国際派日本人養成講座

日本のマスコミが報道しない中国社会の荒廃ぶり

第一号 平成九年九月六日 三百部

一、死刑囚四千三百六十七人

 日本のマスコミは中国の暗い面を報道するといろいろな圧力がかかるようで、バラ色の経済躍進といったイメージしか伝えられていないが、貧富の差による犯罪の増加、そしてそれに対する人権を無視した強圧政策はすさまじい。
 The Economist 誌八月三十日号によれば、一九九六年の一年間で死刑にされたと確認されたのは、四千三百六十七人(実体はその数倍と推定されている)。確認された数値だけでも、その他のすべての国の合計の三倍である(第二位はウクライナの百六十七人)。
 その中には、バドミントンのラケットとやボールペンを盗んだ二人組の男性、自転車に乗った女性のお尻に針をさした「ならずもの」などが含まれている。さらにチベット独立活動家四十二人、ウイグル独立活動家百六十人も「分離主義者」として処刑された。
 日本では年間数件の死刑でも、反対運動が起こり、さらにそれをテレビ、新聞は大きく報道する。また神戸の小学生殺人犯A少年の顔写真を報道するだけで人権抑圧だと騒ぎ立てる。同じ新聞が、中国のこういう人権弾圧はほとんど報道しない。

二、頻発する農民暴動

 もう一つ、日本人がびっくりするような数値を紹介しよう。同じく The Economist 九五年三月十八日号によれば、九三年に中国全土で五百人以上が参加した農民暴動が八百三十件以上、うち、五千人以上が二十一件だったという。
 生活の苦しさと役人の私腹を肥やすための不法な徴税に怒ってのことであるが、その首謀者達には、上述の過酷な運命が待ち受けたことであろう。
 中国は、我が国にとって、経済面でも外交面でも、重要なパートナーであるが、国民がこうした相手の実体を知らされない事には、企業経営でも外交・防衛政策でも重大なミスを犯す恐れがある。マスコミの偏向した中国報道は我が国のアキレス腱である。

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