血栓溶解療法にて脳出血を起こした症例

超急性期脳梗塞:右中大脳動脈閉塞症

血栓溶解療法後

超急性期脳梗塞:左中大脳動脈閉塞症

血栓溶解療法後

血栓溶解療法は成功し、閉塞していた右中大脳動脈は発症から約6時間後に再開通しました。しかし、意識の状態は悪化し、左半身麻痺も全く回復しませんでした。

CTでは上図の様に、脳内に大出血を来しました。再開通を来した時点では、すでに脳組織は死んでしまっていたと考えられます。

血栓溶解療法は成功し、閉塞していた左中大脳動脈は発症から約5時間後に再開通しました。しかし、意識の状態はさらに悪化し、数日後に死亡されました。

CTでは上図の様に、脳内に大出血を来しました。

このように血栓溶解療法はその適応を厳しく選択しなければ、治療することによって逆に症状を悪化させることもあります。

最近では、このように再開通後の出血を防ぐためには、治療前に脳血流検査(SPECTやMRI)をすることが重要であると報告されています。

上図は脳血流検査の画像です。

左前頭側頭部(矢印)に広範囲に脳血流の低下を認めます。このようなときには、閉塞した血管を再開通させると脳出血が起こります。