ライスフィールドを横切れば


 昨日同様朝5時半、猫とネズミの運動会で目を覚ました。

さて今日も日の出を見に行こうと宿を出て、昨日の行った峠まで薄暗い中登っていった。

空には重い雲が重なっていて、とても日の出を撮れる状況ではなかった。

明るくなった空を数カット撮ってスゴスゴと引き返した。
早朝から開いている市場で何枚か写真を撮って宿に戻った。

テラスで朝御飯を食べながらさて今日の行動は・・・例のよってボーイがサーブしてくれた時聞いてきた。
「今日もジャランジャランか?」

「まぁ、そうだけど。サンセットツアー参加したいんだけど空きある?」

「ちょっと待て」と言って携帯で電話をした。

「今日はまだエントリーが無いので確認のためお昼に一度戻ってきてほしい。最低3名そろわないと出発しない。」

「わかった。じゃお昼に戻ってくる」
Ubud発のツアーが格安でいくつかの方面にある。日本語ツアーは無いが、公共交通機関が少ないこの島では使いようがある。サンセットツアーは14:00にUbudを出発してライステラス(棚田)などを回り最後はタナロット寺院(後述)でサンセットを見るツアーである。

但しどのツアーも最小催行人数が3人なので、一人旅では人数がそろうかどうか運任せの側面がある。確実にするには車をチャーターすることだが当然割高になる。
また日本語できるドライバーは日本からツアー客用のオプショナルツアーで予約が入っているので、ほとんど英語のみしかできないドライバーが多い。

午前中、昨日道に迷った散歩コースその2に再度トライすることにした。

昨日、間違えた場所をちゃんと左折して坂道を上がっていくとGalleryが多くあり、それを抜けると村がある。
ここらあたりからポツポツと雨が降り始めた。

南の島らしからぬ、日本の梅雨のような雨である。

傘は宿に置いている・・・乾季だしそんな長く降らないだろうど持ってこなかった。

そんな中、田んぼの端からオッサンが私を手招きした。

片言の日本語で「日本人か?秘密の場所の田んぼを見せてやる。来るか?」と声をかけてきた。

一瞬躊躇したが、どう見ても私を引っ掛けようと雰囲気でもないし、どうも農作業中にたまたま私が通りがかったシチュエーションであり、それと、このルートはフラフラほっつき歩いている観光客はほとんどいない・・・・こりゃだまそうと思って声をかけてきたんじゃなさそうだ・・・ということで、面白そうだからついて行くことにした。
とうとう雨が降り出してきた。
手招きされるままあぜ道に入った、やはり日本と違う風景がある。

まずアヒルがうろうろしている。
それに稲刈りの終わった横の田んぼは田植えが終わったばかりである。これが日本と違う田んぼの風景である。稲はもともと南の植物だから、ここらへんが故郷なのかもしれない。
オッサンは裸足で案内しながら言った。

「私、むかし長崎で1年働いた・・・」などと言っている。
だから英語は通じなく日本語の片言が通じるんだ。
雨はだんだんひどくなる。

どうやら他人の田んぼの間を歩いている。
オッサンすごく楽しそう案内をする・・・私も楽しい気分になってくる。

かれこれ何度も足を滑らしそうになりながら20分あまり渓谷の踊り場についた。
竹で組んだ休憩台みたいのがあり、オッサンがここに座れと言った。
椰子の木があり、川があり、その向こうには棚田がある。
たしかに秘密の場所である。

おそらく農作業の休憩場なんだろう。
オッサンは「この川の向こうはモンキーフォレストだから案内する」と言った。
すべる急な坂を降りて、傘の変わりに葉っぱを頭に乗せて、登ったり降りたり、川を渡り、道無き道を歩き、よそさんの田んぼを通り抜け、モンキーフォレストの近くに到着。

楽しい雨の中の散歩であった。
「もう大丈夫・・・ここから一人でモンキーフォレストまでいけるよ」
「そっか。さよならだ。気をつけてな。」
とオッサンは笑いながら行こうとした時、私はオッサンに5000idr(≒75円)を渡した。
1食分の御飯代くらいである。
なんかとても楽しかったのでガイド料がわりである。
別れたのはいいが、ひどい雨降りで雨宿り。

スコールではなく長く降っている。
30分以上雨宿りしたが完全にやまず、結局、濡れ鼠になってホテルに戻った。
宿に戻るとボーイが待っていた。
「今日は他にエントリーが無いからサンセット・ツアーは無い」
「この天気じゃしかたがない。それでは、また明日エントリーしてほしい」
「わかった。」
ここのツアーは最低催行人数が3人なので、数がそろわないと催行されない。
安いツアーなので仕方がない、それが嫌なら車をチャーターするしかない。
空を見上げていたが雨はやみそうにない。

なんとなく気勢がそがれてしまい、いそいで何かしなければならないことは・・・全く無い・・・いや一つある。それは洗濯。
昨日から干していたタオル1枚が乾いていない。ということはこれから洗濯しても
何も乾かないということである。
汗をかいたり、雨に濡れたりしたものだから底をつき、今着ている上下が最後である。
とりあえず市場でTシャツを1枚仕入れたが根本的な解決になっていない(^^;;
ということでラオスの時の経験に習って、洗濯屋を探しに行くことにした。
カメラバックならぬ洗濯袋を持って外出。
ちょっと探すとあったあった、宿から100mぐらいのところ、ちゃんと乾燥機もある。クリーニング店というより洗濯屋さんというイメージ。
カーゴパンツ(長)1、カーゴパンツ(短)1、ダンガリーシャツ1、Tシャツ4、トランクス3ついでにバンダナ2以上で15,000idr(≒220円)・・・オッチャンとのつたないやりとりで「明日の12時にできる」ことが確認できた・・・やっぱり正解。
することもないので、テラスでビールを飲みながら、金子光晴の「マレー蘭印紀行」を読み始めた。
この本を海外に持ち出すのは数年ぶりである。
雨の音を聞きながらこの本を読んでいると、昔ペナンで雨の日にこの本を読んだことを思い出した。
なんとなく昼寝をしたりして結局晩まで外出せず。

晩飯の後、いつものBarへ行って顔なじみになったバーテンダーや従業員とバカ話しながら夜は更けていった。

このBarの話はまた後で。

 
雨の中のツアー

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