帰還 No.046 紫樹葵さん ------------------------------------------------------------------ 「ごめんエイリア・・・俺行かないと・・・」 「待ってダイナモ!何処に行くの!」 「ごめんエイリア・・・」 「ダイナモー!!」 「・・・リア・・・」ん・・・。 「エ・・・リア」誰? 「エイリア・・・」私を呼ぶのは誰・・・。 「起きたか?」 「・・・ダイナモ?」エイリアは夢を見ていたのだ。 「どーした?不思議そうな顔して・・・」 「・・・」 「ん?」首を傾げるダイナモ。 「・・・あなたが私を置いて何処かへ行く夢を見てしまって・・」 「ハハハ・・・俺は君を置いて行かないよ」 「そうね」くすっと笑うエイリア。 「さあ起きて。せっかく作った朝飯が冷めちまうよ」 「あら、珍しい。あなたがご飯作るなんて・・・」 「ひでーな。俺だって作れるよ」笑いながらダイナモは言った。 これが彼が笑った最後の瞬間だった。 〜時は流れ・・・〜 「おはようエイリア」声をかけたのはエックスだった。 「あら、エックス。おはよう」微笑みながらエイリアは挨拶をした。 「あら?ゼロは?」 「まだ寝てるよ」あっけなく言うエックス。 「珍しいなー。エックスが起きてるなんて」ビックリしてるダイナモ。 「ダイナモ」エックスもビックリ。 「ゼロはまだ寝てるのか?これまた珍しい」大抵ゼロの方が早起きなのだ。後からエックスを起こしに行きのが習慣なのだ。 「昨日徹夜でゲームしてたみたい・・・」エックスとゲームをしていたのだが、途中でエックスは眠ってしまったのだ。 「エックス起こして来て」 「分かった」張り切ってゼロを起こしに行くエックス。 10分後・・・「おはようゼロ」 「・・・」 「やっと起きたか」 「・・・」何の反応もない。 「ぜーロー」叫ぶエックス。 「・・・あ?ああ・・」鈍い反応。 「まだ寝ボケてるわね」 「こんなんで大丈夫か?」心配そうなダイナモとエイリア。 「起きてよゼロー」もっと困ってるエックス。 「大事な話があるのに・・・。」エイリアが呟いた。 更に10分後・・・ 「で、大事な話って何だよ」目覚めたゼロ。 「いい?話すわよ。ダイナモが入手した情報によれば、大量に兵器を密輸してる組織の場所が分かったわ。」 「そこを叩くのか?」 「そうよ」エイリアがいった瞬間突然警報が鳴り響いた。 「皆はアーマーを装着して待機よ!」 「ああ」 ガチャ。エイリアはマイクを付けパソコンの前に座った。 「こちらハンターベース。応答して」 「ガガ・・・こ・・こち・・・」 「何?」エイリアは眉間にシワを寄せて尋ねた。 「ザザ・・こ・・ち・・・こちら調査隊のエフです!」息を切らせながら答えるエフ。 「どうしたの?」 「そ・・・それが調査してると・・ザザ」 「何?エフ?良く聞こえないわ・・・。」エイリアが言ったその時ババババ・・・画面の向こうで銃撃音が鳴り響く。 「何?どうしたの?エフ!応答して!」叫ぶエイリア 「い、今他の調査隊が撃たれました!」息を切らせ一生懸命答えるエフ。 「あなたは大丈夫なの?」 「は、はい・・う・・うわああ!」叫ぶエフ。 「どうしたのエフ!」ベース内に緊張が走る。 「エフ!?聞こえる?エフ?」ブッ・・ ここで映像が途絶えた。 「皆行ける?」 「ああ」エイリアの問に答えるゼロ。 「行こう!」エックスが言った瞬間またも警報が鳴り響いた。 「エイリア!スクリーンに繋いでくれ!」叫んだのはダイナモだった。 「ええ。」ぱっと明るくなる部屋。 「!!」皆緊張が走った。見るも無残なエフ、いや鉄の塊と化したモノが映っていた。画面の向こうには複数のイレギュラーと鉄の塊が映っていた。 「あ・・・。」両手で口を塞ぐエイリア。 「行こうエックス!」 「うん」走りだす2人。 「待て!」部屋を出ようとした2人を止めたのはダイナモだった。 「何だよ・・・」不満げなゼロ。 「俺が行く」 「は?」不思議がるゼロ。 「元はと言えば、俺が見つけたんだぞ?俺が後始末してくるよ・・・」 「ダメよダイナモ!」叫ぶエイリア。 「ダメ。行ってはダメ!」青い顔をして叫ぶエイリア。 「何で?」 「お願い行かないで」今にも泣き出しそうなエイリア。ダイナモはエイリアに歩み寄りそっと頭をなでた。 「理由を話せよ」優しく問うダイナモ。 「・・・何だかあなたに会えなくなる気が・・・」泣きながら答えたエイリア。 ダイナモは少し困った顔しながら「心配すんなって。俺はちゃんと帰って来るよ」 「約束よ」 「ああ」エイリアの涙を拭いながら言った。 「じゃあ後は頼んだぜ!」 「ああ。後の事は任せとけ。早く行って来い」答えるゼロ。 現場に向かうダイナモを3人は見送った。 エイリアの予感は的中した。 |