7月26日〜31日

26日(木)晴れ、暑い! JEMCA Metro (TOYOTA) at the BROADGATE ARENA

Broadgate Arena 場違いな太鼓 3段ベッドのユース
7:00 Black Swan Inn を出発。Gloucester から一路London へ。
10:50

Liverpoor St 駅までは直ぐに着いたのだが、一方通行が多く、Broadgate へ辿りつくのに時間がかかった。

11:00 担当のNiick さんに電話。彼は遅れるので他の方が対応してくださることに。
11:30 車を近くまで乗り入れ、搬入・し込み。予想はしていたが、難しそうな空間だ。
12:00 チンドンで出るも、直前にビル管理の方から「煩いのは駄目だ」と、Jemca の担当に言っているのが聞こえてきた、そんなこと…、煩く無いチンドンなんて、ましてや太鼓・・・!
演奏は早々と切り上げ、七福神の紹介に。反応…、無いに等しい。クール、スノービッシュ…、「興味無いね、勝手にやったら…」てなところか…?
13:30 「寄せ太鼓」から「マサル」を除いてフルで。拍手、歓声、まあまあ。
それでもニック は驚いている。「こんなにここで反応があったのは見たことが無い。」と。ビル会社からも2年後に完成する新ビルのイベントでやって欲しいと言われたと…。スタッフは皆嬉しそうだから、きっと良かったのだろう…?
宿泊はHampstead heath のユースホステル。

27日(金) 晴れ 
 昨日の暑さは半端では無かった。ユースの窓を全開にしたが、とにかく窓が小さい。英国はもう秋なんて言っていたが、とんでも無い。猛暑!
 今日はとにかくJemca のイベントに協力するために、やり方を大幅に変えることに。その打ち合せをし様とすると、何と昨日ビル管理会社に苦情が入り、大太鼓を使わないでやってくれと…。突然、そんなと驚くが、管理者の首が飛ぶとまで言われれば、仕方無い。大太鼓はただの飾りとして使うことに…。何にしてもせっかく車を提供していただいたJemca のイベントに協力しなければ…。まず、カラス天狗のタツヤと布袋のテツ、弁天のアオイ、和装のトモコに開場内を歩き廻ってもらい、リーフレット配りを。カキとクスには絞め太鼓と篠笛で何となく開場の雰囲気作り。1時直前に私がチンドンを打ち鳴らし、全員集合、チンドンを4曲。そこから口上、獅子舞の順に。大太鼓が使えないから、3人で伏せ太鼓を叩いたり…。でも今日はしっかり見て反応してくれているお客さんも何人か。遠巻きにして見ている客の数も多い。最後はアオイのソロ「マサル」で。
 片付けていると、何人かのお客から「今日はもうやら無いのか?」と質問を受ける。色々な人がいて、色々な反応がある、それは当然だ。ましてや太鼓は祭り=”ハレの場”にこそ相応しい、それを仕事に追われる=日常に突然持ち込めば、昼の休み時間とは言え、苦情がでるのも当然だ。
 14:30 片付け、荷積みを急ぎExeter へロングドライブ。前夜祭パーティーに間に合いたいと思ったが道路渋滞でどうにもならない。20:00 Exeter 着。Eric と博物館前で待ち合わせ、Pub で一杯。宿泊は幾つかのイベントをアレンジしてくれたFool's Paradice のニッキーの家…、彼女一家はバカンスで旅行に出ているらしい。2日間僕らが勝手に遣わしていただけることに…。


28日(土) 晴天 Exeter Festival at The Royal Albert Memorial Museum
 10:30 博物館前からチンドンを始める。もう、物凄く反応がいい、昨日と比較して感じてしまうこともあるのだろうが…。事前にパフォーマンスをやることが知れ渡っていて、我々を見るために集ってくれた客も沢山いるようだ。カメラ、ビデオは数知れず、皆ニコニコ、ゾロゾロ、チンドンに着いて来てくれる。きっと天気が良いのも影響しているのだろう、沿道の素直な笑顔が僕らをとってもハッピーにする。懐かしい友人達の顔もチラホラ、Exeter はまるで故郷のようだ。

博物館内の一室に U-Stage の宣伝チラシも 博物館正面

 11:50 博物館前で一曲演奏しながら建物の中へ移動、12時きっかりに口上。50席の椅子席は満席、立ち見、座り見…、狭い会場が立錐の余地も無い。おそらく130人は超えていただろう。
終演後、何人もの方々の質問や賛辞への返答にオオワラワ、中にはBristol からわざわざOld Vick Theatre(英国で最も古いと言われる劇場) の演出家や制作の方も…。しかし話しこんでいる時間は無い「能」のWorkshop の方々の準備が。
 直ぐに片付け、荷積み。安くて美味しい、お薦めのサンドウィッチを買い、公園で昼飯。Pub で一杯。給っている洗濯物をコインランドリーで。私は「能Workshop」を見学に。
 16:00 一旦アパートに戻り。直ぐにCygnet Thatre へ。2年前にお世話になった時、同時に入学してきた人達のこの劇場での最後の公演が開かれている。「令嬢ジュリー」
 開演まで時間があるので”キィー”と呼ばれる川沿いを散歩することに。ここには思い出も沢山ある…。
 21:00 終演後、Cygnet メンバーとの話しもそこそこに、博物館へ戻る。London でお世話になったSuzane が講演に来ているのだ。Eric と3人で食事。

29日(日)晴れ Scotland へ向い移動の日

Exeter Flea Market
Flea Market お世話になったアパート 高速に架かる牛専用道路

 7:00 知る人ぞ知るExeter のFlea market へ。ここへ来れば食料・衣類・家具・電気製品まで信じられないような値段でほぼ何でもそろう…、運がよければ。勿論、今回も買い物を楽しんでしまいました。
 10:00 アパートへ戻り掃除。車へ荷積み。Eric の家へ鍵を戻し、来月(Sidmouth )の打ち合わせ。随分細かいタイムテーブルだ。
 ガソリンを満タンにし、昼飯用のサンドウィッチを買い込んで、高速をひたすら北へ向う。今日の宿泊はRancashire のSlaidburn と言う小さな村のユースホステルを予約した。Wales で盗難にあって以来宿泊はできるだけ都会を避け、田舎を選ぶようにしている。北へ向うに連れ涼しくなるのがはっきりわかる。

30日(月)晴れ 小雨あり

Slaidburn yuth hostel
外見は地味なユース
Slidburn pub
ユースの目の前のPub で
Anne の家
元教会を改造した稽古場
いきなり演技Workshop 

 私達が泊まったSlaidburn のユースホステルは、思わぬ見つけものだ。もしかしたらこれまで泊まったユースの中で一番かも知れない。綺麗な小川に草原、牧場、小さな小さな村で景色と静けさは言う事無い。建物は17世紀に建てられたものらしく、低い天井、太く黒い梁、小さな窓、ちょっと軋む床…、英国を体験するには必要条件の歴史的赴きも完璧だ。それでいてトイレやシャワーの数もけっして少なくは無いし、ベッドだって悪く無い。食事は全て自炊だが、これで一人£10 !(約1700円) そして何と言っても目の前が村でたった1件のPub…、ここがまた外見といい、内装といい、言う事無し、自炊をしなくともここで、飯が食える。残念ながら僕らは食事はしなかったが、店内は村人で一杯、だからきっと美味しいのだろう。で、どうしても付け加えておかなければならないのは、働いている女の子が二人、揃いも揃ってスタイル抜群の美人、それでいて笑顔がいい、愛想がいい、男のように逞しく無愛想な女性の多い英国で、これはもう奇蹟だ!!
 唯一の欠点は、携帯電話が繋がらない…ああ。と言うわけで、これをアップロードできるのは何時になるのか…?
 12:00 Borders と呼ばれるScotland とEngland の境にあるHawick という町のさらに外れにあるOrmiston House に到着。今回一緒に芝居を作る演出家のAnne さんの家。いったい客間が何部屋あるのか、ちなみに私の部屋は12畳はあろうかと言う個室にバス、トイレ付き!他のメンバーはツイン。この大邸宅に普段はAnne さんと御主人、犬一匹、猫4匹で暮しているらしい。今は御主人は何処かへ出張中らしく、変りに(?)全寮制の高校へ通う一人息子のRoss 君が9週間の夏休みで帰ってきている。稽古のためにスタジオへ行っているAnne の変りに彼が出迎えてくれた。
 お茶を一杯ご馳走になり、直ちに車で30分程のGalashiels と言う町にあるAnne の稽古場へ。これがまた古い教会を改造したもので、教壇やパイプオルガンのパイプが残っている、実に演劇的イマジネーションをくすぐる空間。広い工作室やギャラリーもあり、羨ましい限り…。昼飯を食べて戻ると、粗い立ち稽古をしている22人の子供達に紹介されるが、何と、彼らは今週末には本番だと言う。これに僕らが加わるらしい、後4日で芝居を作る!?打ち合わせもそこそこに、簡単なWorkshop を。
 10〜14才の子達を中心に上は17才まで…、一番扱いにくい年齢だ。しかも個人主義の国。Anne もかなり手を焼いている様子。これで本当に芝居になるのだろうか?
 演目は「天の岩宿」神話。これをやるために、日本から来ている我々が必要だったのだ。台本を貰ったものの、勿論全部英語だから、読むだけでも苦労する。辞書を引いている時間もないから、何となく理解して行く以外に無い。

31日(火)晴れ
 朝は準備体操から、子供達は一緒に体操をすると言うことそのものに馴れていない。太鼓の演奏を一曲披露、緊張感でもエネルギーでも、何かを感じ取ってくれればいいが…。ジャンケンや簡単なゲームをして遊ぶ。それから稽古に入る。私はスサノオ、トモコはアマテラスをふられる。しかし台本の内容そのものが良く判らない…。英語でセリフも幾つか言わなければならない!?稽古が進めば進むほど、良く判らない、どうも天の岩宿伝説は使ってはいるが、それはFestival の始まりと終わりに神話的意味付けをするためにあるらしく、天照が岩宿に隠れる理由も、明快にスサノオとの闘いに破れたことからになっていて、あたかも地獄のサタンと天国のゴットの闘いのようようだ…。つまり僕らが知っている”スサノオの暴虐を嘆いて天照が身を隠した”神話とは明らかに違う。それで助言を求められても、根本的な感性や文化の違いを説明せねばならず、絶句してしまうような状態が続く。しかも英語で説明されることを一々他のメンバーにも翻訳せねばならず、これがまた一苦労。私だって明確には判らないのだ、何となくしか…。だいたい”嘆いて””身を隠す”この日本的感性をどう説明したらいいんだ?
 しかし、それはそれでも我々が加わって、尚且つ太鼓で効果音などをつけると、少しは緊張感も出てきた、少しは…。子供達にとっては良い経験になるのだろう…、つまり”何を表現するか?ということよりも、演劇体験をすることに意味がある…、まさにWorkshop、まあこれはこれで我々にもいい経験なのかもしれない。
 夜、食事の後にどうしても理解できないストリー上の問題について、Anne と話しをする。結局彼女が参考にしている文献に当たらねばならず、コピーを貰う。勿論全て英語…。先ずはこの読解から始めなければならない。ワインが疲れた体と精神に、ぐるぐると浸って行く…。心底疲れ切った一日。

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