コンベア F-102A デルタダガー     1/24

作 武田 明夫   登場 2022年11月


コンベア F-102A デルタダガー とはどんな機体ですか?
アメリカ、コンベア社が開発した超音速迎撃戦闘機です。1954年にプロトタイプのYF-102が初飛行しました。しかし水平飛行で音速を超えられず目標の性能は達成できませんでした。コンベア社は直ちにエリアルールに基ずく設計変更を行いYF-102Aを送り出しました。変更後の機体はあっさりと音速を超えて要求仕様をクリアしてみせました。このエリアルールの説明によく使われるのが正面上から撮った、胴体のくびれがよく分かる写真です。私もモデルで再現してみました。


(合成写真)

作ろうと思った動機や、特にこだわって作ったところをお聞かせください。
私は子供のころ福岡に住んでいましたので時々板付に飛行機を見に行きました。板付の滑走路の南の端に簡単な屋根の付いた駐機場があって、F-102Aがそこに入っていました。私が見に行った時はいつもひっそりとした感じでエンジンが掛かったりそこから発進していく姿は一度も見たことがありませんでした。それでも市内ではF-102Aが飛ぶ姿は割と頻繁に見ることが出来ました。遠くの空に機影を発見してもF-102Aは簡単に見わけることが出来ました。だんだん近づいてきて上空を通過、遠ざかる向きになった時、今まで見えなかった垂直尾翼の上の方に付いている小さなフィンが、はっきりと面積をもって見えて、まるで小さな水平尾翼のように見えてしまい可笑しかったのを覚えています。三軍記念日の時に尾翼の十字軍のマークを近くで見ることが出来ました。子供心に勇ましく見えて好きでした。そして機体に近づき、開いた主輪カバーのあたりに立って上を見上げた時の驚きは今でも忘れられません。びっしりと配置された機器や配線、配管の光景。その時の感動が今でも模型を作っている動機になったと思います。あの板付のF-102Aをいつか再現したいと思っていました。

(合成写真)


良く出来たところ、逆に出来栄えに不満なところはありますか?
今回は胴体をFRPで作りました。FRPを扱うのは初めてです。発泡スチロールで胴体を削り出し表面にアルミホイルを貼って雄型にしました。その際、樹脂厚を3mmと見積もってその分細く作りました。ガラス繊維のシートを貼って上から樹脂をペタペタと塗りました。この工程を2回繰り返して終了です。左右の胴体を合わせてみると変形が激しく正確な形になりません。結局、胴枠を数か所入れて断面形状を矯正しました。可動部は脚の引き込み、キャノピーの開閉、エアブレーキの開閉などですが、可動部は壊れやすいので動かなくなったときに完成後でも容易にメンテが出来るようにしたかったのです。例えばキャノピーの開閉機構はキャノピーを引き抜き、座席後ろの部分を外せば(壊す必要あり)開閉機構を固定しているネジにアクセスできると、あまり容易ではなくなってしまいました。

       


その他、感想やエピソードなどがありましたらお聞かせください。
今回は塗装仕上げということで、スジ彫りや塗装は苦手なので何かうまい方法はないかと思っていました。またF-102Aはどちらかといえば表面がのっぺりしていて、1/24のモデルでは間が持たないのではと思いました。そこで全面にデカールを貼ってリベットの表現をすることにしました。今回作成した図面にはリベットラインが既に描き込んでありましたが単なる点線でした。1/24ではリベットは〇にしなければなりません。実機のディテール写真を見ながらリベットの直径やピッチを決め、写真をあれこれ参照しながら図面にリベットを配置していきました。この作業は結構厳しく1.5ヵ月ほど掛かってしまいました。塗装の機体なので実機写真ではリベットはほとんど見えず、模型とは言え黒々とリベットを入れるのはおかしいと思い、リベットのコントラストを弱めることにしました。あまり薄くすると〇が欠けてしまうので試作をして濃度を決めました。


(合成写真)



○モデルデータ
機体名:コンベア F-102A デルタダガー
縮尺: 1/24 
材料: 胴体:FRP、主翼:航空ベニア、垂直尾翼:朴、その他、金属、プラスチック
製作期間:2022年11月完成(製作期間:約2.5年)

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