カントーの市場にて


ここでツアーと別れ私は再び一人になった。
メコン市場の近くに宿をとった。
翌朝、5:00。大音量のポップスが響いてきた。
「なんだよ〜、こんな朝早くから」
どうやら泊まっている宿の一階のレストランからの音だった。
カーテンを開けて道路を見てみると、薄明かりの中、ぞくぞくと市場の開店準備をはじめている。
バイクの音がひっきりなしに聞こえてくる。

この国の朝は早い。
結局6:00には、私も川沿いのカントー市場を歩いていた。

待っていた客引きが来た。
「お兄さんメコン・クルーズとカイラン水上マーケット、船貸し切り1時間4US$」
「カイラン水上マーケット行くにはどのくらいの時間がかかる?」
「カイランは遠いから往復で4時間」
「(うそつけ、片道30分もあれば着くと、宿の親父に確認してあるぞ。まっ、いっか!!)それじゃ1時間3US$で、4時間12US$で、どう?」
「OK」
ということで市場を通り抜け船着き場に向かった。
カントーに来るときどうしようかと考えたのが、これだった。
SINH CAFEのツアーだと、スタートは午前9:30頃からだし、例によって一隻に10人以上乗り込むことになる、また地元の代理店だと一人の貸し切りもできるが400,000VND(=29US$)からで結構な値段である、そこで「もぐり」の貸し船を待つことにした。
どうせ歩いていたら声をかけてくるだろうと思っていたら予想通りであった。
船の舳先に座り、モーター船はスタートした。

まだ太陽が登ったばかりで、川沿いでは一日の生活が始まろうとしていた。

船頭に「ゆっくり走らせてくれ、急いでないから」と注文をつけた。

支流を大きく迂回したり、朝顔菜(水性野菜)の畑を見たりして、

カイランの水上マーケットについたのは2時間後だった。

船頭は、巧みに船をマーケットの中に乗り入れ、ある生活船にもやいをくくりつけた。

その親子は、どうやら船頭と親戚みたいであった。

私にとっては好都合だった。

船を留めているから、いろんな物売りがやってくる、果物、フォー、飲み物、お菓子、煙草などさまざまである。

朝飯を食べてなかったので、フランスパンのサンドウィッチとコーヒー、バナナをすりつぶして揚げたものに、ココナッツミルクとピーナッツをかけたお菓子を頼んだりした。

閑話休題:ベトナムで、いろんなものを食べたが一番気に入ったのが、実はこのフランスパンのサンドウィッチ(バイン・ミー)。フランスパンを裂いて、トマト、キュウリ、ハム、パクチー(香草)に塩、胡椒、ニョクマムをふりかけたサンドウィッチと、深入りしたフレンチローストのコーヒー。アジアはインスタントのネスカフェがほとんどだか、日常の屋台でこれだけ美味いコーヒーを飲ませてくれるのは感動ものである。

フランス植民地政策の遺物であることは確かであろう。
これでしめて50円なり、いっそう美味く感じるわけである。毎朝、これが朝食だった。

1時間も船を留めてくれて、船頭もフォーを食べたり、煙草を買ったりとしばしの休憩である。
それに私にたいへん気を使ってくれた。

観光船も何隻か見たが、どれも通り過ぎて行くばかりで乗客はしきりにビデオを回したり、写真を撮っていた。

船頭に「そろそろカントーに戻ろう」と告げた。
帰路はフルーツ・ガーデンによったりして、戻ったのは10:30ぐらいであった。
予定よりオーバーしたが12US$でOKのことだった。
私は大変満足していたので、2US$のチップをはずんだ。

この時間になると、太陽の光は凶暴になるので、朝早く行って戻ってきたことは正解であった。

カントーの市場をうろつて(市場ばかりうろついているなぁ〜(^^;;)

玉子屋は雛まで売っている。

パンは当然バゲット。(ほんとこれは美味しい)


さて一旦宿にもどりますか。

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