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 照れ臭そうに、それでもはっきりと秋亜人は言った。お互いに、自分の顔が熱くてきっと赤く
なっているであろうことを、この月明かりの中では相手に知られずに済むことがありがたかっ
た。そして凱は、この上ない幸せに、これ以上何も言えなくなってしまっていた。それでもただ
一言。
「・・・・ありがとう・・・・」
と、小さく答えた。
「そんな、俺の方こそ・・・・でも何か、今更のような気もするけどな」
 秋亜人がくすりと笑い、凱もつられるように微笑んだ。
「好きだから、一緒に居たいと思うんだろうしな。高校も同じとこ行けたしさ、3年は一緒に居ら
れるし、その後なんてまだ解んないけど、でも俺達、生涯のライバルだもんな」
 嬉しそうに言った秋亜人の最後の言葉は、つい先日、海辺で彼が足を怪我した時、凱が口に
したものだった。
『秋亜人に万一のことがあったら、僕は生涯のライバルを失うことになってしまう』
 そう言われて、秋亜人は咄嗟に返す言葉がなかった。しかし自分も想いは同じだと、今まで
言えずに心に留めていたのだった。
「・・・・うん、そうだね・・・・」
 凱は吐息のような声でつぶやき、目を閉じた。この胸を熱くする喜びを、そして秋亜人と共に
在る幸せを、どうしたら失わずにいられるだろう。しかし僕達は強くなろうと誓った。僕はこの幸せ
を守る為にも、もっと強くなるんだ――――
 穏やかでいて何よりも固く大きな決意の内に、凱はこの上ない安らぎを覚えた。自分の居るべ
き場所で、成すべきことを成せることの、最上の安心感。
 それは、秋亜人にも共有されるものであったらしく。
「・・・・秋亜人・・・・?」
 小さく呼び掛けてみたが、応えはない。健やかな寝息をたてて眠る彼の、額から枕にかかる髪
や丸い肩の線に、凱はふとその体を腕の中に抱き締めたい衝動に駆られた。
――――僕がお前を、愛していると言ったら・・・・それでもお前は同じだと言ってくれるんだろう
か・・・・――――
 窓の外を見上げると、大分移動した月が、地球の影から脱して明るい光を放っていた。




      −END−
この本の後記とか見ると、すでに沈艦にはまった頃であったのが判ります。
秋亜人は3クール(と少し?)のアニメだった?のですが、2クールで終わってても全然
良かったんです・・・続きになったら、もう作画が最悪で。外国の下請けを使い始めた
最初のアニメ?とにかくお金と時間がないのかな〜?という感じで、OVA作るより、テレ
ビ版を修正して欲しかった、というものでした。そのOVAも結局買わずじまいだったので、
どんな結末だったのか、実は知らないんです。
ここ数年、探しているんですが、やはりどこにもないですねぇ・・・レンタルも中古も。(ヤフ
オクはまだ見てないけど・・・)どなたか売って下さい!マジで。(あ、リミックスは持ってます)
見始めた最初の頃は、絵も動きも音楽も声も話も、どれを取っても最高に良い!というアニメ
だったのですが・・・地の底まで落とされましたよね。あか○りさと○、小説の続きはどうした
のだ?全部中途半端じゃんね〜(T-T)
最初、シュラトではカップリングとか意識してなかったのですが、某サークルさんの売り子
とかしていた関係で、すっかり凱×秋亜人にはまってしまいました。というか、そっちの本の
方が好きな物が多かったんですね。今は芸能サークルになってますが、は○ろうさんの
凱×秋亜人本はお薦めでした!井沢す○りさんのファンでした。
凱の声をあてていたのが子安武人さん。秋亜人は関俊彦さん。他にも井上和彦さん、林原
めぐみさん、山寺宏一さんに堀内賢雄さん・・・豪華でしょ!?CDも出たしイベントもあったし、
本当にいいアニメだったのに・・・(−−;
これで子安ファンになりました。正気の(人間界の)凱の声が、私の理想の声なんです。でも、
なかなか他のアニメではその声聞けないんですよね〜(T_T)