RCA & RCA Victor Recordings - 2

<Table of Contents>

・Dvorak:Symphony no.7 & 8
・Schubert:"Unfinished" Symphony, Mozart:"Jupiter" Symphony
・The Bringer of War, Holst : The Planets 
・Favorites Vienna Walztes and Polkas
・R.Strauss : Ein Heldenleben
・Rachmaninoff : Symphony no.2(Complete Version)
・a very beautiful played version of "A Midsummer Night's Dream."
・The warm, rich wagner sound of the Philadelphia Orchestra is hard to resist.
  Ormandy gives unaffected,straight forward performances. - The New Records.
・爽快な ormandy/philadelphia の Bruckner no.7
・ormandy 円熟の境地、ツアラツストラかく語りき


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Dvorak:Symphony no.7 & 8
  日BMGファンハウス/RCA BVCC-38118 (2001)
    Originally released as 米RCA ARL1-3555(no.7, 1980), 米RCA ARL1-4264(no.8, 1982)
  
  Eugene Ormandy and The Philadelphia Orchestra(recorded 1976 & 1977)

  今年最初の3連休も今日で終わりですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?さて、なんとなくドヴォルザークの8番交響曲を聴きたくなったので、このRCA盤を。立派ながら堅苦しい7番と、親しみやすく魅力的なメロディーに溢れている8番が実に好対照のカップリング。
  7番は「う〜ん、なかなか」という部分もちらほらあり、3楽章など彼らしいメロディーが顔を出すのですが、どうにもこうにも取っつきにくく、ドヴォルザークは渋面で作曲していたのでは・・・と思ってしまいます。ormandy/philadelphia の豊かなサウンドの衣がなければ、正直聴き通すのがつらいです。(別に7番が悪い曲と言っているわけではないのですが・・・)
  8番は個人的に好きな曲ということもあるのですが、この ormandy/philadelphia 盤には脱帽です。3楽章など楽しさの極みで、メランコリックな導入部から Dvok と ormandy/philadelphia の魅力全開です。私は Karajan/Wienner Philharmoniker の 英DECCA 録音(1961) で初めてこの曲を聴きましたが、これも荒削りながら実に溌剌とした演奏でした。
  ちなみに、このCDにはこの7番の録音について、興味深い裏話が記載されており、ファンの興味をそそります。(2003.1.13)



Schubert:"Unfinished" Symphony, Mozart:"Jupiter" Symphony
  米RCA LSC-3056 (C)1969 (LP), Also Available on CD 日BMG Funhouse BVCC-38282 (C)2003
    Schubert:Symphony no.8 "Unfinished", Mozart:Symphony no.41"Jupiter"
  
  Eugene Ormandy and The Philadelphia Orchestra(recorded 1968 at Academy of Music, Philadelphia)

  新年明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
さて、新年早々ならば「ウィンナ・ワルツ」を・・・と思ったのですが、昨年 RCA とColumbia のステレオ録音を取り上げたので別のものにします。オーマンディ掲示板にてちょっと話題に上がったモーツアルトの「ジュピター」を。
  「ジュピター」はこれが、ormandy/philadelphia 唯一の録音です。カップリングの「未完成」は 1956年の Columbia 録音から2度目になります。変わった組み合わせのレコードですが、いずれもRCA 復帰直後の録音で、収録場所は Academy of Music 、producer は John Pfeiffer が担当しています。評論家からはその録音について散々の評価(最新の機材を使用し、何故20年前のような音で収録されたのか・・・)を下されたそうです。確かに、デッドで潤いに欠ける録音であり、恐らく録音時(あるいはレコード製造過程?)に混入したと思われる妙なノイズがちらほらと顔を出します。(このLP自体は未開封のもので、経年劣化を考えてもちょっと首をかしげるノイズがあります・・・)  しかしそれでも、ormandy/philadelphia の豊かな音を感じとることは出来ます。「未完成」の最初の方のクラリネットは録音に助長されたのかかなり硬質で金管も荒れ気味な音ですが、弦の豊かさはやはりこのコンビの特徴として現れてきます。演奏はかなりドライで、ほの暗い情感を求める向きにもの足りないかもしれませんが、実にさっそうとした曲の運び方でうじうじした感じはありません。「ジュピター」は現代オーケストラによる堂々とした演奏です。最近の流行とは相容れないでしょうが、最終楽章の弦のリレーなどは流石といいたいところで、これで録音が良ければ・・・・と悔やまれます。最新の技術でリマスタリングしてもらいたいですね。残念ながら、未CD化の音源です。(2003.1.6)
※「Ormandy/Philadelphiaの芸術第3弾」でCD化されました。日BMG Funhouse BVCC-38282 (C)2003 (2003.12.17)


The Bringer of War, Holst : The Planets 
 日BMG Japan/RCA BVCC-38060 (P)1999
   G.Holst : The Planets (1975)
   R. Vaugan-Williams : Fantasia on a Theme by Thomas Tallis(1970), Fantasia on "Greensleeves"(1972)
 日BMG Victor/RCA BVCC-8855-56 (P)1995
   Bartok : Concerto for orchestra, Saint-Saens : "Organ" Symphony
 米BMG Music/RCA Victor 09026-61270-2 Dolby Surround Sound(CD)
       
 Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

  個人的な話で恐縮ですが、私が一番最初に耳にした「惑星」はオーケストラ演奏では無く、富田勲氏によるシンセサイザー版の「惑星」でした。曲が始まる前にどこぞかの生命体による交信(らしきもの)があり、ロケット発射(と思われる)の轟音が消えた後に「火星」が始まるのです。奇しくも、ormandy/philadelphia と同じRCAで、1976年とかなり近い時期に制作されています。

  初めて聴いたオーケストラ演奏は、Bernstein/New York Philharmonic のQuadraphonic(SQ 4 channel, CBS/Sony)盤です。このレコードはよく聴きました。その次は、CDが出始めた頃に購入した、Rattle/Philharmonia(Angel/EMI)盤です。このCDはまだ手元にありますが、CDがまだ珍しかった当時ですから大切に扱いました。ちょっとの傷でもヒヤヒヤしたものです。ラトルもまだメジャーレーベルでのデビューを果たした直後であり、現在のBPOの音楽監督就任の話など当時からは想像も出来ませんでした。衝撃を受けたのは、Dutoit/Montreal(英Decca)盤でした。演奏・録音も優秀で、録音会場の聖ヨースタッシュのオルガンの音も見事の一言。ormandy/philadelphia盤を聴くまではこれが私のベスト盤でした。(今でも好きな演奏です)その他、Karajan/BPO(Decca,DGG), Levine/CSO(DGG),Maazel/フランス国立管(CBS/Sony)など色々聴きましたが・・・。

  ようやく ormandy/philadelphia盤 の登場ですが、これを初めて聴いた時の衝撃は Dutoit/Montreal盤 以上のものがありました。冒頭から、他のオーケストラ演奏とは格が違う・・・バランスは常に最上に保たれつつも凄い迫力で迫ってくる。さすがに25年以上前にアナログ録音ですから、最新のディジタル録音であれば・・・と思う部分もあるのですが、これだけ見事な演奏は他では聴けません。メロディックなティンパニは一聴の価値があります。(というか、全編聞きどころだらけなのですが・・・)
  不思議なことに、この ormandy/philadelphia盤 には3種類のリマスタリング盤があるようです。LP(日本初出時のLP(RCA/RVC RVC-2057))や中央の2枚組CDの音はかなりハイ上がりで残響も多めに聞こえます。100周年記念盤(左側のCD)はそれに較べるとハイ上がりの傾向が抑制され残響も少なめの音作りになっています。また、米RCA Victorからは Dolby Surround Sound の加工を行ったCDが発売されており、この盤の音は100周年記念のCDの音に近いのですが、それに多少低音を補強し残響をわずかにプラスしたような感じの音で、個人的にはこのCDの音を一番好ましく感じました。(なお、ドルビー・サラウンドで再生できる環境は無いので、普通の2チャンネンルステレオ再生で聴きました。)

 まあ、音の良し悪しは人それぞれですし、再生状況により大きく変わりますので、違う判断をされる人がいることも当然有り得ますので、あくまでこれは私個人の嗜好による判断とお考えください。ヘッドホンで聴くことが多いので、余計にLPや初期CDの音が耳につくかもしれません。広い部屋で大型のシステムで聴くのならそちらの方が良いかもしれませんしね。

  さて、100周年記念盤(左側のCD)のカップリング曲、ヴォーン=ウィリアムズの「タリスの主題による幻想曲」と「グリーンスリーブスによる幻想曲」ですが、ormandy/philadelphia sound というものが途方もなく豊かな「弦の音」であるということを再認識させてくれます。彼らの音は、一部評論家の言うような「すべての声部が平等に鳴る」という見当違いな評価に甘んじるものではありません。「タリスの主題による幻想曲」では、まるで音が大波のように寄せては引いて・・・といったとてつもない量感で迫ってきます。
  なお、この録音は会場の暗騒音(恐らく建物外の車の音)が結構大きな音で入っています。ヘッドフォンで聴くとはっきり分かります。ローカット・フィルターをあまり効かせなかったと思われますが、その分会場の雰囲気もよく録れています。

 ちなみに、「惑星」の日本初出のLPは米国LPとはデザインが違います。ジャケット裏は東京文化会館での来日公演の写真です。


日本初出時のLP(RCA/RVC RVC-2057)


ジャケット裏写真

写真のところに、"11.27.76"と書かれていますが、このLPを所有されていた方は実演を聴かれたのでしょうか?であれば羨ましい限りです。(2002.11.24、2007.10.23追記修正)


Favorites Vienna Walztes and Polkas
  日BMG Funhouse/RCA BVCC-38115 (C)2001
   Favorite Vienna Waltzes and Polkas of J.Strauss II (recorded 1970-1972)
    An der schnen blauen Donau, Wiener Blut, Kaiserwalzer, Morgenbltter, Knstlerleben
    G'schichten aus dem Wienerwald, Frhlingsstimmen, Annen Polka, Rosen aus dem Sden
    Donner und Blitz, Auf der Jagd
  

  ormandy はヴァイオリニストの神童時代(10歳頃)に、当時ハンガリーを支配していたハプスブルグ家の皇族(泣く児も黙るオーストリア=ハンガリー帝国ですね)の面前で演奏したことがあるそうです。ハンガリー(ブダペスト)の音楽環境が「・・・日々の暮らしの中で音楽が重要な部分を占めている。各国の民謡、民族の血の中にまで染み込んでいるジプシー音楽、自国・他国の名曲。そして全ての要素を取り込み、他の要素も味付けした軽音楽。そんな環境だからこそ、現在でも人口1千万人足らずというこの国で、これほど多くの音楽家が生まれ、これ程優れた音楽が生まれたのだ。・・・(ショルティ自伝、草思社)」という恵まれた状況ですから、1899年に生まれてから渡米する1921年までこれら音楽環境(ブダペスト王立音楽院も含めて)に囲まれていた Ormandy にとって、シュトラウスの音楽は生活の一部のようなものだったでしょう。
  ormandy/philadelphia の J.Strauss なんて・・・と食わず嫌いの方も物は試しにどうぞ。目から鱗が落ちるかもしれませんよ。(2002.1.1)


R.Strauss : Ein Heldenleben
  Originally released as 米RCA ARL1-3581, 日RVC/RCA RVC-2336 (P)1980 LP 
  日BMG Funhouse/RCA BVCC-38120 (P)1980,1986 (C)2001 CD (coupled with "Metamorphosen" (1978))
    R.Strauss : Ein Heldenleben (recorded 1978)
    
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

  徹頭徹尾、豊麗な音による「英雄の生涯」の音絵巻。強引でやかましい音とは無縁の最上質の演奏であり、聞き手は最後まで ormandy/philadelphia の語り口のうまさに身を委ねることが出来る。ormandy もこれまでの自身の人生をこの曲に重ね合わせて回想したのか、或いは・・・(2001.11.19)



Rachmaninoff : Symphony no.2(Complete Version)
  米RCA ARL1-1150 (C)1975 LP 
  日BMG Funhouse/RCA BVCC-38057(P)1999 CD (Scriabin:Poem of Ecstasy (1971))
    Rachmaninoff : Symphony no.2 (recorded 1973)
      
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
  (Photo Right:Eugene Ormandy and Sergei Rachmaninoff, late 1930s or early 1940s from BMG Classics Archive)

  「ラフマニノフは巨大な体格をした大人物だった。初めて会って話しかけたとき、私は彼を怖いと思った。それほど迫力があった。彼に見つめられると・・・・彼は、私がそのころ知っていたほぼ誰よりも背が高かったので、見かけによらずとても温かい人なのだと気がつくまでにずいぶん時間がかかったものだ。実際に彼は誤解されやすい人だった。いろいろな出来事があってみて初めて、彼は他人でなく真の友人なのだと気がつくことが出来る類の人物である。・・・」(*1)

  『若い頃の私はシャリアピンを神を崇めていた。彼を思い浮かべて作曲した。彼は偉大なる歌手で大切な親友だった。だが他界した。今、私の耳にはフィラデルフィア管弦楽団の音が響いている。そこで皆さんのお許しがあれば、この変奏曲を、皆さんと友達のユージン・オーマンディに捧げたい。』―オーマンディによる回想(*2)

  「彼(ラフマニノフ)と友人になってからのことだが、ある時、2番交響曲のカットについて相談したところ、『カット、カット、カット、カット、全く、なんて恐ろしいことだ。何で皆カットをやりたがるんだ。まるで”ヴェニスの商人”のシャイロックだ。』と嘆いた。彼に楽譜を見せたところ、1〜2か所の長いカットと、約10か所の短いカットについて『1か所だけ元に戻して、後はいいだろう。』との返事だった。今でも彼が望んだように演奏しているから(彼も)満足だろう・・・」(*2)

  ormandy 唯一の完全版の演奏。この素晴らしい演奏についてのコメントは差し控えたいと思いますが、一点のみ。ormandyの他の演奏ではカットされている3楽章の8分〜9分30秒(CD の時間表示)の部分、Jones の Horn 、Gigliotti の Clarinet、Lancie の Oboe 、Panitz の Flute 、そして弦楽セクションすべてが魅惑的な音色でなんとも言えない感傷的な印象を残していきますが、速いテンポであっさりと通りすぎてしまうので、そのあまりの短さに置いてきぼりをくらう気分になり、私などはこの部分が永遠に続けば良いのに・・・といつも思ってしまうのですが・・・

  第2交響曲は数多の競合盤がひしめいていますが、私のリファレンスはおそらくいつまでもこの盤であり続けるでしょう。(2001.11.18)

(*1:1973年のラフマニノフ生誕100年に際してのオーマンディのラジオ・インタビューより-BVCC-38057解説より抜粋)
(*2:1979年オーマンディ80歳の誕生日に寄せてのインタビューより-Unitelのインタビュー映像より)




a very beautiful played version of "A Midsummer Night's Dream."
  Mendelssohn : Incidential Music to "A Midsummer Night's Dream" (recoeded 1972)
   Originally released as 米RCA Red Seal ARL1-2084 (C)1977 (LP)
  Grieg : Peer Gynt Suite No.1 & No.2 (recorded 1972 & 1974)
   日RVC/RCA Red Seal SX-2774(米RCA Red Seal ARL1-2613) (P)1978 with Sibelius Karelia Overture & Suite (LP) 
    
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
  Judith Blengen(s), Frederica von stade(ms)
  Women's Voices of the Mendelssohn Club of Philadelphia directed by Robert Page

  「真夏の夜の夢」は、早熟の天才 Mendelssohn が若干17歳の1826年に序曲が、そしてその17年後の1843年になってそれ以外の部分の曲が作られている。Mendelssohn は終生、この「真夏の夜の夢」序曲を超える曲を作ることが出来なかったと言われる程この曲は素晴らしい。とはいえ、序曲以外の曲も素晴らしい。特に、ソプラノとメゾソプラノの2重奏と女性コーラスが加わる "You spotted snakes" や "Nocturne"の美しさは幻想的と言っても過言では無いと思う。"You spotted snakes" でソプラノとメゾソプラノが "philomel, with melody, Sing in our sweet la lullaby.." と(CDではドイツ語で)歌う部分はうっとりとしてしまう。ブレンゲンとシュターデの歌も文句なし。この演奏が国内で一部の曲しかCD化されなかったのは非常に残念だ。ただ、この演奏はドイツ語で歌われており歌詞対訳もないので歌の詳細はよく分からない。Klemperer/Philharmonia盤は英語で歌っているし。Shakespeare の戯曲は英語だと思うが、ドイツ人の Mendelssohn はドイツ語訳で作曲したのだろうか?個人的には、ドイツ語の方が雰囲気があって良いと思うが・・・。それにしても入門者向けのシリーズなのだから歌詞ぐらい付けて欲しいと思う。グリーグの「ペール・ギュント」もここでとやかく言う必要のない名演。(2001.11.14)
  なお、後日入手したオリジナルLPの Producer's Note(J.David Saks)には、ormandy と RCA Red Seal が「真夏の夜の夢」の2つの歌曲を英語と独逸語どちらで歌うかを検討した経緯が記載されており興味深い。また、とじ込みとして、 Geroge R. Mark によるエッセイと歌詞(独逸語、英語対訳付き)が付いているのも嬉しい。CD化の際に外されたのは残念。(2003.11.2追記)
※Mendelssohn は「Ormandy/Philadelphiaの芸術第3弾」でCD化されました。日BMG Funhouse BVCC-38285 (C)2003 (2003.12.17)




The warm, rich wagner sound of the Philadelphia Orchestra is hard to resist.
Ormandy gives unaffected,straight forward performances. - The New Record.

米RCA Red Seal LSC-3264 (LP,No Dog Label,(C)1972 )
  Ride of the Valkyuries,Favorite orchestral music from Wagner's "Ring", recorded 1969 & 1971
  also available on 日BMG/Funhouse BVCC-38286 "Ride of the Valkyuries" (released December,2003)
   Die Walkure:Act III (Ride of the Valkyries, Magic Fire Music),Siegfried:Act II (Forest Murmurs)
   Das Rheingold (Invocation of Alberich and Entrance of the Gods into Valhalla)
   Gotterdammerung(Prologue:Dawn and Seigfried's Rhine Journey, ActIII:Siegfried's Funeral Music, ActIII:Immolation Scene)

米RCA Red Seal ARL1-1868(LP, released 1976) "ORMANDY CONDUCTS WAGNER",recorded 1973
  also available on 日BMG/Funhouse BVCC-38114 "ORMANDY CONDUCTS WAGNER" (released April,2001)
   Die Meistersinger von Nurunberg(Prelude to ActI & III,Dance of Apprentices,Procession of the Meistersingers)
   Tannhuser(Overture,Bacchanale und Venusberg)

米RCA Red Seal ARL1-2528 (LP,Sided Dog Label,(C)1977) "ORMANDY CONDUCTS WAGNER Vol.2"
   Der Fliegende Hollnder:Overture(1970)※1,Tristan und Isolde:Prelude und Libestod(1972)※2
   Parsifal:Prelude, Good Friday Spell (1970)※3
  ※1 also available on 日BMG/Funhouse BVCC-38285 "A Midsummer Night's Dream" (released December,2003)
  ※2 also available on 日BMG/Funhouse BVCC-38114 "ORMANDY CONDUCTS WAGNER" (released April,2001)
  ※3 also available on 日BMG/Funhouse BVCC-38283-84 , Mahler "Resurrection" (released December,2003)

・Tannhauser:Festmarsch(1972) - 米RCA Red Seal ARL1-0451"SPECTACULAR MARCHES" (LP, released 1974) 
   also available on 日BMG/Funhouse BVCC-38129 "SPECTACLAR MARCHES" (released April,2001)
・Lohengrin : Vorspiel zum III. Aufzug(1972) - 米RCA Red Seal ARL1-0229(LP, released 1973) 
   "100 Great Melodies the world loves best, Vol.9" (No Picture)
   also available on 日BMG/Funhouse BVCC-38285 "A Midsummer Night's Dream" (released December,2003)

     

 Ormandy/Philadelphia が RCA Red Sealに録音したワーグナー楽曲のステレオ録音について、日本のBMG/Funhouseによる3回のCD化により、ようやくほぼ全ての録音がCD化された・・・ということになるでしょうか。リリース上の都合で5枚に分かれてしまいましたが、これまでCD化されていなかった「パルジファル」や「彷徨えるオランダ人」も2003年末の第3弾でついに復刻されました。アメリカでも復刻されていないこの演奏が日本で復刻されたというのは、日本BMG/Funhouseによる快挙と言えるでしょう。

 1972年にリリースされた「ニーベルンクの指輪」抜粋は、「ラインの黄金」に「アルベリヒの呪文」(Invocation of Alberich)の場面が入っているなど独自の工夫をしており興味深い。最近も「ニーベルンクの指輪」を物語に沿って1時間くらいに抜粋・再構成した独自の「冒険仕立て」風構成での録音や演奏会(エド=デ=ワールト指揮読売日本交響楽団定期だったかな?)もあったりと、長いこのオペラを如何に短くしかつ聴き所のツボを押さえるか・・・ということで当時から現在に至るまで色々と頭を悩ましている人が沢山いる・・・ということかも知れませんが・・・。Ichikawaさんの解説によれば、単一の楽譜ではなく、複数の出版社の楽譜を使用している・・・とのことで、スコアを見ながら聴くのも一興かと。
 まあ楽譜の話はさておき、この「指輪」は暖かく豊かなサウンドでありながらもクライマックスは凄い迫力で迫ってきます。Mason Jones による Seigfried's Horn Call もあの特徴のある切れが良く素晴らしいサウンドで堪能できます。ただ、普通 Horn を目立たせる場面で Cello とブレンドさせる音作りはやはり ormandy ならではのもので、人によってはもっと荒々しさが欲しいと欲求不満になるかもしれませんが・・・。なお、この録音は1969年と1971年の2回収録され、良く1972年に発売されています。最初では全部録れなかったのか、カップリングがうまくいかなかったのか・・・。ちなみにこのレビューのタイトルはアメリカでCD化(米BMG/RCA Victor Basic 32/100 09026-61850-2)された際にCDに記載されていた演奏評です。

 ワーグナー楽曲集の第2弾"ORMANDY CONDUCTS WAGNER"(「ニュルンベルクのマイスタージンガー」「タンホイザー」から)はその4年後の1976年にリリースされています。録音は1973年なのに、3年間寝かされていたことになりまが。第3弾の"ORMANDY CONDUCTS WAGNER Vol.2"(「彷徨えるオランダ人」「トリスタンとイゾルデ」「パルジファル」)は1977年の発売でさらに遅れます。こちらの方が録音は1970-1972年に録音されているにもかかわらず・・・恐らく、録音スケジュール、発売時のカップリング調整が難航したのでしょう。ただ、「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」は"Love Story" (LSC-3210 LP (C)1971, BMG/Funhouse BVCC-37324 「イエスタデイ〜オーケストラが奏でる愛のテーマ」にてCD化)でとっとと発売されています。これだけは「映画音楽集」で使えると判断されたのでしょう。
 演奏はどれも素晴らしいく、「彷徨えるオランダ人」「パルジファル」もCD化を待ち望んだ甲斐がありました。ただ、これも荒々しいサウンドを求める向きには物足りないかもしれませんが・・・・。

 リリースが遅れた"ORMANDY CONDUCTS WAGNER" "ORMANDY CONDUCTS WAGNER Vol.2" と異なり、名曲集の一部として録音された「タンホイザー」の「祝典行進曲」と「ローエングリン」の「第3幕への間奏曲」はとっととリリースされています。おっと、「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」もそうでした。残念なのは、「ローエングリン」の「第1幕への間奏曲」が録音されなかったこと。Columbiaの録音はありますが、やはりこの時期の円熟したマエストロの棒で聴きたかったですねえ。

 Ormandy/Philadelphia のワーグナーステレオ録音のCD化状況についてはこれまでまとめたいと思っていて手をつける暇がありませんでしたが、これでようやく一息つけてほっとしたという感じがします。(2005.7.17)



爽快な ormandy/philadelphia の Bruckner no.7
  日BMG Funhouse/RCA BVCC-38113(2001.4)  (P)1969,1978 BMG Entertainment
    Bruckner : Symphony no.7 (recorded 1968) 
    Brahms : Variations on a Theme by Haydn Op.56a (recorded 1969)
  
 ormandy/philadelphia が Columbia から RCA に移籍して間もない1969年の録音。収録場所は彼らの本拠地である Academy of Music 。このホールは内装の豪華さとともにドライな音響でも知られ、それが演奏にも影響を与えている。その影響もあり、一聴して気が付くのはテンポが速いこと。ブルックナーの一般的なイメージである「長い残響やゆったりしたテンポ」とは異なるユニークなブルックナーが展開される。テンポが速いと言ってもセカセカしたというより淡々と曲が流れていくといった印象。デッドなホールでも充実したサウンド(特に弦)を聴かせるのは、さすがフィラデルフィアというところ。(テンポが速いのはLP1枚で収めるため、との説も有り。当時そうポピュラーでない Bruckner を2枚組みで出すリスクを考えてのことかな?)
 正直、この曲は個人的に苦手で、聴いている途中に寝てしまうことも多いのだが、このオーマンディの演奏では最後まで一気に緊張を緩めることなく聴き通すことが出来き、ようやく曲の真価を理解できたと思う。特に、聞き終えた後の清涼感は他の演奏では得られものだと思う。ブル7はどうも・・・という人は一度お試しあれ。「ハイドンの主題による変奏曲」も佳演。(2001.11.3)



ormandy 円熟の境地、ツアラツストラかく語りき
  R.Strauss : Also Sprach Zarathustra (recorded 1975)
    米RCA ARL1-1220 (C)1975 LP, Also available on CD 日BMG Funhouse BVCC-38287 (C)2003
    米BMG/RCA Victor Silver Seal 60793-2-RV (C)(P)1991 , with "Don Juan","Till Eulenspiegel" (recorded 1974)
    米BMG/RCA Classic Navigator 74321 29250 2 (P)1975 (C)1995 , with "Ein Heldenleben" by E.Leisdolf and BSO (P)1963
      
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

  ormandy の Zarathustra は 1963年のColumbia盤(米Sony Classical Essential Classics SBK47656) と 1979年のEMI盤(米EMI/Angel CDC-7 47636 2) と 1975年のRCA盤のが3種ある。個人的には、ormany のみならず他の指揮者の演奏と比較してもこのRCA盤が一番好きだ。ちなみに、2番目は 1944年の strauss/wiener philharmoniker(独Preiser 90216)、3番目は 1962年の Reiner/CSO(BMG/RCA Victor Living Stereo 09026-68638-2) 。
  冒頭の日の出(Sonnenaufgang)が「2001年宇宙の旅」に使用されたせいか、何故かこの曲には漠然とした「宇宙」のイメージが一般的に付きまとうようになった。この曲のレコードジャケットの写真に宇宙から見た地球の写真等が良く使われるのそのせいだろう。(そんなジャケットばかりではないが・・・)この ormandy/philadelphia の RCA盤 もそんな感じだが、このマスクは一体何なのかよく分からない。strauss でも Nietzche でもなさそうだし・・・ Zarathustra のイメージ?
  「癒えゆく者」(Der Genesende) には、トランペット吹きを緊張させる"C-highC"の音の跳躍があり、Reiner と Herseth が激烈なやり取りをしたエピソードもあるくらいの有名な部分だが、この ormandy 盤 のTrumpet、Johnson か Kaderabek のどちらが演奏しているのか私にはよく分からない。(Ichikawaさんより、退団半年前のGil Johnsonが演奏しているとのご指摘を頂きました。)
  この曲の一番の聴き所は後半の「舞踏歌」(Tanzlied)以降だと思う。ウィンナワルツを後期ロマン派の衣で覆ったような雰囲気が何とも言えない。この部分を納得させてくれる演奏はそう多くない。私が及第点を与えられるのは3番目のReiner盤までだ。
 「舞踏歌」にもトランペットの"C-G-C"の音の跳躍があるが、他の演奏では目立たせることが多いこの部分、この ormandy盤 では実はあまり目立たない、というか意図的に控えめに演奏させているように思える。金管よりも弦を優先させる、如何にも ormandy らしい音作りだと思う。弦セクションは本当に特筆に値する出来だと思う。ただ、Trumpet solo に若干生彩を欠く部分もあり「夜に彷徨う者の歌」(Nachtwandlerlied)の短いソロは殆ど聴こえない。それはともかく、Norman Carol の Violin Solo は見事であり、驚異的なメロディックさでとかく崩れやすいこの曲の要所要所でオーケストラを纏め上げるティンパニもさすが、の名演。(2001.10.25、10.26加筆修正)
  ※Also Sprach Zarathustra は「Ormandy/Philadelphiaの芸術第3弾」でCD化されました。日BMG Funhouse BVCC-38287 (C)2003 (2003.12.17)

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