第14回

『そうだったのか!現代史』 池上彰/著、集英社、2000、\1700+税
 

 歴史を学ぶことの大切さを思うようになったのは中年になってから。人間は元来愚かだから、個人も国家も歴史を学ばなければ、同じ失敗を何度でも繰り返す。
しかし歴史といっても、第二次大戦以後の現代史はやたら複雑。ニュースを聞いても、なぜそういうことが起きているのか、そしてそれが自分たちとどう関わりがあるのか、おとなでもわかっている人は少ないだろう。でも私たちが正しく生き延びるためには、歴史をある程度は理解していた方がいい。そうしなければ、私たちの存在すらも危うくなるのだ。
 その込み入った現代史をわかりやすく解説してくれたのが、本書。著者は「NHK週間こどもニュース」のメイン司会を担当している池上彰さん。現代史の概略を学ぶには最適だ。
久々に勉強しましたよ。まさに「そうだったのか!」のタイトルどおり。湾岸戦争から始まって、冷戦、ベルリンの壁、ベトナム戦争、中国と台湾の問題、中東問題など、主要な事柄が取り上げられている。ある時テレビのニュースで突然聞く事件も、発生に至るまでにさまざまな要因が絡んでいるのだが、こんなふうにまとまった形で解説してもらうと、ようやくわかってくる。この本は2000年11月発行だが、今だったら当然昨年のニューヨーク9.11テロ事件が加わって、内容が大きく変わったに違いない。姉妹編で『そうだったのか!日本現代史』もあるので、今度はこちらも読もうと思う。
 それから、内容とは直接関係ないが、ぼくが気に入ったのは、各章の見出しの下にあるイラスト。平田利之さんの簡潔でしゃれた線とアイデアは、センスの良さが伺えて、ひとつひとつじっくり味わう価値がある。                 8/1/2002

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