Kota Kinabalu

ホテルの窓から、海に沈む夕日が見える。

最後の日の夕日

12月5日 (金曜日) 晴れ
 朝8時出発のため、荷物整理やチェクアウトにバタバタする。無事カードで支払いをすます。ニッコウホテルの快適さ、日本人の心配りの素晴らしさを改めて実感させられたこの数日だった。
 久貝さん、最後まで面倒を見てくださる。ありがとうございます。私は本当に楽。
2時間半のフライトで、Kota Kinabalu へ到着。「サンダカン八番娼館」の、”オラーウータン”の、ボルネオだ。
 空港で出口を迷っていると、領事館の高野さんから声をかけていただく。さらに、我々のために民族衣装を着た綺麗なお姉さんとダンサーが、歓迎してくださる。満面に笑みを浮かべる鞘抜、戦闘モード突入。
 ハイアット・リージェンシー・ホテルへ。マレーシア航空のスチワーデスもご用達の高級リゾート・ホテルだ。男連中が何となくウキウキしているのが、判りやすいと言うか、単純と言うか、俺もだ…。
 私は、パソコンの調整に追われる。
19:00 平田総領事公邸にて夕食懇談会。この公演には、観光省やら文化省やら色々お世話になっているようだ。VIP に囲まれてちょっと居心地が…。素晴らしい日本料理の数々。とりわけ、蕎麦が美味かった!

6日 (土曜日) 曇り後雨
 朝から荷物チェク、仕込み、リハーサル。会場は体育館のようなところに、舞台がある。照明やら客席位置やら、全て舞台の上で進行すると考えられているようだ。会場全体を使う我々は、階段やら、楽屋やら、移動経路を巡る打ち合わせが大変。
 さらに、合同演奏のリハーサルも。これは企画としてはなかなか面白いが、付け焼刃になってしまうのをどのように誤魔化すかが問題。ここまで写真を撮ってきた、山本のカメラがクラッシュ。ビデオの静止画を使うことに…。

会場には必ずVIP席がある 通訳のイスさんを交えて 獅子舞の始まり

 悪いことに雨が降って来た。外を回ることが出来ないので、急遽楽屋を変更。客足も今一つだ。
七福神で客席後ろより登場。通訳のイスさんを交えて口上、結構受ける。鞘抜の三味線。客を二人舞台のあげて踊りの指導、最高に盛り上がる。Kaja は勿論、受けまくる。現地の民族音楽を6分。海外公演も数多くこなす、実力派のようだ。迫力のある演奏。
 獅子舞から、太鼓を5曲。 最後に、合同演奏で現地の曲(”〜村の橋”と言う有名な曲らしい。)と「上を向いて歩こう」

Sabah Culture Board 合同演奏の写真…かな? 合同演奏フイナーレ

 500人ほどは集まっただろう客席は沸きに沸いた。終演後に領事館の高野さんから伺った話では、日本人会の会長が、「25年、毎年色々なものが来たが、最高だ。」と仰ったとか、観光大臣が「是非毎年来て欲しい。」と言ったとか…。
 嬉しい評価を沢山いただいた。

7日 (日曜日) 雨後曇り
 この旅始めてのストリート公演。しかし雨がしょぼついている…。派手な着流し衣装を着てロビーに下りると、さすがに目立つ。他のお客さんは、ビックリしてジロジロ、写真を撮る人も…。民族衣装だとでも思っているんだろうな…、着物であることは間違い無いけど、チンドン屋の舞台衣装なんだけど…。

目立ち過ぎる、ロビーにて ホテルに面した道路で 公演のために警官も

 現場は警官が交通規制をしている。楽屋にするため、バスを乗り着ける。KKで最も古く由緒あるホテル正面入り口の軒先を借りることに、さらに日除けまで出してくれる。これで雨でも大丈夫だ。用意してきた太鼓3台をセッテイング。

口上の始まり 傘をさして見てくれる 何人くらい集まったんだろう

 高野さんから時間を早めるよう指示があり、小雨の中チンドンの開始。人は徐々に集まってくる。
口上から、鞘抜の三味線、踊り指導、Kaja へ繋ぎ、太鼓を一曲。下手側にVIP用イスが並べられており、その前に一般客は立ち難く空間が狭まらない、つまり客が遠く、空間が分断される。ストリートにまでVIP 席とは…。それでも最大300人以上は集まったのではないだろうか、とりあえずは盛り上がって終わった。

目の前は海。波の音がする PA・照明 OP席 この広い空間に3台じゃ

 夜、マーケットで、今度は予定時間を一時間遅らせて。
現場に着くと照明も音響も用意されている。しかもレストランのテーブルとイスが並べられ、またまた空間が限定されてしまう。こりゃディナーショーだ。これだけ客が遠いなら、衣装も変えるべきだったし、音響・照明の位置も問題、何より太鼓をフルでセットすべきだった。そうしたら、もっとお客を感動させることも、納得させることも出来たはずなのに…。打ち合わせ不足をつくづく感じる。仕方無い。

8日 (月曜日) 晴れ
 今日は一日フリーデイだが、公演が終わったら突然良い天気で、ちょっと複雑な気分だ。
到着した日に、高野さんから「空き日には何処かへ観光に出かけたら…?」とツアー会社を紹介されたが、”観光”をしたいと言う感覚が僕らには無い。私は可能であれば、サンダカンか、ジャングルの奥へ行ってみたいが、時間的にも金銭的にも無理だ。バスにでも乗って冒険に出かけるか、ホテルで遅れている日記でも進めるか、と考えていたら、ずっと我々の面倒を見てくれていたスティファンが、首刈り族の施設を見に行こうと言う。しかも高野さんに既に連絡したようだ。
 高野さんから「予算がありますか?」と聞かれたので、正直に「無い。」と申し上げると、「何とかしましょう。」と仰って頂いた。そんなわけで、髪を長く伸ばし酋長のような風貌のステファンが誇りを持って「俺の民族だ。」と言う、ここサバ州の先住民族カダサン族の施設を見に行くことに。

正面入り口 何故か大きな銅鑼が インチキー・ジョーンズ

車でだいぶ山の中に入り、モンソフィアード・カルチャル・ビレッジに。まずは籐イスに座って、凍った竹筒に入った酒を振舞われる。そしていよいよ問題の家へ。ここには300年前のものだと言う43個の首が吊ってあるハリや、ボボ・イサンと言う要するに”巫女”の衣装、写真などが展示されている。戦士が首を刈ることの意味や精神世界と生活の説明を受ける。お勉強をしながらも、ガイドのソニアさんが、美人で、明るく、なおかつ色っぽい、いやー楽しい。

脱穀機の引き回し 吊り橋を渡る ソニアさんに指導を受ける

 吊り橋を渡ったり、吹き矢の練習をしたり、素朴な展示と説明。ちょっとだけジャングルに触れ、ちょっとだけ昔の生活を想像する。それが十分に楽しい。僕らがやろうとしている”表現”に確実に繋がっている。
ステファンが毎晩飲みに来ると言うローカルの食堂でビールと食事。生魚の料理がふんだんに。これが美味い。醗酵させた魚はちょっと駄目だったけれど…。最後には、”さしみ”も出てきた。「日本料理は高いから、マグロを買ってきて、キッコーマンとワサビを付ければ”さしみ”だ。」とステファン。その通り。実に美味い。マレーシアでマグロの刺身を食うなんて…。

9日 (火曜日) 晴れ

空港から街へ入る所にU-Stage 公演案内の看板が

 8:15 ホテルチェック・アウト。ところが電話の清算を済ませると終わりだと言う。「ルームチャージを払うのは私だ。」といくら説明しても「Paid already.」書類まで見せる。そんな馬鹿な…?高野さんに電話をしようとすると、ステファンがやってきたので、ヘルプを頼む。彼はしばらくフロントと話すと、「No ploblem. Its OK.」と。「えー!?払わないでいいの・・・?」
 空港で高野さんに、その話しをすると、直ぐホテルに電話を。案の定、ホテルのミスだった。ステファンはホテルのミスなんだから、電話なんかしなければ良かったのに、と残念がってくれる。でも幾らこちらに落ち度が無くても、払わなければならないものを、払わないのは何か気分が悪い。まあ、本当にずっとそのままならそりゃラキーだけど…。
 あわてて空港までフロント女性が飛んできた。 ところが、カードを巡ってまた色々ある。どうも私のカードはオーバーになっているようだ…。高級ホテルの8人分4泊の払いだから、かなりの額になる。仕方なく家の生活費の分のカードで…。

Penang