8月21日〜 The Maltings Theatre in Berwick-upon-Tweed
21日(火)晴れ
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Anne のアパート | 劇場前で | 部屋から対岸の劇場を |
今日のスケジュールは、体操・ゲーム・ひょっとこ踊り・本読み・小道具作り・太鼓 の順。全てに関わっているので休む間も無い。これから10日間、これは大変だ。
日本人の女の子、マリアは本名らしい。親がクリスチャンなのか、教育方針として欧米に出すことを彼女が産まれた時から考えていたのか…?
で、彼女がこの劇がどう言う話しか教えてくれと言ってきた。「岩宿神話」は聞いたことぐらいはあるだろうが、英語の台本を理解することなど、私だって困難なのだから、当然だ。しかも、この台本は日本人が知っている「古事記」とは随分異なっている。まあ劇を作るのだから、原話の変更は当然だと思うのだが…。毎日のようにAnne
と討論をしているところだ…。
22日(水)晴れ、薄曇り
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舞台上で稽古 | ジェフ・ジェローム・リアン | 太鼓の稽古 |
この劇をすることをお母さんに話したら、お母さんが日本から”本”を送ってくれた、と言う話しを昨日マリアから聞いた。だが、彼女はその本が変だと言う、子供向けだから変えてあるのだろうと…。それで早速その”本”を持ってきてもらったのだが…、確かに読み安いように現代語訳になってはいるが、それは間違いなく「古事記」だ。つまりこの芝居の元本。それを彼女は”変だ”と言う、”変”なのは実は台本の方なのだが…。異国で15才の同胞の女の子を前にして、この芝居に関わったことの矛盾と責任を一気に背負わされたような重圧を感じる。ここのところの頭痛もきっとこの台本問題と無縁では無いだろうな…。
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小学生4人組み女の子 | 年齢差の激しい稽古 | マリア |
23日(木)晴れ、曇り
食事は基本的に自炊が多い。貧乏な私達には消費税が17%もかかる外食は予算的に見合わないからだ。まあ、自炊と言ってもご飯は炊かないのだから自炊と言えるのか判らないが…。7人の時はアオイとタツヤが、毎日のように随分こった料理を作ってくれた。おかげで全員5Kg
くらいは痩せて帰る予定だったが、逆に太ってしまった者が多い。料理責任者のアオイは2重顎になり、タツヤも顔が丸くなった。私の足が痛いのも、きっと体重増加が負担になっているのだろう…?生鮮食料品には税金がかからないから、安くて新鮮な食材にはことかかないのだ。その意味では英国は私達のような貧乏人には暮しやすい。カッキーだけは旅半ばからダイエットを頑張り、大分ウエイトを落したらしいが…。しかし、ダイエットをする貧乏人…、何とも矛盾に満ちた貧乏である。
ある時、食パンが美味しくなかったので値段を聞くと20P (\40)で買ったと言う、2斤ほど入った一袋の値段がだ。スパーに行くと安いものは15Pくらいから、それこそ種類も値段も千差万別にある。そこで私が、せめて40P(\80)
くらいのものを食べさせてくれ、と言うと「僕らは何でも良いので、値段が安い方が…」と返答。じゃあ何でもいい人は安いのを食べて、私には少し高いのを買ってくれと言うと、それは駄目だと言う。もし高いのがあれば誰でも高いのを食べるのは当然だから、と…。
そうなのだろうか、それは当然なのだろうか?その発想は浅ましくは無いのか?なるほど、我々は”同じ釜の飯を食う(シツコイようだが、釜も飯も実は無い。)仲間”だから、皆が同じものを食うのは当然かもしれない。例え私でも特別扱いは許されない。同質圧力の強い、特出することを許さない、日本的感性。そう言えば私だって取材があって、レストランでご馳走になった時、何だか”後ろめたい”ような気(あくまでも気だけ)がしたこともある。
問題は値段の高いものが常にいい、少しでも高いものがあるなら、それを食べなければ損だ、と言う価値観だろう。もっと問題なのはそれを当然のこととして疑問を許さないところだが…。たかが何十円かの、しかし毎日のパンだ。不味いと感じるなら、マシなものを買えばいい。例え2倍しようとも、毎日飲んでいるビター代にすらなら無い額だ。だが、自分が良いと感じるなら、それでいい、他人を羨む必要は無い。自分にとって大切なものと大切で無いものを自分の責任で撰ぶこと、そのさめた感性の上に英国社会は成り立っている。
結果として日本ではパンの値段に殆ど差が無くなる。パンだけでは無い。日本全国何処へ行っても、同じようなものが、同じような値段で売られている。そしてその結果として差別化をはかる”ブランド信仰” 私には同質の”あさましさ”に思える。個人主義とは、先ずしっかり自己を持つことだ。「自分の身体を使って金を稼いで何処が悪い!」と開き直って、ブランド品を買いあさるギャルの横行は、悲しき日本の現実だ。
24日(金)曇り時々雨
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Dunkeld の教会で | 不似合いな二人 | Scottish 結婚式 | Mary おばさんと |
今日は舞台セット設営のため稽古は休みだ。台本は何とか妥協点を見出した。Edinburgh
へダンス用のカセットを取りに行くついでに「Life is rhythm」を観ることに。さらについでに英国中で私が最も御薦めの観光スポットDunkeld
まで足を伸ばすことに。ここは小さな村だが、廃墟と一体になった珍しい教会と、マクベスに出てくるバーナムの森、そして村人達が全員ミュージシャンかと思える、勝手に音楽会が始まる小さなホテルがある。何と言っても2年前お世話になったMary
おばさんに会いたかった。偶然に、結婚式に出くわした。民族衣装の正装で、クラシックカーに乗ってパレード。心温まる風景だ。
8:40 「Life is Rhythm」最高だ。笑った。参考になった。つかわしてもらおう。
25日(土)晴れ
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不完全な舞台で | 変更のアイデアを出す | 本読み |
帰国後の日本での仕事のメールが大変だ。数日で短い台本も書かなければならない。殆ど寝ていない、メールに追われ慌てて稽古場に行くと、Anne の顔が暗い。直ぐにピンと来たが、舞台はやはり出来ていない。何と舞台監督が舞台の寸法を間違え、プラン変更だと言う…!さらにダンスの稽古をしようにも、子供が何人か来ない。それでも、二人くらいだからマシな方かも知れない。2年前、芝居を作った時は、舞台稽古に音響が来なかった。そんな馬鹿なことが本当にある。あと本番まで5日…!大使も知事も来るというのに…。
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半天を着たレベッカ・リアン | マリア | 最年少アダム |
劇の稽古は、殆ど本読み程度。後はAnne が段取りをつけていく。衣装合わせをすると喜ぶ、子供達。やはり大掛かりな学芸会と言うところか…?Anne が疲れ切っている、心配だ。
26日(日)晴れ
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皆で幕を作る | 漢字を書く。RucyとJess |
ご前中は皆で小道具作り。私は時間をもらい、帰国後の台本の仕事。午後から、やっと舞台ができたので、場当たり稽古。緊張感の無さは相変わらずだ。小さな子供と斜に構えた中高生、言葉の判らない人達、頼りにならないスタッフ、そりゃAnne
の顔も曇る。私は未だ英語のセリフが入らない。