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■Cityscapes■  −5−  

 祐介は黙ったまま、恐るおそる雄一郎の方に振り向いた。雄一郎はその瞳が良く見え
るように、身を乗り出して顔を近付ける。
「好きだ・・・・から、・・・・負担になりたくない」
「アホ、そう思われて遠慮される方がショックや。俺はあんたの事が好きやから、何かプ
レゼントしたいとも思うし、会いたいと思った。だからそうしたまでや。そういうもんじゃな
いのか?・・・・好きになったら」
「・・・・ごめん」
「そう思うんなら・・・・許せや」
 ゆっくりと身体を近付けて、祐介の唇に自分のそれをそっと重ね合わせた。
 驚いたように見開かれた眼に苦笑して、身体を起こそうとする。しかし離れようとした腕
は祐介に引き戻された。
 自分でもびっくりしてその手を放した祐介に、雄一郎は改めて腕を回し、抱き締めた。
 祐介の手が自分の背に回されたのを感じて、再び、そして今度は深く、唇を合わせた。
「・・・・すまん、祐介。これ以上は俺ヤバイわ。今日はもう寝よう」
「うん・・・・そうだね。おやすみ・・・・」
 すっかり安心したように、祐介はすぐに寝息を立て始めた。
 判っているのか、いないのか。彼には確かに、この抱擁に安心を得て愛情を感じたこと
で充分なのかも知れないが。
――――俺にまだ理性が残っとって良かったな、祐介――――
 彼に悟られないように、そっと溜め息をつく雄一郎であった。
 そして、考えてみれば、十八年も想いを胸に秘めていた祐介のことである。自分から動
かなければ、ずっとこのままの関係でいる可能性が高い。
 祐介にどこまで受け入れて貰えるのか、多少なりとも不安はあったが、少しずつ進んで
いけばいい。
――――でも、ちょっとは期待してもええんかな・・・・――――
 自分から手を伸ばして、背に回された腕を思い出した。
 今日の所はこのぐらいで満足しておくべきであろう。
 祐介の寝息を聞きながら、その体温を近くに感じて眠れることの幸せを噛み締めながら、
雄一郎も目を閉じた。






                              2001.12.29     波崎 とんび






    「12月24日」の続きのつもりで書き始めました・・・あまり、というか全然、意味もヤマもオチもなくてすみません。
    せっかく受かった冬コミに、新刊が出せないのは悲しいので、2日で頑張って書き上げたものですから・・・。
    本当はLJを読み返したかったのですが、本は自宅にあり、そして自分は実家に帰省中・・・ということで、これを
    HPにアップする時には、直したかったのですが・・・今もまだ実家に帰省中です(^^;
    今回の目標はキスシーン・・・だったのですが、全然物足りなかったので、本の方にはこの後おまけの落書きが
    載っています・・・ペンも持ってきてないので、鉛筆描きコピーでしたが。プリンタ持って移動しました。

    Cityscapes というタイトルですが、このところ気に入って使っている吹奏楽オリジナル曲の題名シリーズです。
    都市の景観とでもいうのかな?意味ないですね・・・