第17回
『話を聞かない男、地図が読めない女』
アラン&バーバラ・ピーズ/著、
藤井留美/訳 主婦の友文庫、2002、\667+税
日本で200万部、世界で600万部のベストセラーが文庫になった。抱腹絶倒。気軽に、あっという間に読める。疲れているときに読んで下さい。
男と女では脳の構造が違っているということを、多くの事例をあげながら、おもしろおかしくわかりやすく説明している。そして男女がうまくやっていくにはどうすれば良いか、ヒントを与えてくれる。代表的な相違点は、タイトルに示されているとおり、女は言語能力が発達していて、男は空間把握能力が発達しているという点。我が家には男女一人ずつ子どもがいるが、同じ育て方をしていてもずいぶん異なった行動パターンや好みで成長している。自分たちの夫婦関係や世界の人間関係を見ても、男と女ではなんと異なっていて、そのくせ同じ失敗を繰り返しているることか。この本を読むと、思わず「当たってるー」。日本では血液型性格診断と同じような感じで受け取られているのかもしれないが、血液型による分類よりはるかに説得力がある。でもこれも血液型と同様、男だからこう考える、女だからこうする、と類型化して決めつける材料にしてはいけない。考え方も能力も性差があるだけでなく、個人差が間違いなくあるのだから。そのことは著者たちもちゃんと指摘している。
近年とみに進んでいる脳の研究成果をもとに、人間関係にどう対処すべきかをていねいに説くガイドブックは、既成の宗教にとって代わる生活指針を求めている人々への一つの答なのだろう。ありのままの自分や相手を今より少しでも受け入れられるようになれば、この本は十分に役立ったということだ。
10/10/2002
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