自転車でGO!


テラスで朝ゴハンを食べながら、どう動くかを考えていた。

バガン仏塔遺跡群、かなり広いエリアに点在している。

タクシーは避けたかった。
何処へ行っても同じなのだが、私にとって写真を撮るということは、過程も含めて撮るというのが目的になるので、一気に目的地へ行ってしまうと過程が撮れなくなってしまうのと、初めての土地では距離感、方向感覚がわからなくなってしまうので、できればタクシーは使いたくない。
一番良いのは「歩く」ことだが、距離があるので不可。
地図を見る限り、一番遠いところで10kmぐらいである。
むぅ〜、自転車かぁ。
自転車を最後に乗ったの何時だ?・・・数年以上まえであることは確か。
普段「徒歩」と「車」という生活スタイルなので自転車はまったく乗らない。


自転車を借りる前にホテルの向かいのシュエズィーゴオンパゴダに向かう。

ここは回廊から入っていくという珍しい形式のパゴダである。

準備中の土産物売りを振り切って、かわして中へ。

Sharaaaan〜♪ 
金属質の音が上から聞こえる。なんか気持ちが優しくなる音である。
何処からと思い見上げると、パゴダの上部に多くのつけられている。
そう昔、井上靖氏の著書で読んだことのある音色である。
氏は・・・風鐸・・・と書いていた。
音を聴いて納得した。


通学の子供たちや祈る人を撮ってホテルへ戻る。







ホテルで自転車1日10,000チャットで借り出した。
もちろん変速機なんてついていない無骨な自転車である。
天気は晴れ・・・か。

すべての寺院、パゴダの境内は裸足にならないといけないので暑い日中は避けたい。

ということで8時に出発。

カメラバックたすきがけにして、カメラを首からぶら下げる。
漕ぎ出したらヨロヨロ・・・従業員達に笑われた。
仕方がないよ・・・何年かぶりなんだもん。

ガイドブックを見ると、ともかくパゴダや寺院の数は半端ではない。
ともかく行ってみないとわからない。

とりあえず道は一本道・・・迷うことは無いだろう。

自転車、バイク、馬車から人満載のトラックと走っている。

有名なバガンの遺跡とはいえ、住んでいる人の数は村規模のレベルである。

右に左にパゴダや寺院が見えてきた。

予想していたより多い。

いちいち停まって撮影していたが、これだと全然進まない。
それに私の悪い癖で、初めて見るものは全て撮りたくなってしまう。

なので旅の始めはフィルムの消費が多くなってしまう。


パゴダと寺院の区別であるが。
パゴダには誰も住んでいない、寺院には僧侶が住んでいる。
その違いである。

バガンは、大きく3つのエリアに分かれる。
私が宿泊しているオールド・バガン(ニャンウー)・・・この街の中心エリア。


バガン遺跡エリア・・・遺跡保存エリアであり、一部のホテルとレストラン以外は遺跡のみである。
ニュー・バガン・・・遺跡保存のため、そこに住んでいた人や商売していた人たちを移住させて造ったエリア。
遺跡保存エリアを挟んでオールドバガンの反対側に位置する。
オールドバガンとニューバガン・・・距離でいう直線で10kmほど離れている。
自転車のゴールは一応ニューバガンの入り口あたりと決めた。






寄り道をしながらもやっと遺跡保存エリアに入った。
メイン道路はとりあえず舗装されているが、それぞれの遺跡に入るところは土道である。
砂に車輪を取られて走りくいこと。
それぞれの遺跡には物売りや土産物屋がある。


いくつかの遺跡を回ったあと、私は上に登れるパゴダを探していた。
そのようなパゴダは2つある。
まず一つ目を見つけた。

ミンガラーゼディ・パゴダ。
入り口でサンダルを脱いで歩き始めた、途中から石ころだらけになり足の裏が痛い。

横手にまわり階段を見つけて登り始めた、急な階段を登りきり振り返った。
その瞬間、「わぁお! すごい!!」

パゴダ・寺院が大地に広がっていた。
少々の事では驚かない私も、思わず口に出てしまうほどすばらしい光景である。

これを見るために、ここまで来たようなものである。
ただ時間帯が悪いため写真を撮るには逆光になる。
また出直してくる必要があるかな。


再び自転車で、ニューバガンを目指す。

あちらの寺院、こちらのパゴダ。







そして坂道。

この頃になると、サドルのお尻は痛くなってきたし、太ももは疲れてきている。








ゼイゼイ言いながら坂を昇りきると、そこはニューバガンの街であった。

きれいに区画整理されているが、面白みの無い街である。
ともかく一軒のレストランでビール。
その味は、たいへん幸せな味でした。

さて、今度は復路。
もう一つの上に登ることのできるパゴダに向かった。

シュエサンドーパゴダ。
形も美しい。

こちらのほうが、先ほど登ったパゴダより高くまで登れる。

高いところは苦手だが、このために来たのだから。







登りきると、先のパゴダより高い位置なので地平線の彼方まで見える。

そして数多くのパゴダ・寺院・・・ため息しか出ないほど美しい風景であった。
風が吹いている。
私以外誰もいない。

風を音を聞きながら、しばらく風景を独占するという幸福な時間であった。

 

僧院の片隅で へ

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