Are you happy?


昼寝をして、だいぶ日も傾いてきた。







昨日と同じ場所でサンセットに再トライ。

で、自転車はやめて、馬車で行くことにした。

Mihara師匠のバガンで馬車からHOLGAで撮った写真が好きなので、ぜひ同じシチュエーションで撮ってみたかった。

ホテルの前には、ちゃんと馬車が待っている。













向こうから声をかけてきた。


「ホース・タクシーはいらないか?」
「今から、シュエサンドーパゴダまで行って、サンセットまで待ってもらい、その後ここへ戻ってきたい・・・それでいくら?」
「3,000チャット」
「OK、じゃぁ頼む。」
彼の横に座り、馬車は動きだした。

座席が高い位置にあるので、視界が広い。
彼が聞いてきた。
「私の名前はリン・ティン・・・あなたは?」

「ogawa・・・」
「Mr.ogawaですね。」
「Mr.はいらない・・・ogawaだけで良いよ。」

「国は?」
「日本・・・」
「仕事か休日?」
「休日だよ・・・写真を撮りに来た。」
「バガンははじめてか?」
「そうだ。」
「何日いる。」
「3日。」
「仕事は・・・」
「フォトグラファー」・・・最近、海外で聞かれたらこの答えをしている。
なぜなら、私の持っている機材をみたら、たいていの人は「なるほど」と思ってくれるし、一人で旅をしていても「なぜ一人なんだ」とかのわずらわしい質問を受けなくてすむ。
というようなよくある会話をしながら馬車はすすむ。

時々シャッターを切っていく。
良い感じだ。
リンが「日本の歌手で好きな人がいるんだ」
「へぇ〜、誰?」
「テレサ・テン」
「うん?(彼女、日本人じゃないんだけどな)・・・どんな曲知っているんだ
い。」
というと「時の流れに身をまかせ」を歌いだした。
その次は「つぐない」・・・
好きなだけあって上手いもんだ、ちゃんと日本語だし。
ちなみに彼との会話は英語である。
時の流れに身をまかせぇ〜♪
と二人でハモりながら馬車は遺跡地区に入っていった。
なかなか良い奴だ。

17時30分にパゴダに到着。
「ちょっと早く着いたね。悪いけど1時間ほど待って。」
「ちゃんと待っているよ。」
すでに何組かが上に登っているが、昨日と同じ一番高い場所のコーナーを確保。


昨日ほどではないがかなりの人が集まっている。

夕陽は昨日と同様、地平線に雲がかかり、見ることができなかった。
ちょっと残念。

馬車に戻り「さぁ、ホテルに戻ろう。」
「OK」
「ogawa・・・何歳?」
「45歳」
「見た目より歳とっているんだ・・・ボクは25歳」
「結構、若いんだ。」
「ogawaは結婚しているのか?」
「してるよ、娘も一人いる14歳だ・・・リンは結婚しているのかい?」
「娘さんはハイスクールなんだね。ボクも結婚していて2人の娘がいる。」
「いくつなんだい?」
「上の娘は11歳。」
「うん・・・!?ちょっと待てよ。君が14歳の時に・・・?」
「ハハハ、実の娘じゃない、妻の連れ子なんだ。妻は33歳。」と答えてくれた。
「血は繋がっていないけど、娘たちはボクにとってもなついてくれているんだ。
妻も優しいし・・・」




「Are you happy?」
「Of couse, My life is very happy!」
とっても嬉しそうに答えてくれた。
その答えをリンから聞いた時、私も幸せな気分となった。

真っ暗な道を馬車は走る。
「ogawa、ボクねぇ日本の諺をいくつか知っているんだ。」
「どんなの?」
「女心と秋の空」「サルも木から落ちる」それと「弘法筆を選ばず」
と日本語で答えた。
「へぇ、よく知ってるね。でも、ちゃんと意味わかっているの?」
「Woman's heart often changes like an autumn sky.」
パチパチ・・・拍手
「ちゃんとわかってるんやん。」
他もちゃんとした英語訳であった。

「日本語どこで勉強したの?」
「3ヶ月ほど独学で・・・」
「たいしたもんだ・・・ねぇ、リンで一年で日本人ツーリスト何組ぐらい乗せ
る?」
「そうだな、約50組ぐらいかな・・・」
「週に一組ぐらいか・・・」
「うん、そんなもの、特にこの時期はユーロピアン・ツーリストばかりで日本人
は特に少ないよ。」
「そうだろうね。全然日本人ツーリスト見ないもの。」

「ogawa、明日のスケジュールは?」
「明日は9時15分のフライトでヤンゴンに戻るんだ。だから8時15分に空港につい
てなければならない。」
「ボクを使ってくれる?この馬車でも30分あれば空港に着く。」
「OK、じゃあ7時30分にホテルの前で待っていて。もし君がいなければ、私は別のタクシーを利用するよ。」
「フライトの時間がogawaにとってどれだけ重要かはボクにも良くわかっている。約束は必ず守る。」
「わかった、信用しよう。」と彼と握手をした。
ホテルに着いた時は19時を回っていた。
「今日はこれで仕事は終わりかい?」
「そうだよ。その前に馬を小屋に連れて帰って、餌をあげないとね。」
約束の3,000チャットに「For your daughters・・・」と言って1,000チャット上乗せして払った。
「じゃ明日。」

シャワーを浴びていると、いきなり停電。
バスタオルを巻いて部屋の外に出ると、ホテルだけではなく街全体が真っ暗。
しばらく見ていると、ホテルの自家発電が動き出したのか電気がつきはじめた。


晩ゴハンは昨日と同じ店に行った。
何人かの客がテレビを見ていた。
どうやらVCDのようである。
ライブの同じ曲が何回もリピートされている。
女性ミュージシャンが歌っているのは、リンダ・ロンシュタットの「ブルー・バ
イユー」男性ミュージシャンは、ベイ・シティ・ローラーズの「二人だけのデー
ト」ともにビルマ語・・・またえらい古い曲が流行っているんだ。
昼間のレストランでも流れていたな・・・今の流行か。

食事の後、昨晩と同じように庭に出てビールを飲みながら本を読んでいた。
と、ホテルの隣の家が音楽が流れてきた。
聞きなれたフレーズ・・・「We are the world」じゃないか。
それも英語じゃないよ・・・ビルマ語か?
それ以外は、なにも聴こえない夜。

 

空港へ・・・ へ

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