Columbia Masterworks Recordings - 2

<Table of Contents>

・Ravel : Orchestral Works
・Mendelssohn/Symphony no.4 "Italian",etc
・Carl Orff/Carmina Burana
・Ormandy/Philadelphia のハンガリー舞曲 Columbia Stereo Recordings について
・お買い得な Shostakovich の交響曲第1番と小品集
・R.Strauss : Horn Concerto no.1, Bourgeois Gentilhomme
・Viennese Walztes and Polkas
・Greensleeves
・Highlights from Tchaikovsky's Greatest Ballets
・Mozart : Legendary Interpretations/Eugene Ormandy, Concertos for Wind Instruments


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Ravel : Orchestral Works
 米Sony Classical Essential Classics SBK48163 (P)(C)1992
  Maurice Ravel
   Bolero(1960), Alborada del gracioso(1958), Le Tombeau de Couperin(*1,1958)
   Valses nobles et sentimentales(*2,1963)
  
  John de Lancie(*1,Ob)
  Eugene Ormandy, Charles Munch(*2)/Philadelphia Orchestra

  フランス人をも唸らせた ormandy/philadelphia による Ravel 作品集です。日本では Ravel というと、Cluytens と パリ音楽院管弦楽団の演奏の人気が高いようですが・・・(個人的には彼らの演奏は嫌いではなく、独特の雰囲気を持っており時折ハッとするような美しいソロが飛び出してくるのが魅力なのですが、アンサンブルの質にむらがあり曲の最後でバン!となるべきところがバシャ!っと崩れるようなところがあります。)私も昔はそうでした。ormandy/philadelphia のフランス音楽なんて・・・と思っていましたが、彼らの圧倒的な1959年のダフニス・・・を聞いて以来そのような偏見は吹っ飛んでしまいました。(この演奏は現在入手困難であり、惜しいことです)
  この曲集で一番印象が強いのは「クープランの墓」で、冒頭の de Lancie のソロ から Ravel の典雅な世界に引き込まれてしまいます。ステレオ創世記の録音ですが、彼らの一つの頂点を示している録音と言えるかもしれません。異色なのは、Munch との 「高雅で感傷的な舞曲」で、これは如何にも彼らしい賑やかな演奏になっています。最初のGil Johnsonの目の覚めるようなトランペットの音も印象的。(2002.6.3)



Mendelssohn/Symphony no.4 "Italian",etc
 米Sony Classical Essential Classics Take2 SB2K63251 2CD(P)(C)1997
  Felix Mendelssohn
   Symphony no.4 "Italian" , Incidential Music from a Midsummer Night's Music(rec.1963)
   Octet for Strings(rec.1959), War March of Priests from Athalie(rec.1966)
   Eugene Ormandy/Philadelphia Orchestra(CD1)
  
   Hebrides Overture(rec.1963), Concerto for Violin(Rec.1961), Symphony no.1(rec.1966)
    George Szell,Louis Lane(symphony)/Cleveland Orchestra(CD2)

  Mendelssohn の音楽は、作曲者本人の幸福さが溢れている。食うに困ったり悲惨な状況で生涯を閉じた多くの作曲家(全てそうというわけではないが・・・)とは対照的な人生を送っている。早熟な天才で、「真夏の夜の夢」序曲は若干17歳に書かれた曲でありこれは彼の最高傑作の一つでもある・・・というか、生涯(といっても僅か37年)この作品を越えるものを作れなかったのでは?と思えるほどに完成された音楽でもある。マタイ受難曲を復活させたのも彼だし、音楽史上でもいろいろなんだかんだとやっている。
  こういう幸福さが溢れた音楽は、やはり ormandy/philadelphia で聞くのが良い。イタリア交響曲の冒頭から瑞々しい philadelphia sound に満たされる。「真夏の夜の夢」は残念ながら序曲の他結婚行進曲を含む4曲のみで、出来ればRCAのハイライト盤の方をおすすめしたい。八重奏はメンバーの記載は無い。戦争行進曲はブックレットに曲目解説が無く(Mendelssohn の生涯についての記載しかない)由来はさっぱり分からないが、全然戦争行進曲らしくない祝典ムードに溢れた曲で、これはいい。
  2枚目のCD は、George Szell,Louis Lane/Cleveland Orchestra によるもの。個人的には、全部 ormandy/philadelphia の演奏で揃えて欲しかったが、こちらも引き締まった秀演。廉価であることを考えればどちらのファンも買って損はないお得盤。(2002.5.27)



Carl Orff/Carmina Burana
  米Sony Classical Essential Classics SBK47668 (P)1960(C)1991, Original Released as Columbia MS6163
  Carl Orff : Carmina Burana - Cantiones Profanae
   Weltliche Gesnge fr Soli und Chor mit Begleitung von Instrumenten mit Bildern
   (Produced by John McClure, recorded 1960 at Broadwood Hotel)
  
  Janice Haranyi(s), Rudolf Petrak(t), Harve Presnell(b)
  The Rutgers University Choir directed by F. Austin Walker
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

   Carl Orff の Carmina Burana は無類に面白い音楽だ。カンタータ3部作の中で最も有名でありCDも数多く出ている。Ormandy/Philadelphia の録音は、この Carmina Burana と Catuli Carmina(米Columbia MS7017,which earned a Grammy Award for 1967、横田さんのオーマンディー ディスコグラフィによるとCD化されている)があり、残念ながら "Trionfo di Afrodite" の録音はない。
  オリジナルの  Carmina Burana も最近は多くの演奏が発売されており選択に迷う程である。オーディオ評論家の故長岡鉄男氏は「長岡鉄男のレコード漫談」(音楽之友社)の中で、この Carmina Burana を「落ちこぼれの音楽」として取り上げており、面白い解説をしている。

 『・・・時は中世、階級制度華やかなりし時代(もっともヨーロッパは今でも階級制度が厳として存在し、機能しているが)たいていの人間がどこかの階級に所属していて居心地のいい場所を持っていたから、落ちこぼれは少なかった。それでも階級と階級の隙間から落ちこぼれる人間はいたもので、そういう連中が詩を作り、作曲し、演奏した。それがカルミナ・ブラーナである。
  1803年ミュンヘンのベネディクト・ボイエルンという修道院で発見された古文書がカルミナ・ブラーナのもとである。カルミナは歌の意味、ブラーナはボイエルンのこと。作者は複数だが落ちこぼれだから名前も分からない。曲はネウマというへんてこな楽譜が残っているが、正確な再現演奏はムリ。解釈次第で曲の印象はすっかり変わってしまう。曲は200曲以上あり、番号をつけて整理されているが、全曲のレコードはない。』

  この漫談は15年前に書かれたものなので、現在では全曲のレコード(CD)があるかもしれない。私が所有しているのは、Ren Clemencic Consort の演奏で、LPでは第5集まで発売されていた物をCD3枚組(51曲)にまとめたもの(仏Harmonia Mundi 190336.38 (P)1975,1976,1978, CD1990)で、こちらも面白いので、興味のある方は聴いてみると良いだろう。

  Orff の Carmina Burana は、この膨大な歌曲集から24曲を選びさらに自作の詩を加えて作曲してまとめたものであり、上記の Clemencic Consort のオリジナル(といっても、こちらも Ren Clemencic の創作がかなり入っているが・・・)と聴き比べるとあまりの違いにびっくりする。Orff の Carmina Burana はこれらの詩から霊感を得た彼の創作なのだ。対旋律を殆ど使用しない単純なリズムと和声、そして執拗とも言えるオスティナート(繰り返し)からあの爆発的なエネルギーが生まれているのだから面白い。

  さて、この ormandy/philadelphia の演奏、流石に40年前の録音なので最新の演奏に比べると爆発力には欠けるが、オーケストラの充実した響き(やはり弦の音)は引けを取らない(というか勝っている)と思う。切れの良い Brass は流石。合唱団とソリストはまあなんとか及第点というところだが、philadelphia の力量とのバランスを考えるのであればもっとレベルの高い団体を使って欲しかった。(2002.5.19)



Ormandy/Philadelphia のハンガリー舞曲 Columbia Stereo Recordings について
  米Sony Classical Essential Classics SBK46534(C)1991
    No.17-21(recorded 1957),(Symphony no.1 & Haydn Variations , Szell/Cleveland SO) 
  仏Sony Masterworks L'Essentiel Volume3 / Brahms SMK53099(C)1994
    No.5(recorded 1957) & No.17-21(recorded 1957), etc
  米CBS Masterworks / Classical Jukebox Vol.1 MLK45736(C)1989 (P)1972
    No.5(arr. Harris, recoreded 1967), etc
      
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

  Ormandy/Philadelphia による ブラームスのハンガリー舞曲集が、結局21曲の全曲録音には至らず中途半端なままで終わってしまったのは残念なことです。横田さんのオーマンディー ディスコグラフィに記載されている Ormandy/Philadelphia によるハンガリー舞曲集の録音は下記の通り。

   No.5 [M] 45/06/02 (C)
   No.5 [S] 57/04/13 (C) - CD released*
   No.5(arr.Harris) [S] 67/12/12 (C) - CD released
   No.5 [S] 72/06/12 (R) - CD released*
   No.6 [S] 57/04/13 (C)
   Nos.11-16 [D] 79/04/21 (R) 
   Nos.17-21 [S] 57/04/13 (C) - CD released
   (*林 追記)

結局、録音されたのは Columbia での 5,6,17-21 と RCA での 11-16 のみ。恐らく「ハンガリー舞曲集(全曲)」のアルバムを出すつもりがあったと思われますが、計画が途中で頓挫したのか・・・中途半端な録音として遺されてしまったようです。
  さて、米Sony Classical盤には nos.17-21 の5曲のみ収録されていますが、仏Sony Masterworks 盤にはこの5曲に加え 5番 も加えられています。しかし、どちらの盤も6番は何故か収録されずじまいです。変わっているのは、米CBS Masterworks / Classical Jukebox Vol.1 に収録されている、5番(Harris版)で、弦楽合奏と打楽器のみの編成という変わり種ですが、個人的にはハンガリー民謡の雰囲気が強調されたようなイメージです。これらの録音はマスターテープの保存状態が良くないのか、残念ながら音は少々荒れています。それにしても、RCA にてディジタル収録された Nos.11-16(*) も一度聴いてみたいものですが、これLPでもちゃんと発売されたのでしょうか? (2002.2.21)

*追記
  RCAにてディジタル収録されたNos.11-16について、横田さんと Ichikawaさんより情報を頂きました。当時始まったばかりのDigital Recordingのデモンストレーション盤として、Dallas SymphonyによるStravinsky, Mozart、Levineが指揮したPhiladelphiaのSchumann(いずれも部分)などと一緒にカップリングされ発売されたとのこと。恐らく、全集録音を目的としたものではなく、このデモ盤用の録音ではないか?とIchikawaさんは推測されています。A Century of Music にも記載されていない録音ですから、ありえる話だと思いますが、それにしても中途半端な選曲ですね。(2002.2.25)



お買い得な Shostakovich の交響曲第1番と小品集
  米Sony Classical Essential Classics SBK62642
  
  Shostakovich 
   Symphony no.1 (recorded 1959)
    Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra, prduced by Haward H. Scott
   Festive Overture (recorede 1977)
   Pieces from "Moskow-Cheryomushki" "Ballet Suite no.2" "The Gadfly Suite" "The Age of Gold" (recorded 1965)
    Andre Kostelanets / Columbia SO(Festive Overture) & His Orchestra

  交響曲第1番は ormandy/philadelphia による1959年の優秀な演奏と録音で聴けます。ショスタコービチの交響曲の中でも比較的親しみやすい曲だと思いますが、個人的には・・・もう少し聴き込む必要がありますね。
  楽しいのは、Andre Kostelanets と彼のオーケストラ(臨時編成のオケでしょう)による色々な組曲からのセレクションです。ショスタコービチの魅力の一つは軽妙でスラプスティックな曲にあると思いますが、それらを楽しめる曲をあちこちから寄せ集めています。録音もオケの演奏も優秀で、快速ドタバタ調の曲も安心して楽しめます。祝典序曲は何故か所々カットされたバージョンで演奏されておりオケの出来も録音もいまいちなのが残念。千円足らずの廉価盤ということも考えると安心してお奨め出来ます。(2002.1.29)



R.Strauss : Horn Concerto no.1, Bourgeois Gentilhomme
  米Columbia Masterworks Fabulous Philadelphia Sound Series M32233 (C)(P)1974 (LP)
  R.Strauss : Le Bourgeois Gentilhomme Suite (recorded 1965), Horn Concerto no.1 (recorded 1966)
  Produced by Thomas Frost
  
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra
  Anshel Brusilow(vn), Samuel Mayes(vc), William Smith(p), Mason Jones(hrn)

  Mason Jones と ormandy/philadelphia による R.Strauss のホルン協奏曲第1番です。残念ながら第2番は録音はありません。(個人的には第2番の方が好きなので本当に残念ですが・・・)1番はシュトラウス18歳の作品で、円熟の境地に到達した時代の第2番とは異なりいわば青年時代の曲で、私は聞いていると時折赤面する部分が無きにしもあらずといった気持ちにさせられ、いくら天才といってもやはり「18歳の青年の作品」なのですが、逆にそれこそがこの曲の魅力でしょう。
  Jones と ormandy/philadelphia の演奏はやはり素晴らしい。切れが良く朗々と唄うホルンと ormandy/philadelphia の瑞々しいサウンドによるサポートはこの曲の第1級の演奏だと思います。CD化を期待したい演奏です。(横田さんよりCD化されているとの情報を頂きました。CBS Productions Pty. Limited FLCD9056 1990年(オーストラリア)、Mozartのホルン協奏曲4曲とのカップリング)ちなみに、 Myron Bloom,Szell/Cleveland も1961年にこの曲を録音(日Sony Classical SRCR2555 (C)2000 )していますので、聴き比べてみると面白いと思います。
  一方の「町人貴族」組曲(アルバムとしてはこちらがメインの曲、米Sony Classical SBK62650 にてCD化)は肩肘張らず親しみやすい曲です。9曲からなる組曲で室内管弦楽団程度の編成で演奏されます。所々のソロが聴き所です。
  それにしても、録音後10年経過してから発売とは・・・・ちょっと遅すぎるような気がします。(2002.2.8)



Viennese Walztes and Polkas
  米Sony Classical Essential Classics SBK48164 (P)1961/1962, (C)1992
   Wiener Walzer und Polkas of J.Strauss II (recorded 1959-1966)
    An der schnen blauen Donau, Wiener Blut, Annen Polka, Tritsch-Tratsch-Polka, G'schichten aus dem Wiener
    Neue Pizzicato-Polka, Frhlingsstimmen, Pizzicato-Polka(Johann und Josef Strauss), Unter Donner und Blitz
    Rosen aus dem Sden, Auf der Jagd, Tausend und eine Nacht, Wein,Weib und Gesang
  
  この盤の解説 "The Waltz King and The Fabulous Philadelphian:Johann Strauss and Eugene Ormandy, written by Walter Grtelschmied"(ドイツ語の原題は "Geige Verpflichtet:Johan Strauss und Eugene Ormandy" )はなかなか面白い読み物になっています。ormandy はヴァイオリニストの神童としてデビューし、ヨーロッパツアーで名声を得てブダペスト王立学院にヴァイオリン科の主任教授に就任したわけですが、後に 
  "... It was no doubt with a certain irony that he later described himself as 'only' the third-best violinist
   in the world - after Fritz Kreisler and Jacha Heifetz. ..." 
というわけ(かどうかは知りませんが)で指揮者に転向してしまうくだりとか、
  "  None the less, his(ormandy's) interpretations were not always greeted with universal approval. In a moment of waspish cynicism,
   Igor stravinsky, for example, called him(Ormandy) the ideal conductor for Johann Strauss. From a Viennese perspective, of course,
   it could well be thought that 'Prince Igor' had failed to understand the wit and charm and, hence, the uniqueness of
   Johann Strauss's music, whereas Ormandy had a true instinctive feel for it. Certainly, it was due in no small part
   to him that nineteenth-century sophisticated light music was subjected to a reappraisal and that it is now performed
   to the highest orchestral standards. ...."
など、なかなか面白いことを書いています。あの世で「イゴール公(侯?)」と「ワルツ王」と我らがマエストロは今頃何を話しているやら・・・(ボロディン・コルサコフ両御大も加わっていたりして)
  話があさっての方向に飛んでしまいましたが、シュトラウスの音楽の話に戻りましょうか。この盤、録音は古いですがリマスタリングは良好ですし、なんといっても廉価盤なので 新しいRCA盤と共に ormandy/philadelphia のウィンナワルツなんて・・・ と食わず嫌いの方にお勧めしたいと思います。ウィンナワルツはウィーンフィルでなければ・・・というのも考え方としては分からないでもありませんが、それに固執するというのも考えものだと思いますよ。まあ、これは他の所謂「お国物」にも言えることですが・・・(2002.1.1)


Greensleeves
  米Columbia MS7103(2eyes)
   V.Williams:Fantasia on Greensleeves, Grieg:Two elegic melodies, Schubert:Serenade, MacDowell:To a wild rose
   Londonderry air(traditional), Mascagni:Intermezzo from "Cavalleria Rusticana", Rachmaninoff:Vocalies
   Niels:I wonder as I wander, Massenet:Meditation from "Thais"
  
  Anshel Brusilow(violin solo, Massenet)
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

  弦楽合奏主体の穏やかな曲を集めたアルバムですが、解説がちょっと変わっていて、曲目解説等は一切無く、"Letters from a song publisher" (詩(曲)の出版社から作詞者に宛てた手紙の内容の一部)が紹介されています。
  それはさておき、このアルバムでは philadelphia orchestra の素晴らしい弦セクションを堪能することが出来ます。「『タイース』からの瞑想曲」の Brusilow のソロも見事ですが、バックの弦セクションの厚みのある音がなんとも・・・美しすぎる・・・・・。( 残念ながらこの曲はCD化されていないので中古LPを探すしかないのですが・・・・)Jay David Saks氏が 「オーマンディ・サウンド、それはなんと言っても、途方もなく大きな、美しい弦の音なのです。」と語ったその片鱗を垣間聴く(?)ことが出来ると思います。
  MacDowellの曲はこのアルバムのプロデューサーである Thomas Frost がピアノ曲からオーケストレーションしたものですが、これもなかなか良いです。彼の曲はアメリカ以外ではあまり知られていないようですが、何故か懐かしさを感じさせる、個人的には好きな作曲家です。(2002.1.5)




Highlights from Tchaikovsky's Greatest Ballets
  The Nutcracker(1963,excerpts) 
    米CBS Masterworks MK6621 (C)1983/(P)1964,
    Also available on Masterworks Expanded EditionSK93014 (C)2003
  The Nutcracker Suite(1963) 
    米Sony Classical SBK46550 (C)1991 (Chopin:Les Sylphides, Delibes:Sylvia Suite & Coppelia Suite)
  Swan Lake(1961,excerpts)
    米Sony Classical SBK46341 (C)1990 (Adam:Giselle suite, Meyerbeer:Les Patineurs suite)
  The Sleeping Beauty(1961,excertpts)
    米Sony Classical SBK46340 (C)1990  (Rossini/Respighi:La Boutique Fantasque)
          
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

  ormandy/philadelphia は 1960年代前半、Columbia にチャイコフスキー3大バレエ抜粋版のステレオ録音を行っており、これらは 米Sony Classical より Essential Classics Series としてCD化されており入手も容易です。ただ、Essential の「くるみ割り人形」は残念ながら組曲版なので、出来れば16年前にCD化された米CBSの抜粋版が良いのですが、こちらは入手困難になりつつある状態です。(私は2年ほど前にアメリカのオンラインショップから入手しました。)1972年のRCA録音(日BMG Funhouse BVCC-38117)には含まれていない"The Dance of the Gigogne and the Buffoons" もあるので、 ormandy/philadelphia ファンなら持っていたいCDです。それはともかくとして、これらは3枚(4枚)とも素晴らしい演奏でありチャイコフスキーのバレエ音楽の魅力を存分に味わうことができます。廉価盤だしカップリングされている曲も結構面白いので、そういう意味でもおすすめ出来ます。
  ormandy/philadelphia は1970年代前半に RCA にも同様の録音(RCA Victor Recordings)を行っていますが、現在CDで容易に入手できるのは「くるみ割り人形」だけで、このCDも限定盤なのですぐに入手不可能になってしまいます。こちらは、Columbia の演奏にさらに余裕と豊かさが加わった演奏なので是非ともCD化して欲しいと思っているのですが・・。(2001.12.23, 2003.11.22追記)

<くるみ割り人形について>
  「くるみ割り人形」についてはEssential のみ組曲版なので、抜粋版(16年前にCD化された米CBS Masterworks MK6621か、2003年に発売されたMasterworks Expanded Edition SK93014)をお薦めしましょう。この抜粋版は1972年のRCA録音(日BMG Funhouse BVCC-38117)に含まれていない"The Dance of the Gigogne and the Buffoons" もあるので、 ormandy/philadelphia ファンならRCA録音とともに持っていたい演奏です。

 「くるみ割り人形」は希代のメロディー・メーカーであるチャイコフスキーの旋律美を楽しめる曲ですが、良く演奏される「組曲版」ではその魅力の半分も聴いたことにはならないでしょう。勿論、組曲の曲も素晴らしいのですが、その組曲からこぼれ落ちた曲はメロディーの宝庫、せめて抜粋版、出来れば全曲版で聴くべし。この旋律にはこの楽器しかない・・・というベストマッチングの大バーゲンセールと言っても過言ではありますまい。

  それにしても40年以上前にこれ程高水準の演奏が存在したとは・・・曲の見事さに感心、演奏の見事さに唖然・・・そういう体験をされたい方にお勧めしたい。"The Dance of the Gigogne and the Buffoons"の演奏は本当に凄い。Gil. Johnsonのトランペットの冴え、Mason Jonesのホルンの切れの良さ・・・オーマンディーとフィラデルフィアの黄金時代の代表的名盤と言ってもいいでしょう。勿論RCAのステレオ録音も素晴らしいのですが、こちらも素晴らしいので結局両方聴いてしまうのですな。

 ちなみに、Masterworks Expanded Edition SK93014 はリムスキー=コルサコフの「クリスマス・イヴ組曲」のポロネーズが入ってるのでさらにクリスマス向けと言えるかも。その他、「雪娘」「ムラダ」「サルタン皇帝組曲」から一曲づつの計4曲がボーナストラックとして追加されているので、CBS Masterworks MK6621 よりお得。(これらのボーナストラックは Essential SBK62647, Russian Orchestral Works にも収録されています。)ちなみにこんな写真も入っていました。楽団員との集合写真のようです。場所・撮影時期等は不明ですが、黄金時代のマエストロと楽団員の写真です。
  (2006.12.16追記)




Mozart : Legendary Interpretations/Eugene Ormandy, Concertos for Wind Instruments
  Oboe Concerto(1961), Flute Concerto(1960), Bassoon Concerto(1961), Clarinet Concerto(1961)
  Horn Concertos Nos.1-4(1961-62), Sinfonia Concertante(1962)

  米Sony Classical SM3K 47215 (P)1991 3CDs
  
  Bernard Garfield(Bassoon), Anthony Gigliotti(Cl), Mason Jones(Horn), William Kincaid(Fl), John de Lancie(Oboe)
  Eugene Ormandy/The Philadelphia Orchestra

  Gigliotti の訃報に接してまず頭に浮かんだのが、この Clarinet Concerto と Rafmaninoff 2番交響曲第3楽章のソロでした。ということで、追悼の意味も含めて彼の Mozart の協奏曲の録音を取り上げたいと思います。
  「・・・後年、私は Mozart が誕生したという事実こそ、神の存在を証すものだと思うようになった。そして年を重ねるにつれ確信を深めた。 Mozart がこの世に生まれ、人類のために信じ難いほど多くの喜びと美を創造し、35歳の若さで消え去ったのは、偶然ではありえない。そこには崇高な意味があるはずだ。悩める人類に慰めを与えるためになにかの力が働いたに違いない。・・・」と、Solti は自伝で語っています。Mozart にとっては迷惑な話かもしれませんが、Clarinet Concerto の Adagio を聴いていると、なるほど・・・という気がします。特にこの Clarinet Concerto は Mozart の早過ぎた晩年の境地を示す作品と言って差し支えないでしょう。特に、2楽章は「至福の時」とも「彼岸の音楽」とも思えてしまいます。
  Philadelphia Orchestra の First Chairs が Columbia 時代に一通り Mozart の協奏曲を残してくれたことはファンにとって幸いなことであり、さらに幸運なことに「協奏交響曲」も含めた「管楽器のための協奏曲」集が3枚組のCDとして発売されたことで、私みたいな後発(?)のファンでも彼らの至芸を堪能することが出来るのですから。ただ、現在この音源が入手困難な状態になりつつあるのは残念なことですが・・・・。店頭やオンラインで見かけたら是非押さえておきたい逸品です。
  演奏は Solo のうまさもさることながら、Ormandy と Orchestra の絶妙な伴奏も聴きものです。 Clarinet Concerto でも冒頭の瑞々しい弦の響からあっと言う間に曲に引き込まれてしまいます。清々しいけど細身ではなく力強い芯を持った伴奏であり、量感がありながら重たくならない低弦のサポートは特筆に値すると思います。(adagio の 1:50, 5:35 の部分は何度聴いてもうっとりしますね) Gigliotti の表情の付け方も絶妙です。
  Horn Concerto は1番の2楽章だけ Natural Horn で演奏していますが(ご愛敬?)これも実に素晴らしい演奏です。(元)ほら吹きのくせに、最近まで Mason Jones の存在すら知らなかったのですから、全く恥ずかしい限りです。ただ、Columbia の Brhams の1番交響曲のレコードで、その切れの良い音は既に小学生の時から刻み込まれてはいたのですが・・・・。それまでは、Dennis Brain, Hermann Baumann で聴いていましたが、最近は Jones のこの演奏を聴くことが多いですね。philadelphia sound が一番私の好みに合っているということでしょう。
  この他、伝説の奏者 Kincaid (引退直前の録音)や、Lancie, Garfield の Solo もまとめて聴けますから、philadelphia のファンならずとも持っていて損は無い内容と思います。なお、このシリーズは "This recording was enhanced using 20-bit technology for 'high definitions sound'." と銘打たれておりこれは "SBM Remastering" のことと思われますが、要はそれだけ注意して Remastering が行われていると言うことであり、恐らく Session 時のオリジナルマスターから Remastering が行われているのではないかと思われます。音質は素晴らしく、これが40年前の録音?と疑わせる仕上がりになっています。(2001.12.9)

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