ベトナム再び


相変わらず手のかかる入国手続きのあと、出口でタクシーの運転手達が待ち構えていた。おもむろに一人が私のところへ来て言った。
「Where you go?」
「Hotel Majestic」
「10 doller」
「No Thank you! I will be looking foward to another taxi!」
「8 doller」
「5doller!」
結局、6ドルで折り合いがついた。
もう少し交渉しても良かったが、今回は子連れだし、荷物も多いことだし、わりとあっさりと妥協した。
さて、床に穴のあいたタクシーに乗り込み空港からでたとたん、バイクの洪水の中を走ることになった。
妻の顔が一気に引きつった。
「なに、このバイクの数。上海の自転車思い出す。」
「だから言っただろ・・・すごいって」
「でも、この量、想像していたのと違う。それもバイクに3人も4人も乗っている。CREAにだまされた・・・・(^^;;」
「別にCREAは間違ったことは載せてないよ、単に書いていないだけだよ。」
一方、京はノー天気に

「お父さん、最高何人乗っているか数えよ!」
と早くも順応性の高さを発揮して、
「あのバイクには5人乗っている・・・こっちは4人」などと数え始めた。
そうこうするうちにタクシーはバイクを引っかけることもなく無事Hotel Majesticに到着。
今年も、ここにやってきた。

サイゴンで泊まるのならこのホテルしか考えられない。
便利で機能的なホテルはサイゴンにいくつでもあるが、歴史と格調を備えたホテルはそういくつもない。

高い天井、真鍮の蛇口、クラシックな造り、外の喧騒から切り離された世界。

そしてベトナム戦争時代のエピソード(「悠久のメコンと喧騒のサイゴン」を参照)。
やはりお気に入りのホテルである。

さて、大事な初日の晩御飯。どこに行くか。
これにより妻と京の2人のベトナムに対する評価が決まるといっても過言ではない(^^;;
なにせベトナムに来る前「ベトナム料理は美味しい。そんなに辛くないし、バリエーションはたくさんあるし」とさんざん吹聴して連れてきた手前、初日の晩にはずしたら、この先旅がしにくくなってしまうではないか。
そこで、昨年、ベトナムの日本大使館の方に連れていっていただいた、リーズナブルで非常に美味しかった店「Tan nin」に行くことにした。
この店は、サービスが良くて美味しいのにガイドブックに載っていない店で、日本人は少なく、地元や欧米系の人が多い店である。
揚げ春巻き、蛤に蒸したの、雷魚のスープ、鶏の炊き込みご飯など注文。もちろんビールは「333」。
そして2人がはじめて食べたベトナム料理の反応は「美味しい。」
良かった、これで旅がしやすくなる。
最後のアイスクリームまで残さず平らげて、ホテルに戻った。

Majesticの横には昨年はなかった高層商業ビルが建っていた。
屋上のバーで「ハッピー・サイゴン」を飲みながら、ビルとサイゴン川の夜景を交互に見ていた。
「やはりサイゴンは変っていくんだな。」
緋色の甘いカクテルを飲み干した、最後に苦みが口の中に戻ってきた。

翌朝、サイゴン川に散歩に出かけた。

この国の人たちの朝はほんとに早い。

もう川で遊んでいるし。

何時にスタートしたのかわからないけど、駅伝のレースやっているし。

さて朝御飯を食べましょうか。

そしてニャチャンへ。


ニャチャンまで420km へ

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