――初めて異性を意識した乙女の表情に少しだけ、似ていた。
 
 
 
 
 
「碇さん、男組全員揃いました」
「ん」
 今回は例外なく、艦内の男性クルーは全て呼び出された。無論、トールやサイも含まれている。
 軽く瞑目していたシンジが目を開き、ゆっくりと立ち上がるとクルー達は皆、直立不動の姿勢で敬礼し、シンジが軽く返す。
「『ジーク・碇!ジーク・碇!』」
 この方式が確率された時、サイはいなかった。独房に放り込まれていたのだから、当然と言えば当然なのだが、初めて見る光景にきょろきょろと左右を見回し、慌てて見よう見まねで倣う。
「さてと、今朝は方針の確認と人材募集で呼び出した。ここにいるメンバーが玉付きなのは既に確認済みだが、いずれ殺伐とする事になる」
「大将、その殺伐ってのは何だい?」
 訊ねたのはムウである。
 最後まで聞け、とは言わず、
「フラガ、アラスカなりその辺の友軍からの通信は?」
「いや…」
「地上に射ち込まれた代物のせいで、通信に少々阻害が出ているらしいが、いくら地球軍が無能の集まりでも、この戦時下で情報網を全く省みないと言うことはあるまい。何よりも、この艦とストライクは虎の子の筈だ。まかり間違ってもザフトに渡したくない代物だし、それに宇宙から降下した事位は知っていようから、その気になれば探すことは出来よう。にもかかわらず、まずザフトが発見して襲来し、それが全滅して今なお何の通信も行われて来ない。砂漠の真ん中で虎の子が彷徨っているというのに、なかなか余裕があると見える」
「し、しかしそれは…ザフトの勢力圏へ突っ込んでくる事になるし、何も見捨てられたのが確定したなんて事は…まだ決めつけるに尚早じゃないか?」
 その通り、と頷いてから、
「援軍など要らん」
「要らない?」
「そう。この艦とストライクの為だけに、わざわざ敵中を突破して戦端を無用に拡大するなど、非力なナチュラルが採るべき道じゃない。必要なのは連絡の手立てを講じる事だ。つなぎを付けるのに、大規模な軍隊など不要だよ。尤も、フラガの言う通り、現時点ではまだ確定した訳ではない。ただ、何らかの理由でこの艦が不要とは言わないまでも、負の感情が満ちている所へ、この先向かおうとしているのは多分確定だ。俺の予感がさくっと外れていなければ、ね」
「『……』」
「とは言っても、このままのんびり砂漠を徘徊するわけにもいかないし、オーブへ立ち寄った後アラスカへ行かにゃならん。迎撃兵器については、マードックの手腕に期待するところだが、もう一歩進んだ防衛――敵を自動攻撃する為の防衛策をとる。というわけで」
 シンジがクルーを見回し、
「絵心のある者は挙手」
「『…え、絵心〜?』」
「そう、絵心。この先オーブまでの道のりが、一応客船もどきになるか、兵装を半分破壊された武装漁船になるかの分かれ目」
(それ…なんて不法操業?)
 
 
 
「ん…うぅン…」
 妙に悩ましげな声をあげて、うっすらとマリューが目を開ける。
 甘いキスをされながら、胸を揉みしだかれる夢を見ていたのだが途中で起こされた。
「もうなんなのよ…ミーアさん!?」
「おはようございます、マリューさん」
 目を開けたらミーアがいて、自分が膝枕されていると知ったマリューは、慌てて起きようとしたがミーアがやんわりとおさえた。
「そんなに跳ね起きなくても大丈夫ですわ。折角気持ちのいい夢を見ていたのに、起こしてしまってごめんなさい」
「…なんであなたがここにいるの?ここは…」
 左右を見回してから自分の部屋ではないと気づき、数秒経って漸く記憶が甦ってきた。シンジとの中出しを賭けてミーアと勝負した迄は思い出したが、その後が分からない。
 あっ、と小さな声をあげたマリューが毛布をめくって自分の身体を見る。全裸の肢体からはうっすらと石鹸の香りがしたが、そんな事より――股間には異物がなくふっくらした恥丘があるだけだ。
「あ、あの…」
「牝ちんぽが見あたりませんか?」
 にこっと笑ったミーアが、穏やかな口調で平然と訊いた。
「…え、ええ…あ、あの夕べはどうなって…」
「私とおまんこに中出しし合って、イっちゃったマリューさんはそのまま失神。副長さんなんかに見つかるとうるさいから、私がシャワーで洗ってここへ運んできました」
「そ、そう…」
 言われて、ミーアの肉竿からたっぷりと膣内に出された所まで思い出した。ただし、記憶がそこで途切れているから、その後どうなったかは分からないのだ。
「それで…シ、シンジ君と…」
「碇さんと?」
「あ、あの…そのぅ…」
 夕べはあんなに乱れたが、しらふに戻るとさすがに気恥ずかしく、マリューはわずかに頬を染めて言い淀んでいる。
「中出しは、してもらってませんわ。私も、碇さんに挿れられただけで失神(イキ)そうだったから」
「そう…」
 ほっと安堵してから、ふと気が付いた。中出しは、とミーアは言ったのだ。
「…とか…」
「え?」
「ちゅーとか…してないわよねえ?」
「…ちょっと」
「なんで私が勝ったのに、シンジ君とちゅーなんてしてるの!」
「五対三」
「何よそれ」
「五対三でミーアの判定勝ち、って碇さんが。それにマリューさんのは失神KOですわ。それとも、私の子宮に熱いちゅーしてもらっても良かったですか?」
「だ、駄目よそんなのっ!」
「ね?」
 にこっと微笑って言われると、マリューには返す言葉がない。マリューと挿れ合いながらシンジを誘惑したのはミーアだが、やはりミーアと同時に互いの膣内に出し合い、そのまま失神してしまったのでは説得力が薄い。
「まあ…ちゅー位なら許してあげるわ」
「はい」
 笑顔のまま頷いたミーアだが、シャワーでシンジに身体を洗われた――しかも手洗いで――と知ったら、マリューはどんな顔で何と言ったろうか。
「ところで…私の下着とかは…あるかしら?」
「ありますわ。穿かせるとマリューさんが起きてしまいそうなので、別にしておきました」
「あ、ありがと」
 もそもそとマリューが下着をつけていく様を、ミーアがじっと見ている。同性とはいえさすがに恥ずかしいが、見ないでとも言いにくい。
 下着姿になったマリューに、
「マリューさん、一つお訊きしてもいいですか?」
「え、なに?」
「マリューさんは男性と付き合うのが碇さんで二人目でしょう。その気になれば選び放題でしょうに、出会う機会がなかったの?」
「違うわ」
 マリューは緩く首を振った。
「ミーアさんなら分かると思うけど…え?」
 す、とミーアがマリューの唇に指を当て、
「ミーア、でいいですわ。裸でお付き合いしたんですもの」
「そ、そうね…」
 確かに、これ以上の裸の付き合いはないかもしれない。
「ミーアなら分かると思うけど、身体の一部分だけじっと見てくる男ばっかりだったのよ。勿論男が全部そうじゃないのは分かってるけど、言い寄ってくるのはそう言うタイプばかりだったわ」
「…ミーアには分からないけどね。ミーアはマリューさんみたいに爆乳じゃないし。だいたいマリューさんのおっぱいは、ミーアより一回りおっきいじゃない」
「じゃ、ミーアは経験無いの?」
「…ちょっとあるかも」
「ほら見なさい。こーんなおっきなおっぱいしてるのに、無いなんて言わせないわよっ」
 さっと飛びかかったマリューがミーアを組み敷くと、パジャマに手を差し入れて乳房を揉みだしく。
 ミーアは、ブラをつけていなかった。
「ちょ、ちょっとっ…はあんっ、ダ、ダイレクトにお乳揉んじゃだめぇっ」
「却下」
 強弱をつけて丹念に揉んでいき、ご丁寧に、ミーアの吐息に危険なものが混ざりだしたのを確認してから、やっとマリューは手を離した。
「んもー、いきなり乳揉むなんて…しかも上手だし!」
 ちょっと濡れた目で睨んでくるミーアに、
「シンジ君に開発されたのよ」
「はいはい、ご馳走様。で、つまり言い寄ってくる男共はおっぱい星人ばかりだったから、エロ経験値が殆ど上がらなかったって言う事?」
「そんな感じね。宇宙にいる事が多かったから、乳が萎めばとかは思わなかったけれど、私の見る所はおっぱいしかないのかなって…」
(まあ、それだけでかくておまけに感度いい乳してればねえ…仕方ないかもしれないけど、開き直って淫乱になる女も多いんだけどね)
「でもマリューさんは、エロ女の素質は持ってるでしょう」
「エ、エロ女?」
「碇さんに開発されて、私のおっぱいをすっごくやらしい手つきで揉んだじゃない」
「あ、あれはその…教師がいいから…」
(あーもうムカツク!)
 頬を赤らめて照れるマリューを見て、地団駄を踏みたくなったミーアだが何とか我慢した。
「まあいいわ。それで一つ訊きたいんだけど、このままでいいの?」
「このままって?」
「碇さんの影響でおっぱい揉みたてるのが上手くなっても、碇さんには関係ないでしょう。エロご奉仕を全然知らないみたいだし、いつも碇さんにしてもらって喘いでイっちゃだけで、マリューさんはそれで満足?」
「ま、満足はしてないけれどでも…こ、こういうのって勉強する事じゃないし…」
「勉強する事よ。先生に身体で教わって覚えるの。ねえマリューさん、ミーアが教えたげましょうか?」
「貴女が?」
「そ。このミーア様が教えてあげる。碇さんの意志が大きいとは言え、私をこの艦に置いてくれてる艦長さんだし、その御礼も兼ねてね」
「そ、そうね…じゃあまた今度…」
「今日姉御はミーアの部屋で療養しておられる。従ってお前ら入るの禁止」
「?」
「って、碇さんが言ってくれてるから今からでも大丈夫ですわ。それとも…怖い?」
「こ、怖くなんかないわよ。いいわ、すぐに始めましょ」
「いい返事ですわ。じゃ、下着を脱いで裸になって。私も牝ちんぽを生やすから、マリューさんも薬を飲んで下さいな」
「ま、また…飲むの?」
「口で言って全部覚えるなら別に飲まなくても構いませんわ。口頭でマスターできますか?」
「わ、分かったわ。飲むわよ」
 確かに口で言われても解りにくいし、何よりもミーアに教わるのだと、口頭だけで言われる方が淫らな気がする。
「素直でいいですわ。マリューさんがご奉仕出来るようになれば、碇さんの評価もきっと変わりますわよ」
「そ、そうかしら」
「ええ」
 と、ミーアは妙に自信ありげに頷いた。
(元からそんなに求めてもくれないけどでも…)
 マリューの奉仕で喘ぐシンジの姿は思い浮かばなかったが、よく覚えたねと頭を撫でられる自分が思い浮かび、マリューはするすると下着を脱ぎにかかった。
 が、
「あの〜…ミーア先生?」
 ふと気付くと、ミーアがじっと見つめている。
「なに?」
「な、何って…そんなにじっと見られると…」
「ぷるって揺れるおっぱいは見た事ある。でもぶるるんって、それもブラ外しただけでそんなに揺れるおっぱいは初めて見た。ちょっとジェラシー。だいたい、マリューさんはナチュラルでしょう。何を食べたらそんなに大きくなるの」
「シ、シンジ君に…も、揉まれたからちょっとサイズアップが…」
「キー!!」
 
 
 
「お、お兄ちゃん!?」「あんな所に登って何を?」
 レコアの協力により、いつもより遅く目覚めたキラとステラは、シンジを捜して艦内を彷徨っていたのだが、どこにもその姿が見あたらない。と、そこへ艦外から何やら声がするので出てみると、シンジが艦尾翼に昇っており、しかもペンキ缶を持ったクルーまで一緒にいるではないか。
 ぎょっと目を見張った二人の後ろから、
「防衛ライン、なんだとさ」
「フラガ少佐…」
「この先、オーブまでの道のりは海上だろう。お嬢ちゃん達をオーブへきっちり運んでいく為にも、必要だと大将が言ってたぜ」
「お兄ちゃん…」「シンジさん…」
 ほんのりと赤くなってシンジを見つめている二人を見ながら、
(悪いな、お嬢ちゃん達)
 ムウは内心で謝っていた。
 
「足手まとい〜?」
「そう、足手まといだ。ザフトの連中は、海上や海中での戦闘を想定したMSを持っていないのか」
「いや、持っているが…」
「ストライクは一応万能型だが、水中には対応していない。ステラのガイアは、変形姿を見ても水中戦など出来ないのは一目瞭然。オーブへ向かう道中を考えれば、はっきり言って邪魔になる。強固な防衛策を採っておかないと、二機揃って深海へドボン、なんて事になったら目も当てられない」
「ふうん…」
 シンジの言葉を聞きながら、ムウは内心で首を傾げていた。確かに、ストライクもガイアも水中での駆動には適していない。が、宇宙では迫り来るザフト軍を相手に、それこそ二機を同時運用すらせずに蹴散らして行ったではないか。
 退却、の二文字をおくびにも見せなかったシンジにしては、少々弱気に見える。
「でも大将、宇宙ではそんな防御策なんて全く採っていなかったし、いくつも不可能を可能にしてきたろ?なんで地上ではそこまでするんだ?」
 ムウの言葉にシンジの表情が動いた。
「宇宙ではそんな余裕が無かった。何よりも、両機にとって不得手なステージではなかったからな。ステージが変われば、運用方法を変えるのもまた当然のこと。それと、今妙な事を言わなかった?」
「妙なこと?」
「不可能なことをどうとか」
「ああ。だからほれ、不可能を可能にしてきただろうって言ったのさ。なんかまずかったかい」
「間違っている」
「…え?」
「不可能を可能にというのは、成功確率が0%と言っても差し支えない案件をやり遂げた場合に、一応の適用が許される台詞だ。宇宙でのあれは、可能なことを可能にやってのけたに過ぎない。あれはこう言うんだ――可能なことを順当に成功させた、と」
「一つ言いたい事がある」
「ん?」
「おまいさんの可能判定基準は高過ぎるぞ」
「そうかい?」
「当たり前だ」
 
 ムウは軍人として、また一人の男としても、シンジが二人を足手まとい扱いしていた事を口にする訳にはいかなかったのだ。
 
 
 
「んっ、そう…乳肉で挟み込んでおっぱいを上下させながら先っぽも舐めて…あん、イイ感じよっ…」
 ミーア先生今日の科目は?と訊いたら、パイズリよと返ってきた。
 今は実践の真っ最中である。
 二人とも既に肉竿は生やしており、マリューのたわわな乳房にミーアの肉竿を挟み込み、左右から乳肉でやわやわと肉竿を刺激しながら先端に舌を這わせ、或いはすっぽりとくわえ込んで吸い上げる。無論ミーアは既に、お手本を見せてマリューに出させており、二人の口元は昨晩同様互いの愛液まみれだ。
 なお、ミーアは薬の量を少し昨夜と変えてきた。結果、ミーアの乳首からもマリューの乳首からも、じんわりとミルクが滲み出し、乳房を伝い落ちてへその辺りまで濡らしている。ほんの少し疼きを伴う乳首の快感が肉竿を愛撫するマリューの動きを更に激しくし、ミーアもまた、自ら自分の乳房を持ち上げ、滲み出るミルクを音を立てながら舐めとっていく。
「はあぅっ、イイわっ、もっとっ…もっと牝ちんぽの先っぽをズボズボ吸ってぇっ…ミーアのやらしー汁をいっぱい出させてっ」
 舐めるだけでは物足りなくなったか、小指の先ほどにも勃起した自分の乳首を吸い始めたミーアが、ふと気づいたようにマリューの股間を見た。ついさっき、ミーアの顔にたっぷりと愛液を放ち、一旦萎えたそれは今また勃起しつつある。
「マリューさん、ちょっと脚開いて」
「もご…ひあぁっ!?」
 言われるまま脚を開いた直後すっとミーアの足が動き、いきなり膣口を足指でこすられたマリューは、思わず肉竿を離して喘いだ。
 丸見えになった膣口へをぐりぐりと刺激しながら、
「私がマリューさんのおまんこ弄るから、私より先にイっちゃだめよ?先に出したらお仕置きだからね」
「そ、そんな…」
「さっき出したばかりなんだから、まだ大丈夫でしょ。ほら、お口がお留守よ」
「ス、スパルタなんだから…」
 そうは言いながらも、マリューがもう一度乳肉で挟み込み、その先端にちろちろと舌を這わせだすと、切れ長の眉を寄せて熱い吐息をもらしたのはミーアの方であった。
(おっぱいが大きいだけじゃないわっ…乳圧もきついし乳肉もエロく絡みついてくる…くぅっ…私が先にイキそっ…)
 一方マリューに余裕はなく、教えられて事を実践するだけで精一杯の状況だが、それが却って一心不乱なパイズリになり、みるみるミーアは押し上げられていった。
「マ、マリューさんっ、ちょ、ちょっと緩めっ…ち、乳圧すごっ…んっ、で、出るぅっ、ミーアイくうぅっ!!」
「んく…うぷっ!」
 膣口へ当てられていた指の動きが止まった事にも気付かず、身体を震わせたミーアに気付いてマリューが顔を上げた瞬間、ミーアは腰をがくがくと震わせながら思い切り放っていた。濃厚な愛液がマリューの口腔内を満たし、咽せながら思わず手を離したマリューの顔へ、勃起した肉竿から噴き出した愛液がたっぷりと降りかかる。
(すごい量…しかも昨日より濃い…)
 昨晩フェラでイかせた時は、ここまで激しくなかったのにと少し驚きながら、マリューは顔から首へ飛び散る飛沫を受け止めた。十数秒経って漸く放出が止まると、ミーアが荒い息を吐きながら力の抜けた身体をマリューに預け、いきなり全体重を掛けられたマリューがミーアごと床に倒れ込んだが、身体が密着した状態でマリューはミーアを柔く抱きしめた。
「ミーア、いっぱい出たわね」
「だって…マリューさんのおっぱいエロすぎだもの…ここまで出させられたのは初めて…」
 会話だけ聞けば、乳で筆下ろしされた童貞少年と、年上の女教師のそれに聞こえるが、実際は二人とも巨乳の女同士だ。
 二人はそのまま、数分動かなかった。マリューはともかく、ミーアの方は動けなかったのだ。重なり合った乳房はミルクと愛液にまみれ、お互いの鼓動が伝わってくる。
「ねえ、マリューさん…」
 ミーアがようやく気怠げに口を開いたのは、五分近くも経ってからであった。
「なに?」
「ほんとに…おっぱいでするの初めて…?」
 聞きようによっては、いや、よらなくても結構失礼な台詞だが、マリューは怒る事もなく、
「ええ、初めてよ。胸でしたのはミーアが初めて」
「そう…」
 マリューに抱き付いたまま、ミーアは何やら考え込んでいたが、やがて上がった顔から欲情の色は完全に消え失せていた。
(ミーア?)
「手でヌくのは、多分碇さんの逆鱗に触れるからしない方がいいでしょ。マリューさんのエロ乳なら、パイズリだけでも十分だわ。大きいのに感度良いし、乳肉の絡み付き方もすごくエロエロだし」
「あ、ありがと…」
(褒められてるのよ…ね?)
「だから、ご奉仕を教えるミーア先生のお時間はここまで。ここからは…マリューさんの選択次第だわ。マリュー・ラミアスがそれを望むなら、私が教えてあげる。牝ちんぽを生やした女との闘い方――そして、女の壊し方を」
 ミーアの表情は、マリューがまだ一度も見た事のないものであり、決してマリューを弄っているものではなかった。
 少しして、ごくっと生唾を飲み込む音がした。小さく首を振ったマリューが、急激に乾いた唇を舌で舐める。
 ミーアが自分を陥れようとしている、とは思わない。ただミーアに師事して、その指すところを会得した時、自分がどこか変わってしまうような気がしたのだ。
 異性との交わり方ではなく同性の、それも薬を飲んで肉竿を生やした女との闘い方、だという。普通に考えれば、それは殆ど有り得ない筈なのだ。
「どうして…ミーアはそこまでしてくれるの…?」
 訊きながら、マリューは自分の声が幾分かすれているのに気付いていた。
「貴女にはその素質があるからよ。武器を持つ敵は怖くない。でも、生やした女が相手ならその脅威は圧倒的なものよ。何よりも――」
「何よりも?」
「あたし達は、理解り合える巨乳(もの)同士でしょ?」
 微笑ったミーアに、ちうと額に口付けされ、漸くマリューの身体から力が抜けていった。
 マリューから離れて起きあがったミーアが、その眼前にすっと手を差し出した。
「あなたがそれを望むなら口付けしなさい――誓いの口付けを」
 差し出された白い手には傷一つなく、細くしなやかな指が二本マリューの前に伸びた時、マリューは何故か濃厚な性の匂いを感じ取った。
 ミーアの指からではない。
 魅入られたように指を見つめるマリューの視界が、徐々にミーアの指で満たされていく。
「あ…」
 はふ、とマリューがひとつ息を吐いた時、どこかで鳥の啼く声がした。
 そしてそれは、ペイント中に艦尾翼から落下したクルーが地面に激突する寸前、不意に舞った一陣の風が拾い上げたのと同時刻であった。
 
 影はゆっくりと近づいていき、やがて一つになった。
 
 
 
 
 
(第七十六話 了)

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