<研究内容> フェアプレーとは 最近、少年サッカーの試合中等の指導者のマナーが気になります。 今回の研究テーマはフェアプレーです。サッカーを心から愛する サッカー指導者ならば、以下のことは常識と思いますが、今一度 確認してください。 以下の資料は宮城県サッカー協会審判部で作成した冊子の抜粋です。 (1)理想のサッカー選手の条件 「理想のサッカー選手」とはどのような選手でしょうか。ゴールをたくさん 決める選手? どんなFWもストップする選手? 観客のだれもがうっとりす るようなスルーパスを通す選手? 90分間休みなく走り回る、すばらしい リーダーシップで仲間を勝利に導く選手? こうした特別の能力は「いいサッカー選手」にとって欠くことのできない条 件です。それによって有名になり、優勝メダルをいくつも獲得することがで きるかもしれません。 しかしそれだけでは「理想のサッカー選手」とはいえません.「理想のサッカ ー選手」とは、高い能力と強い精神力でチームを勝利に導くだけでなく、そ のプレーや行為を通じてサッカーというスポーツの価値を高めることのできる 選手です。.チームメイトばかりでなく、相手チームの選手やファンから尊敬 される選手であるはずです。 そして「尊敬される選手」になるための条件、それが『フエアプレー』なの です。 高い能力をもっていても、危険な反則や卑劣な行為を繰り返したり、レフェ リーに文句ばかり言っている選手は、けっして仲間の選手やファンから「尊敬」 を得ることはできないでしょう。 どんなすばらしい成績を残しても、仲間やファンから尊敬されないようでは、 選手生活は色あせたものになってしまいます。「フェアブレー」をつらぬき、 尊敬される「理想のサッカー選手」を目指さなけれぼなりません。 「理想のサッカー選手」の条件 @フェアプレー A技術・段術・体力の三拍子揃ったサッカーの能力 B強い精神力 (2)フェアプレーとは何か それでは、『フェアプレー」とは何でしょうか. @ ルールを正確に理解し、守る。 まず第一に、ルールをしっかりと理解し、実際にどのように運用されている かを知ることから始まります。とくに近年はルールの改正が頻繁に行われ、正 当なタックルなどの解釈が変わっています。最新のルールをしっかりと理解し、 守らなければなりません。 Aルールの精神:安全・公平・喜び ルールの理解以上に重要なのが、「ルールの精神」、つまりルールを支配す る「考え方」を理解し、それを実戦するように努めることです。 「安全」「公平」「喜び」。全部で17条しかないサッカー・ルールの精神は、 この3つの言葉で表現されます。プレーや用具は相手に危険のあるものであって はならない。どちらか片方が一方的に有利な状況であってはならない。そして 最終には、選手も観客も心から楽しむことのできるゲームでなければならない。 これが「ルールの精神」です。試合中の行動の基準として、常に思い起こさな けれぱなりません。 相手側のFKのときに、決められた距離を離れずに妨害する行為、ファウルぎ みのタックルやチャージにあったときに大げさに倒れるなどの行為は、たとえ 警告を与えられなくても、『ルールの精神』に反する、アンフェアな恥ずべき 行為なのです。 Bレフェリーに敬意を払う 審判を信頼し、判定を尊重するということも「フェアプレー」の大切な要素 です。サッカーの歴史を見るまでもなく、審判というのは、両チームが公平に 試合を進行するために頼んだ人です。その審判の判断に従ってプレーするのは 当然のことです。 そして選手がミスパスや判断のミスをするのと同じように、審判もミスする ことがあります。 判断ミスに文句を言いたくなる気持ちはわかりますが、それを言葉や行動で 示すのは、ルール違反であるばかりでなく、非常に見苦しい行為であることを 思い起こさなければなりません。 まして、審判の人格を傷つけたり侮辱するような「言葉」「ジェスチャー」 「態度」は、もってのほか。ルールでも厳しく禁じられていることなのです。 C相手に敬意を払う 相手チームの選手は「敵」ではありません。同じスポーツを楽しむ大切な 「仲間」なのです。仲間であれば、相手の人格を尊重し、ルールとその精神 に従ってプレーを競い合うことに集中して下さい。相手を傷つけるような反 則はできないはずです。 そして重要なのは、けっして「報復行為」をしてはならないということで す。その相手の反則にカッときて冷静さを失うのは、選手として最も恥ずべ き行為です。反則といっても、技術的に未熟なために遅れたタックルが、足 に入ってしまう場合もあります。 本当にうまい選手なら、それはわかるはずです。どんなときにも自制しブ レーに葉中できる選手だけが、チームのために最高のプレーをすることがで きるのです。 サッカーでは試合中にだれかがひどいケガをしたと思ったとき、ポールが どちらのチームの支配下にあろうとすぐ外にけりだして試合を止め、対処で きるようにします。そして対処が済めば、選手はスローインを相手チームの ボールになるように投げます。これはサッカーのフェアプレーの発露の美し いシーンのひとつです。こうした一連の行為によって、選手たちは相手を 「仲間」として尊敬し合っていることを示すとともに、サッカーという競技 の価値を自然に高めているのです。 〔フェアプレーとは何か?〕 @ルールの実際'を正確に理解すること Aルールの精神を理律し、実戦すること:安全・公平・喜び Bレフェリーに敬意を払うこと C相手に敬意を払うこと すなわち、サッカーの価値を高める行為である (3)フェアプレーの原点 ルールを覚えることだけでなく、「ルールの精神」を理解し、実戦に移 すことが大事なように、フェアプレーも、「フェアプレーの原点」を理解 することが重要です。 なぜ「フェアプレー」が大切なのでしょうか。 プロであろうと小学生であろうと、サッカー選手がサッカーをプレーして いる最大の動機は「サッカーが大好き」だということです。好きだから、 だれでも「楽しく」プレーしたいと考えています。そしてプロの試合を見 にくる人も、テレビで観戦するファンも、楽しいサッカーを見たいと考え ているはずです。 「フェアプレー」の原点はここにあります。サッカ一が好きだから、その 価値を高める行為=フェアプレーが必要となるのです。 サッカーにフェアプレーがなくなり、「勝つための手段はすべて正当化 される」というプレーばかりになったら、だれも楽しくプレーすることも できないし、楽しく試合を見ることも不可能となります。そうすれば、 やがてサッカーというスポーツは死に絶えてしまうでしょう。 サッカーを心から愛し、これからずっと楽しくプレーし観戦したいと考え ている人は、すべて「フェアプレー」の理解者ということができます。 「フェアプレー」は、私たちが愛するサッカーというスポーツの価値を高 めてくれるものです。そしてそれは同時に、サッカーに取り組む私たち自 身の価値、私たちの人生の価値を高めてくれるものなのです。 〔フェアプレーの原点〕 @サッカーを愛していること A楽しくプレーしたいと考えていること Bサッカーの価値を高めたいと考えていること (4) フェアプレー チェックリスト それでは、具体的にどんな行為がrフェアプレー』とされるのでよしうか。 実際の例でチェックしてみましょう。 1. 相手選手に対して □ 相手選手は敵ではなく、同じスポーツを楽しむ大切な仲間である。 □ 相手選手を尊敬しルールに従って、勝利を目指して全力でプレーする。 □ 相手選手を傷つけるような反則は絶対にしない。 □ プレーで相手選手に負けたのを、反則でカバーするようなことはしない。 □ 相手選手の人格を傷つけるような行為や発言をしない。 □ たとえ相手選手に反則をされても、報復行為をしない。 □ 相手チームのポールだとわかったら、すぐ相手選手に返す。 2.審判員に対して □ より良いサッカーを進めていくための重裏な役割をもっている人として、 審判を信頼し尊敬する。 □ ルール上の審判の役割を尊重して、素直に従う。 □ 審判もときにはミスする人問であることを認識し、判定に異議があった としてもそれを言葉や行動で示さない。 □ 審判の人格を傷つけるような発言や行動はしない。 3.自分自身と味方に対して □ 最後まで味方同士励まし合い、勝利を目指して全力で正々堂々とプレー する。 □ 勝ってもおごらず、たとえ試合に負けても、胸を張って相手と健闘をた たえ合えるような試合をする。 □ 自分自身をはずかしめるような行為はしない。 a.FKのときに決められた距離までなかなか離れようとしない。 b.FKやPKをとってもらおうとして、タックルやチャージに対して大げ さに倒れる。 4.競技役員や観客に対して □ 自分たちがサッカーを楽しむのを支えてくれる大事な人として、周囲の 人びとを大切にする。 5.競技場・施設・用具に対して □ より良いサッカーをするうえでなくてはならないものとして、これらを いつも大切にする。 サッカーが好き だから、フェアプレー 指導者講習会用資料 審判部長 平塚氏 作成 平成12年2月20日 フェアプレー 競技規則の精神 競技規則は「フェアプレー」を具体化したものであり「フェアプレー」は友情 を基盤にした競技者によってプレーされることである。 「 「フェアプレー」=「安全・公平・喜び」 1. 安全 プレーや用具は選手にとって、危険のあるものであってはならない。 ・固定式でないゴールポストは固定されていなければならない。(第1条) ・エイズ予防等の観点から(第5条)負傷による出血した競技者をピッチから 離れさせる。 ・使用するボールの品質と材質(第2条) ・競技者の用具(第2条) ・反則と不正行為及び国際評議会決定事項[決定5](第12条) ・競技中の飲水を取り入れた。 2. 公平 どちらか片方が一方的に有利な状況であってはならない。 ・アドバンテ―ジの採用 ・空費された時間の追加(第7条) ・GKへの制限事項 ボールの保持時間の制限 オーバーステップ、 手の使用制限 ・決定的な得点の機会の阻止の対する処置(第12条) 3. 喜び(仲間との共有) 試合が終了したら、お互いの健闘を称え合い、ゲームが出来たことの喜びと 感謝の気持ちを表わす。 ◎ 審判員には、敬意を払う ・審判を信頼し、判定を尊重する。 ・両チームが公平に試合を進行するために頼んだ人です。 ・その審判の判断に従ってプレーするのは当然です。 ・審判もミスをすることがありますが、それを言葉や行動で示すことはルール 違反であるばかりではなく、非常に見苦しい行為である。 ・審判員の人格を傷つけたり侮辱するような「言葉」「態度」「ジェスチャー」 は、ルールでも厳しく禁じられています。 ◎ 相手に敬意を払う ・ 相手チームの選手には、いっしょにゲームをして「楽しませてくれた仲間」 として尊重する。 ・ 相手の人格の尊重 ・ ルールと競技規則の精神に従って相手を傷つける行為や報復行為をしてはな らない。 ・ 試合中誰かが、ひどい怪我をしたと思ったら、ボールがどちらのチームの支 配下にあろうと、直ぐ外に蹴りだして試合を止めて対処できるようにします。 そして対処が済めば、選手はスローインを相手チームのボールになるよう投 げ入れます。 【フェアプレーとは何か?】 @ ルールの実際を正確に理解すること。 A ルールの精神を理解し、実践すること:安全・公平・喜び B レフェリーに敬意を払うこと。 C 相手に敬意を払うこと。 ◎ すなわち、サッカーの価値を高めることである。
1999年度競技規則の改正について
T 競技規則の改正
1. 競技規則に関する注解第5項の「交代の数」を「交代」と改める。
理由:この新しい表現によってU−16、女子、及び年長者(35歳以上)の
カテゴリーに限り、またその国の協会が認めた場合に限って「自由な交代」を
行う事が出来るようになった。
◎ 「自由な交代」とは、交代して退いた競技者がまた交代要員となって出場出来
ることをいう。
2. 第5条 主審 権限と任務の第3項を以下のように改める。
使用する全てのボールが第2条の要件に適合していることを確かめる。
理由:現在主要な大会でマルチボールシステムが採用されていることによって、
ボールについては単数から複数へ用語を変更したものである。
3. 第12条 反則と不正行為
国際評議会の決定に新しく決定6を加える。
決定6フィールド上のどこであっても、主審を欺くことを意図して反則されたよ
うに装う行為は、すべて反スポーツ的行為として罰せられる。
理由:主審を欺いて自分のチームに有利な判定を得ようとする行為が、ますま
す多くの競技者によって試みられていることが問題となっている。こう
した傾向は抑止しなければならず、主審を欺こうとした競技者は罰せら
れなければならない。
4. 第4の審判員
第6項の最後の部分を改める。
・第4の審判員は、交代要員の用具をフィールドに入場する前に点検する権限
を持つ。用具が競技規則に適合していない場合は、主審に伝える。
第6項第7項の間に、新しく次の第7項をいれる。
・テクニカルエリアに入っている者が責任ある行動をとらなかった場合は、主審
に伝える。
国際評議会の要望を受けて、各国協会が主催するトップレベルの競技会には第4の
審判員を指名することを強く勧告する。
U 国際評議会において採択されたその他の決定
1. 主審2名制
2. 反則と不正行為
国際評議会は、1998年3月6日の総会で採択された下記の決定について、関係者
に再度注意を促したい。
相手の安全に危険を及ぼすような後方からのタックルは、
著しく不正なプレーとして罰せられる
国際評議会は、多くの後方からのタックルが主審によってこの決定の指示通りには罰せられてい
ないと認識している。それゆえ主審モニターするための指示が出される予定であり、この決定を
適用しなかった主審は処罰されることになるであろう。
競技規則の改正は1999年7月1日から効力を生ずる。