7月10〜14 London

Old Spitalfield Market
Old Sptalfields Market
10日(月) 曇り、大雨
10:30 Old Spitalfields market 着。マーケット内に車を駐車。看板・楽屋・舞台として活用。
11:20 Eric の銀行Roys Bank へ行くも、一時間近く掛かって結局現金は引き出せず。
12:40 スタート。七福神で場内を1週。あまり人出は無い。
屋根に積んだ箱の上に登り口上、登ったのはいいが下りるのが大変だ。
七福神の紹介、殆ど聞こえないようだ。Edinburgh でお会いしたM さん達来てくれる。
13:30 終了。客は少ない割りに、小銭は大分集る。
14:30 斎藤夫婦と屋台のカレーを。£3.5!安くて美味い。
15:15 Eric の銀行からやっと現金を引き出せた。これで為替レートを気にしなくてすむ。
16:00 大使館7Fで取材。幼少時代を日本で過ごしたというCaroline さん、日本語がとても上手いので助かる。予定を大分超過して話し込んでしまった。
17:15 バスに乗り、河を散歩することに。私には、この旅始めての自由行動だ。
18:00 突然の大雨。橋の下で雨宿り。Glove 座のチケットを取る。
18:30 ガラクタ楽器を演奏しているアメリカ人の青年に会う。小銭を全部あげてしまう。
Livepool 駅の直ぐ傍 国際的な付近の屋台 背広を着たビジネスマンが

11日(水)晴れ
 Old Sptalfilds Market はLiverpool St 駅の直ぐ隣にあり、平日はオフィス街からランチを食べに来る人達で賑わう。ちょうど新宿副都心に対しての、ションベン横丁か大久保のような感じ。オシャレで洗練された都会のクールさとは対極をなす、雑多でちょっと薄汚れた、その分人間的な生活感が漂う。硬質なビルの中で働く人達にとっては、ちょっとした”逃げ場”であるのかも知れない。その意味で”芸能”や”芸術”を考えるには、実に相応しい場所だ。
 今日は客席の配置を工夫し、朝からわざと少しづつ音を出し雰囲気を盛り上げる。七福神の紹介と口上を止め、寄せ太鼓を入れてみた。食事をしに来た人達に無理やり大音量の芸を聞かせるのはちょっと気が引けるが、立ち止まって聞いてくれる人の数は昨日より多いようだ。客席はほぼ満席状態。
 終演後、日経新聞の取材を受ける。日本では全く知られていない僕らの活動が、多少は認知されるかもしれない…。集団のこと、チンドンの歴史、演劇への思い、…随分長いこと話させていただいた。

12日(木)晴れ、曇り、雨
 大分馴れてきたので、11時直前にマーケットに車を入れる。出店屋台の準備も慌ただしい。雨も激しく降ってきて、客足が心配だ。
 3日めともなると、市場の人たちにも飽きられそうで、違ったことがやりたくなる。まして今日は夕方、直ぐ前の大学でも公演しなければならないから…。構成を大幅に変えて、チンドンの後にガラクタ楽器を入れてみることに。ただこの場所は空間的、観客意識的に、言葉の掛け合いで成立させる出し物は難しい、勿論我々の英語力の問題も大きいが…。何気なく練習していれば、その余りの馬鹿馬鹿しさに立ち止まって微笑んでくれる人は多いが、いざ観客としてそこにいる人達を巻き込もうとすると、それには手練手管が必要だ。まさに大道芸人達の”本ネタ”をなかなか見せずに、客を引張る”芸”が…。
 結果的には、やはり大惨敗。チンドンでせっかく集めていた客を逃がしてしまうことに。その動揺もあり、太鼓もあまり調子がよくない。終演後の反応もこれまでの中では一番悪いように感じる。投銭もいつもの半額以下だ。
 直ぐに片付けて食事。3:00にGiuildhall大學へ移動。
公演場所は駐車場とは聞いてはいたのだが…。普通車が5〜6台も入れば一杯になってしまうような、要するに屋根付きの搬入口。観客から見下ろされる位置関係になり、大太鼓も何だか小さく見える。柱もあり、段差もあり、低い屋根…、しかも正面玄関との間に、受け付け用の小部屋があり、移動にはそこの狭い通路を通り抜けねばならず、チンドンも問題だ。この旅中もっとも厄介な空間に遭遇した。
 しかし逆境に燃える性分が幸いしたのか、温かい観客に助けられ、反応は上々。狭いことが言葉や表情の交流を容易にし、さらに見にくい空間の中で積極的に見ようと言う観客側からのアクションが、ここ数日「仕方無いから見てやるよ」と言う視線に耐えてきた我々には、大きな励みになった。積極的な交流が産まれるための前提条件の面白さ、複雑さに改めて気付かされた一日でした。
 I さん行きつけの安くて、美味しいカレーを堪能させていただく。

13日(金)晴れ、曇り、雨
 今日はWorkshop を入れることに。朝からWarkshop の張り紙を出すも、反応は無し。まあ、全然いなかったら、通常の公演にすればいいし、2段構えの戦術だ。
 12:45 チンドン始める。今日は唄無しで。最初にちょっとチンドンの説明、早代わりで「マサル」を始める。客は段々集ってくる。曲終わりで、Workshop の募集。しかし、なかなか反応が無い。諦めて、通常の演奏にしようとすると、5人も出てきた。この辺のモジモジさは、日本人とそっくりだ。
 始まると皆喜んでやってくれる。客もそれを飽きずに見ている、どころか人垣が増える。やはり大道では客イジリがとても重要だ。「馬鹿囃し」「鬼囃し」「終宴」でSee you again! 反応は上々。
 市場内の反対側で、日曜日のための準備が進んでいる。一日前からステージが出来上がるなんて、英国にしては随分準備がしっかりしている、などと感心していると、I さんから電話。日曜日の公演は搬入・搬出にさえ車は入れられないと、主催者から言われたと…同じ場所なのに…、そんな馬鹿な!広い市場、その市場に面した駐停車禁止の混雑する道路からどうやってステージまで、車に満載した荷物や大きな太鼓を運べと言うのだ。しかも理由が出店者の車で混雑するから…。つまりは車は入れるけど、僕らは駄目と…。前日とか早朝に入れてくれ、と言うなら話しは判るが、一切駄目では「搬入・搬出をするな」つまりは「公演をするな」と言われているに等しい。その底には「場所だけ与えてやらせてやる」と言う意識が仄見える。Briton と同じ”他人を如何に安く利用するか”という発想に思える。30分以上も電話で話し込む。
 夜、Globe 座へ「King Lear」を観劇に。ここは例え英語が全く出来ない人達にも是非お勧めしたい劇場。ただ当日では立ち見チケットをとることすら、なかなか難しい。席は殆どが立ち見で、3層のバルコニーになっている座席は数週間前から予約で一杯。その座席にしたところで固い木の狭い椅子。”広いユッタリした席でノンビリ観たい”などと言う我侭は全く受けつけない。観客側の積極的なアプローチこそ、劇を活性化させるものと信ずる所以だろう。事実、私はこの劇場で退屈だったことは、1度も無い。近代的価値観の対極を主張しながら、経済的にも成功させているところが凄い。しかし、3時間もの芝居をづっと立ち続けて観るためには、体力も気力も必要、まして言葉が判らないとなると…。

14日(日)雨後晴れ
 8:30 デジカメが壊れてしまったため、友人が別の物を送ってくれたのだが、送り先が留守だったため、別の保管場所に移されてしまい、それを受け取りに…..。しかし散々待たされた挙句、見失ってしまったと…!?暗澹たる思いで今日の公演場所に向う、途中I さんから電話「たった今届いた」と…。良かった!!しかも丁度彼女のお宅近くだったので、直ぐ受け取りに。
 Acton にある前田学園と言う幼稚園で6000坪もあると言う広い園庭を使った”夏祭り”のイベント。朝から雨模様だったが、七福神の登場とともに天気も快復、絶好のお祭り日よりとなった。15分のチンドンを2度と言うご要望で、とても楽な仕事だ。しかも全て日本語でOK。私達も海外のちょっと変った日本を存分に楽しませていただいた。
 日英タイムス編集長加藤さんとも久し振りの再開、この旅の取材を受ける。

前田学園入り口 仕事? アパートで豪華に夕食

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