月波通信


Vol.6 NEPALトレッキングツアー2000<後編>

11/27
4時半起床。まだ外は真っ暗だが、テント場の前を、人々がプーンヒルめざして続々と登ってゆく。寒い。
登りは約1時間。石段が多く、けっこうきつい。
プーンヒル、3192M。日本で2番目に高い山と同じ標高なのに、ここでは、「丘」。
山頂は、ご来光を待つ、いろいろな国の人でいっぱいだった。
村の犬も、みんなと一緒に登ってきた。毎朝、登っているんだろうか。
かすんでいた雲が、ゆっくり動くと、いきなり目の前に山が現われた。
アンアプルナ連峰である。映画さながらで、圧倒される。すごい。

そして、日の出。どんどん明るくなってゆく。

光に雲が押しやられて、山々はその姿をますますはっきりと現し、陰影がくっきりきざまれていく。


マチャプチャレ(6993M)

テントに戻り、8時朝食、そして出発。
これまではゆっくり登って来たが、これからは下山となる。ペースも早い。どんどん下ってゆく。
石段も終わり、なだらかになったところで、足をくじいてしまった…いてて。油断したか。
連日歩いているので、さすがに疲れがたまってきたようだ。
幸いたいしたことはなく、湿布を貼って、10分ほど休んだら、どうにか痛みも取れたので、
そのあとは、自分のペースで一歩一歩踏み締めて歩く。
私の場合、下りの方が、足に体重がかかる分疲れやすく、苦手。
樹林帯。うっそうとして苔むす中を川が流れていて、庭園のよう。


朝食 景色は最高

密林の中を川が流れる

午後はこまかい石段が続く。すべりそうで緊張する。筋肉痛は最高潮に達する。
高度が下がるにつれて、樹林帯から、段々畑の景色に戻っていく。
ヒレ村着。

とうとうトレッキング最後の夜。
今までは、遠慮してほとんど一緒に食事をする事のなかったガイドさんも、食事を供にする。
食後に、ケーキが!(これも、お鍋で作ったかと思うとスゴイ)
上には、日本語で「またあいます」と書かれていた。ああ。
切り分けて、ポーターさん達とみんなで食べる。なごりおしい夜。


ヒレに到着

ヒレからの景色 
山の斜面にぽつぽつと明かりがともる

11/28
途中の小さな村で、トイレを借りる事に。
ちなみに、ネパールの山のトイレ事情はというと…。
もちろん水洗ではありませんが、用を足したあとは、手桶で水をすくって、小さな穴に流すしくみ。手動水洗。
紙等は、流さず近くのくずかごへ。なので、臭くもなく、日本の山よりもきれいです。

で、この村のトイレは、裏手にあるというので行ってみると…、
その手前で3匹の山羊が、それぞれ小山羊を生んだばかりのところに遭遇!!(同じ日に交尾させたのでしょう)
興奮してみんなを呼び、じっくり眺めた。
一匹はもう立ち上がって母山羊のお乳を飲み、一匹は一生懸命立ち上がろうとしていて、
一匹はまだ座り込んでいて、親がからだをなめていた。
牛小屋から牛が顔を出して覗きこみ、にわとりは、小山羊についてる羊膜をねらって、まわりをうろうろ。


産まれたての小山羊

トレッキングももう終わる

ニワトリ屋 村々へ

あと40分くらいというところで、突然雨が降り出し、あわててカッパを着る。
今回の旅行で、初めての雨。しかも、なだらかな道にさしかかっていたので、ラッキーだった。30分ほどでやむ。
もう道路に近い茶店でランチ。コックさん最後の手料理である。毎回毎回、本当においしかった。
そして、車でポカラに戻る。
ここでとうとう、お世話になった皆さんと、おわかれ。
皆さんのおかげで、本当に楽しく快適な山旅になりました。どうもありがとうございました。

***

補足
私達は、日本の山専門旅行会社で手配してもらって行ったので、あっと驚くぜいたく旅行でしたが、
山の途中の村々にはロッジや茶店があるので、現地でガイド兼荷物持ち(ポーター)の人をやとえば、
ずっと安く行けると思います。(実際、そういう人の方が多かった)
ただし、問題のある人(荷物だけ持って逃げちゃうとか)にあたる場合もあるらしいので、充分注意は必要です。


●ポカラ●

ポカラは、湖とアンナプルナ連峰の眺めがすばらしい、のんびりとした街。
ネパールでは、カトマンズに次ぐ第2の都市だというのに、とてものどかでおちつける。
どこか懐かしい感じさえします。

まず、ホテルへ。おお、低層の建物が敷地内に並ぶ、リゾートホテルであった。窓からアンナプルナが見える。
早速、久々のシャワーを浴びる。うーん、さっぱり!
(山では、もちろんお風呂などはいれないのだけれど、さっぱりした気候なので、それほど気にならない。)
そのあと、街へ。のら牛がそのへんをうろうろしている。湖沿いにおみやげ屋さんが並ぶ。
和紙や麻でできたものや民芸品など、安くてかわいいものもいっぱいあり、
一軒一軒のぞいていくと、ちっとも進まない(笑)。


ペワ湖

ネパールの子供達

11/29
私は今日も筋肉痛。
朝、ホテルの屋上から日の出とヒマラヤの山々を見る。
元気な藤井&辻ペアは、湖のボートの上で日の出を見たそうだ。朝食後も、早速出かけて行った。
私達は、ゆっくり洗濯をしたりして、10時頃でかける。またしても買い物。やっぱり先へ進まない(笑)。

12時に待ち合わせて、4人で、湖のほとりのレストランへ。
風に吹かれながら、ビールを飲み、ランチを食べる。幸せ。
午後、タクシーで、近くの村、オールドバザールへ。
ここは、古いレンガ作りの街並が残っていて、また違った国へ来たよう。
道路沿いに歩くが、ここも排気ガスがひどく、マスクとサングラスをして、怪しい集団と化す。

夜、レストランからの帰り道、かなり明るい光が、目の前にすーっと落ちていった。
「あーっ!!」同時に叫ぶ、私と藤井さん。流れ星だ!
「今の見た?長かったねえ!」「飛行機かと思った」「僕は、ロケット花火かと思ったよ」
それほど、くっきりしていたのだ。びっくり。あとのふたりは、残念ながら、気がつかなかったよう。


11/30
午前中、ペワ湖のほとりでぼーっとする。ホリーは疲れたのか、気持ち悪そう。風邪ひいたのかも。

お昼発のプロペラ機で、カトマンズへ戻る。今度は満席だった。
いったんホテルへ行ったあと、ランチへ。ホテルから歩いて約15分、タメル地区の、Northfield Cafe。
路地をはいったところにあるガーデンカフェ。緑がいっぱいで、気持ちよい。
ホリーが本格的に具合が悪くなってきたので、2人でホテルに戻る。

そのあと、ホリーはホテルで休み、私はランチしたカフェにもう一度、今度はひとりで行く。
このカフェがあまりにも気に入ったので、好きな席でのんびりしたかったのだ。
この旅行で唯一の、自分だけの時間。
まん中の、一段高くなったスペースにある席にすわり、Chocolate Melt(アイスチョコレート)をたのむ。
ウエイターさんが、私が日本人と知り、「コレハ チョコメル デス」と言いながら、持ってきてくれた(笑)。
午後の日ざし。音楽、鳥のさえずり、人々の話し声、遠くに聞こえるクラクション。すべてがBGMだった。
今、遠い異国の空の下に、ひとりでいるんだなあ…。
そして、旅もそろそろ終わろうとしている。


Northfield Cafe(Thamel)

Chocolate Melt

ホリーの具合は相変わらず悪く、夕食は3人で行ってこいと言う。
気の毒なホリーをホテルに残し、ネパール料理店へ。ネパール最後の夜だというのに。
ところで、ネパール料理は辛いものも多く、辛いのが苦手な私はちょっとツラかった。
Momoという餃子がおいしい。

12/1
ホリーの具合は、だいぶ良くなっていた。良かった。
出発までのあいだに、大量に残ったルピーを使うべく、ホテルのまわりで買い物。
スモーキークオーツ(水晶)などを買った。

お昼、飛行場へ。バンコク経由で、翌12/2、帰国。
お疲れ様!
そして、旅にかかわってくれた皆さん、ダンニャバード!!


photo & text by Nami Kawai
(2001.9.25)


ネパール編を、ようやく発行することができました。あれからもう9ヶ月もたってしまったのですね。
長くなりそうで、なかなか手を付けられなかったのだけれど、予想以上に長くなってしまった…。
でも、久しぶりに、ネパールの気分を思い出すことができました。
ネパールは、人も気候も風景も良いところでした。
車が古いので、空気は悪いけれど、それもまたネパール。
その分、山の方へちょっと
足をのばせば、おいしい空気と景色がいっぱいあります。
でも、その後、王室で不幸な事件がありましたが、今はどういう状態なのでしょうか…。
また、安心して旅行できるようになったら、今度はポカラにゆっくり滞在して、
ぶらぶら散歩三昧したいと思っています。

最後に、計画をたててくれたホリーちゃん、いろいろお世話になった藤井さん&辻ちゃん、
旅行を手配して下さったアトラストレック様(03-3341-0030)、どうもありがとうございました!!


 

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なんと、辻ちゃんが、この旅行での経験をもとにした、
イラストエッセイの本を出版しました!
「ヒマラヤ旅の玉手箱」辻和子著/双葉社


2002.9

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