mT管5球スーパー(トランス付)の組み立て

mT管5球スーパーを、出来るだけ秋葉原などで販売されている部品を使用して、組み立てることにしました。
真空管は、当初 6BE6 6BA6 6AV6 6AR5(or6AQ5) 5M−K9を使用し、IFTはラジオ少年製のものを利用する予定でした。
結果的には、IFTはスター(富士製作所)A4 B4を、IF増幅管は6BD6に変更しました。

シャーシは、ミズホ通信製の5球スーパーシャーシーが販売されているので、利用しました。

部品の選び方、組み立て方、調整のやり方は「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」をご覧ください。

参考図書 工具
  
ラジオの歴史、
スーパーの原理・調整法
ラジオの基本を
詳細に説明。
ラジオの修理方法を
詳細に説明
シャーシの穴あけ


1)回路図

6−1章 ST管5球スーパーは、少し簡略化しましたが、こちらは標準的な5球スーパーの回路としました。

2)使用部品

まず部品を集めてみました、結果的に変更したものもありますが、ものが集まると具体的構想が湧いてきます。



@真空管




A電源トランス

東栄のTYPE P-60を使うことにしました。

   

Bコイルとバリコン

現在でも入手できる部品を使用して組み立てるという趣旨から、バリコンはポリバリコンを使うことにしました。
最大容量340PFのポリバリコンと組み合わせられるコイルということで、アサヒ通信製の5球スーパーコイルを使用します。
紙ボビンに巻いてあり、多少安っぽい感じはしますが、値段も他社の物に比べ数分の1です。
調べてみると
同調コイル:280μH
アンテナコイル(1次):1.3mH
1次側のインダクタンスが少ないことを発見、ナチュラルが放送波帯に入り込みそうです。
標準アンテナを使う前提で作られているようなので、短いアンテナを使う時は要注意。


Cシャーシ

穴あけが大変なので、ミズホの復刻版5球スーパー・シャーシを使うことにします。
元々はST管用ですが、アダプターが付属しているのでmT管用として使えます。
アダプターは半分に切断して使います。

東栄トランスのP−60タイプを組み込む時は取り付け穴の位置を2〜3mmずらす必要があります。

3)組立作業
IFT、バリコン ケミコンなど比較的軽い物から組み込んで行き、最後に重いトランスなどを組み込みます。


スターのIFTを使うことにしましたが、ミズホのシャーシで、IFTのビス穴が横位置のみなのが多少不満です。
縦方向にもあけてあれば、更に良かったと思います。

なお アンテナコイルはある程度配線が終わってから組み込みます。
コイル自体はひ弱な構造なので、最初から組み込んでおくと壊れやすくなります。



シャーシ内部の様子。
まずこのようにソケットを取り付けて、配線してゆきながら、
真空管ソケットの方向などは、必要に応じ変更します。

本来は組み立てる前に、図上で良く検討して組み込むべきですが、
試行錯誤して、組み立ててゆく方が楽しくて実用的です。
組み立て完了写真と比較すると、変更箇所がわかります。


バーニアダイアルは、カプラーを途中に入れて組み込みます。
これを入れると、軸の偏芯を多少補ってくれます。
カプラーをいれずに直結すると、不具合が起きやすくなります。
カプラーとバーニアの間の延長軸は、
市販されている6mmφのアルミ丸棒を、適当な長さに切断して利用します。




カプラーはいろいろな形があります。
寸法が許せば、S字型の構造の物が柔軟性があってよいでしょう。

4)配線
部品をシャーシに取り付けてから、配線を始めます。
昔 JIS規格で使用する場所ごとに、ビニール線やエンパイア・チューブの色分けが決められていました。
しかし、これを守って作ったラジオは殆ど見かけません。そんなわけで、自分の好みで決めてよいでしょう。
筆者は、B電圧の加わる部分は、赤や橙を、ヒーターには青、アースは黒を良く使います。
感電の恐れのある部分は、危険表示の意味もあって、赤のような目立つ色にしています。

順序として、まずアース母線を張ります。次にヒーターの配線をします。
特にヒーター配線は、大きな電流が流れます。それに耐えられる太さの電線を選びます。
今回は標準的な方法で配線しましたが、普段はヒーターは片線をアース共通とし、6.3V側のみビニール線で配線しています。
なお、高周波部分のソケットのセンターピンのアースは、忘れないようにしましょう。

出力トランスの二次側に、回路図に無い100Ωの抵抗が入れてありますが、これはスピーカーとの接続が外れた時、無負荷にならぬように配慮した為です。
これを入れると出力は損をしますが、微々たる値です。

5)組み立て後の確認と動作試験
全ての配線が終わったら、間違いが無いか再度確認してください。
配線の間違は、必ずあると思って、見直す態度が肝心です。
再確認が済めば、整流管のみ抜いた状態で通電し、ヒーターが正常に点灯しているか確認します。
ここまで大丈夫であれば、整流管を挿して通電します。この時、煙や臭いにも充分注意してください。
怪しいと思ったら、即 通電中止です。
スピーカーの配線を忘れやすいので、注意しましょう。
音がでれば完成ですが、経験上そう簡単にはいきません。
正常に動作するまで、原因を追究してください。
不具合が残る場合、各部分の電圧を測定して、下記の例と比較してみると、部品不良や間違った配線の発見に役立ちます。
カラーコード部品は、違う値の物を組み込むことがあります。抵抗値も測定してみるのも一つの方法です。
B電圧は強力な放送を受信している時と、そうでない場合では、電圧が違います。
これは、受信することで、AVCが働き、B電流が減少するためです。
ローカル局受信時の電圧は、調整済みの場合です。
組み立て直後の場合は、無信号時の電圧に近いと考えてよいでしょう。



完成し 通電試験中の5球スーパー。



6)調整方法

調整のやり方は「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」をご覧ください。




 

 

部品の選び方、組み立て方、調整のやり方は「真空管式スーパーラジオ徹底ガイド」をご覧ください。

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2012年3月8日:21,403 リンク切れを修正
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