ハイジランド?
私はスイスにいったことがありません。
でも、ハイジが好きで、わざわざスイスに旅行した人の紀行文でも、現地が実際にどんな「ところ」かなかなかピンときません。
そこで、神田の三省堂でスイスの地図を手に入れていました。
スイス政府発行の1/25000の
グラウビュンデン州「SCHESAPLANA」と「SARGANS」の地域の地図です。
1キロ四方が4センチ四方になり、大きな家や大木なら示されている、かなり詳細な地図です。
前者の地図には
「ホフ Hof(ペーターの家)」
「ハイジヒュッテ Heidihu:tte
=オクセンブルグ Ochsenberg (おじいさんの山小屋)」
「ファルクニス Falknis(夕焼けをあびて輝く高い山・鷹ガ峰)」
が記載され、後者の地図には
「マイエンフェルト Maienfeld」
「バート・ラガーツ BadRagaz(温泉)」
そして鉄道とライン川Rheinが載っています。
ハイジの舞台となったマイエンフェルト周辺はいわゆる「田舎」に相当するらしくて二枚の地図のどちらもすみっこにあり、つなげないと全体の地形が把握できません。人口約1500人ですから,この物語の舞台でもなければ誰も注目しないのでしょう。
原作者のスピリはこの地域をおとずれ、「ホテル・ハイジホフHeidihof(当時はアンナホフといったらしい)」にも泊まったそうです。
また高畑ハイジ(アニメ)は、製作前に現地ロケを行って舞台設計をしたのでも有名ですから、現地の様子はやはり詳細に抑えておきたいです。
さて、二枚の地図をつなげて読んでみましょう。
他愛ない作業ですが、少しは実感がつかめるかもしれません。
原作ではマイエンフェルトから物語は始まりますが、高畑ハイジではスピリが文中で軽くふれているように、ハイジが預けられていたラガーツから始まります。
デーテおばさんにつれられ、トマッシュおじさんの荷車にのってマイエンフェルトまでいきますが、この距離は直線なら約2キロでしょうか、途中わたる川は、実はライン川でした。
大河ですが上流部なので、貧弱にみえます。ラインのはるか下流(支流のマイン川Mainですが)にはクララのいるフランクフルト・アム・マインFrankfurt
am Mainがあります。
(フランクフルトって街はドイツに二つあるのね。こんなことも知らなかったよ)
ハイジがわたったのはラガーツの東端から北東にマイエンフェルトへ向かう道でしょうが、ラガーツの北側に出来た新しい大きな道路で川をわたったところには「Heidiland」の表記があります。どんな施設でしょうか?
(追記 どうやら高速道路のPAで売店などがありそうです)
そしてペーターの家までは、マイエンフェルト中心部からは直線で約1.5キロ程度で、さらにおじいさんの小屋までは1キロ程度でしょう。子供の足でも歩けそうに思えます。
面白いことにデルフリ村という地名はなさそうです。
デルフリDo:rfliとは「小さな集落」を意味していて特定の固有名詞ではないそうです。
ですからマイエンフェルト周辺の小集落のウンターロッフェルUnterRofelsがデルフリとされています。
観光用のハイジの冬の家はここから200メートル北のオーバーロッフェルOb.Rofelsにあり、さらにペーターの家までは北北東約700メートルです。
標高はラガーツもマイエンフェルトも500メートル、ロッフェルは617メートル、ハイジホフは680メートル、ペーターの家は843メートル、おじいさんの小屋は1110メートルです。
もちろん物語自体はフィクションですから、スピリがどこにおじいさんの小屋を想定したかは実はよくわかりませんが、緯度も考えるとこの標高では高原として大したことはなく、あまり寒くはならないように思えます。
ちなみにこの近辺でもっとも高い山・ファルクニスは標高2560メートルです。思ったより低い山で山頂はおじいさんの小屋から直線で北北北東約3キロのところにあります。
原作に登場しませんが、高畑ハイジで印象深い山の上の湖は、ファルクニスの東南500メートル標高2030メートルのオベルスト湖OberstSeeのようです。
ただしアニメでは崖を登ってすぐにありましたが、地図では峠のようになっていて、崖を登ってさらに距離で一キロ弱、標高で500メートルも下らないと湖のほとりまでいけません。
登って降りて登って降りて、これは疲れそうだ。不自然なので自由創作に近いのでしょう。
もっとも重要な「風の旗」のケルンのある「山の牧場」もどこなのかわかりませんでした。
原作では山の牧場は崖のふもとになっているように読めますので、創作の可能性があります。だれのかって?画面設定をした宮崎駿さんでしょうか?。
これは現地へ行って、徹底的に歩き回ってみる必要があるかも・・?
山の牧場はおじいさんの小屋から直線で北北東約2キロ、標高1600メートル付近の斜面といまのところは推測しておきましょう。
でもきっと夕焼けはきれいでしょう。(現地を熟知している方おりましたらコメントください)
(追記 ついに、現地旅行をされて大変くわしく美しいご報告をされた方がおられます。
こちらをどうぞ
チョナン様作成・めいさく一人旅 http://www.geocities.jp/shijiemingzuo/top.htm
山の湖についてはこちらです。http://www.geocities.jp/shijiemingzuo/swiss04.htm
これでほぼすべての疑問が解決です (^0^)/ 2005/10/5)
ちなみにファルクニスの北の向こう側は、世界最小の国リヒテンシュタインになります。逃げたヤギのアトリを追って、もうちょっとで国境をこえてしまいそう。
この最小の国がどこにあるか、前に聞かれて答えられなかったことがありましたが、ハイジのおかげでもう大丈夫です。
デルフリ(ウンターロッフェル)から東南約1.2キロの標高630メートルに、イエニンスJeninsの村があります。
この村にはスピリの友達がいて、スピリが滞在したことがあります。
デルフリとイエニンスを結ぶ道はシュピーリの小道と呼ばれて、ここを歩きながらスピリはハイジの構想を考えたといいます。
それから1952年にスピリ没後50年を記念して作られた有名なハイジの泉Heidibrunnenは、地図上の表記はありません。他の地図で照合するとマイエンフェルトの中心部から北北西約1.5キロの場所で、地図に「591」と標高が書かれている地点になります。他のゆかりの場所とはまるで方向違いですね。
以上の場所は、規制されていて車ですべてをまわれないそうです。もちろん車では雰囲気を壊しそうですから、できればピクニック気分で歩いて見てまわるのが一番幸せになれるでしょう。
でも、ハイジの泉は一つだけ離れていますから、ここを見てからあちこち行こうとすると、大分遠回りになるようです。
いまのところ地図からわかるのはこの程度。あとは、実際に行ってみるべきでしょう。もうちょっと勉強してみます。
地図です。
解像度を落しています。
また残念ながら牧場もファルクニスも湖も、範囲が広くなりすぎるので割愛しました。
ラガーツからハイジがライン川を渡ったと思える橋もカットされてます。
(フィクションなのにね・・)
なお、龍野氏のホームページにはすばらしい写文紹介があります。是非ごらんください。 |