1.各距離の原点について
通常偏心率の計算では建物の左下を原点とするのが一般的だと思いますが、このツールでは入力シートの左上(A-1)を原点として計算を行います。偏心率は重心と剛心の距離を求めるので、原点をどこに設定して計算しても結果は同じものとなります。

2.間崩れ部の壁について
このツールではグリッド設定で多少の半端な長さの壁の入力も可能です。0.91mグリッドの場合でも入力単位はその1/2(0.455m)単位で入力できますので1.365mや2.275mの壁は通常の入力で可能です。さらに半端な壁がある場合には、例えばグリッドを0.455mとすると最小の入力単位はその1/2の0.2275mとなりますので、1.1375mの壁等の入力も可能となります。しかしその場合、最大の入力範囲が0.91mグリッドと設定した時の半分の大きさになり、最大5間x7間までと入力できる大きさが小さくなります。そこで、そのような中途半端な長さの壁を以下のように入力することにより計算結果を得ることができます。まずグリッド設定はその他の部分の基本グリッド、例えば0.91mを設定します。そして1.1375mの4倍の壁がある場合にはその壁長さx倍率1.1375x4=4.55と同じ数値となる壁を配置してあげれば良いので、例えば、091mの壁であれば4.55/0.91=5.0ですから、5倍の壁が同等の耐力となるので対象となる壁の位置に0.91m壁倍率5.0の壁を配置してあげれば計算結果を得ることができます。この手法を使えばかなり融通がきくと思います。なおこの手法を用いた場合にはその旨をコメントで記入しておくと良いと思います。

3.耐震性能ばらつき係数
静岡県構造設計指針では施工令46条4項の壁量の検討時に真の耐震性能ばらつき係数として割増し1.1倍を要求しています。なおこのツールは同時に偏心率も算定しますので、静岡県指針での計算ルートとしてはA−1の計算を行います。ちなみに静岡県では地震地域係数、Zs=1.2ですので第三種地盤の場合、真の耐震性能ばらつき係数+地震地域係数+第三種地盤による割増となり、1.1*1.2*1.5=1.98と、約2倍の割増となります。

4.重み係数
このツールでは各階の範囲指定により階の重量を設定していますが、この重み係数とは国土交通省住宅局監修「木造住宅の耐震精密診断と補強方法」の中で偏心率の算定の重心の算定方法として用いられている重みづけ係数を根拠としています。