サイゴン川の流れ


サイゴン川沿いの公園を歩いていた。
相変わらず客引きが多い。

角々で声をかけてくるシクロやバイク、一休みしていると寄ってくる物売り、宝くじ売り、乞食。

1日何十人も声をかけてくる、それをあしらっていく。

これがアジアとわかっていても、連日続くとやっぱり疲れる。

「どこへ行く!?」と聞かれても、ただ歩いているだけの私には答えようがない。
ただ一言「Walking・・・」

むこうは不思議そうな顔をする・・・ほっとけ。

夕方、サイゴン川の対岸に渡った。

いきなり田舎になった。
極端な街だ。

でもホッとする。
子供達があそび。






家の中からはカラオケが聞こえてくる。

鶏は走り回っている。

屋外の散髪屋は風に吹かれて気持ちよさそうだ。


 最後の夜、私は相変わらず5階のバーから暮れゆくサイゴンの風景を見ていた。
カクテルは「ハッピー・サイゴン」。
 おそらくこのホテルができて、この風景を見る人達は過去に見た人達と自分の思いを重ねて、「サイゴン川の流れは今も昔も変わらない」と言うのだろう。
 サイゴンがホー・チ・ミン市と名前を変えても、南ベトナム共和国がベトナム社会主義民主共和国になっても、ここからの風景は変わらないのだろう。。
ベトナム戦争を追いかけた、多くのカメラマン、ジャーナリスト。
戦争の善悪とは別にそのような人たちに憧れた自分。
数多く読んだベトナム戦争の記録。
そして、それを確認するかのように来たベトナム。
ひとつ整理ができた。

ハノイ、ユエ、ダナン、1号線、17度線。この国でまだまだ行きたい所がある。
そう、また来ればいい・・・また来るさ。

帰国の日、タンソンニュット空港についた瞬間、雷をともなったスコールが降ってきた。
ベトナムで初めて降られた雨だった・・・・

1999.8.8.〜8.17

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