第21回
『レオナルド・ダ・ヴィンチ』絵とき美術館シリーズ
フランチェスカ・ロメイ/文、セルジオ、アンドレア・リッチャルディ/絵、
森田義之/監訳 講談社、1996、\2300
96年刊行なのに、今ではもう手に入りにくくなっているというのが残念でならない。イギリスのDorling Kindersley 社製のブック・デザインに似た楽しいつくり。いい本を作ろうという姿勢が随所に現れている。全ページにすばらしいイラストや写真をふんだんに配し、ダ・ヴィンチの生涯と業績を、美術史の視点からわかりやすくていねいに伝えている。解説もイラストも、知識を得る喜びを満喫させてくれるものだ。ダ・ヴィンチが取り扱った分野は、美術、科学、建築、音楽と多岐にわたっていて、それらをコンパクトにまとめるのは容易ではなかっただろうと推測する。大天才の一端をかいま見る格好の入門書と言っていいだろう。ぼくは商売柄、本のイラストに見とれて、どれくらいの時間でどんな技法で制作しているのだろう、そしてギャラはどれくらいだろう、なんて考えてしまう。
そして今さらながら、ダ・ヴィンチはとてつもない天才だったのだと知らされる。ミケランジェロも不世出の天才だけど、ぼくが20年以上も前にイタリアを旅行したとき、向こうでは圧倒的にダ・ヴィンチの存在感の方が大きかったことを、ふと思い出した。まあ、どっちにしたって凡人には及びもつかないレベルなんだけど。いやいや、ダ・ヴィンチやミケランジェロどころの話ではない。この本のイラストのレベルにさえ、ぼくは遠く及ばないのだ。
図書館にはおいてあるはず。入手したい人は古本屋でぜひ探してみて。
10/31/2002
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