メコンの落日


昼寝をしたあと。
町を歩いて、凧揚げする子供を見たりしていた。

水遊びする子供達。いい顔してるね。

犬は暑いから寝ていますね。

相変わらず物売りやシクロの客引きはうるさかったが、まぁ小さな町である。
ビリヤードはどこもいっぱい。

コーヒーを飲み。一服。
光と陰が美しい。

そして夕方、メコンの落日を見るために渡し船で対岸に渡った。

そこは別世界だった。アジアの田舎の風景が広がっていた。


水との生活はかわらない。

一本道とそれに並んだ商店、民家。子供達は「ハロー、ハロー」と声をかけてくる、カメラを構えると何人もの子供が寄ってくる、大人も、「おじい」も「おばば」もみんな「写真を撮ってくれ」と声をかけてくる。

あっという間にフィルムを消費してしまう。

それにしても、みんないい顔している。
そして、落日。川の見える場所で、子供達のハロー攻撃をかわしつつ撮影スタンバイをしていた。
そこに、朝の水上マーケットで私と同じように船をチャーターしていた、外国人を見かけた。
彼はCanon EOSを構えて落日を撮影していた。

「君、今朝、水上マーケットにいただろう」と向こうから声をかけてきた。
「そうだよ、君もいただろう、そのEOSで覚えているよ」
「私もそのNikonで覚えているよ」
「ここに来た目的はなんだい?」
「メコンの落日を撮るため」
「私もだ」
ベルギー人と日本人のアマチュア・カメラマンの2人は、子供達に囲まれつつ、落日に向かってシャッターを切った。

「もっと赤くなってほしかったな」
「そうだね、明日に期待しよう」
「そうだ、また明日に期待すればいい」

ふたりは、渡し船に乗って対岸に戻った。

夜、川沿いを散歩していた、公園にはホーおじさんの像がライト・アップされていた。
カップルや親子連れがたくさん涼んでいた。

缶ビールを片手に、どうしようかと考えた。
「もう一日ここに残るか、ミトーに行くか、サイゴンに戻るか」
・・・・「サイゴンに戻ろう」、なぜか「気」だけが先に立つ。
急がなくても大丈夫、と言い聞かせても、先を急ごうとする。
その気持ちに従おう。
明日はサイゴンに戻ろう。

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