SAFETY(安全性)
そのパフォーマンスを支えるGT-Rの安全性能。
日産では、「豊かさと楽しさ一それを支える安心・
安全思想」をコンセプトに、ドライバーとクルマの危
険回避能力を高め、事故を未然に防ぐ「アクティブ
セーフティ」(予防安全性)と、万一の場合でも乗員
への影響を最小限にとどめ保護性を高める「パッシ
ブセーフティ」(衝突安全性)の両面から、従来より
安全性の向上に努めています。
スカイラインの開発にあたっても、クルマの基本性能
をより高めるとともに、さまざまな安全対策を実施し、安
全で快適な走りを実現しています。
(アクティブセーフティー予防安全性)
高質な運動性能を備え、万一の場合でも事故を未
然に回避するための安全性。それが予防安全性で
ある。GT-Rは開発にあたり、その卓越した基本性能
に兄合うさまざまな安全対策が吟味され、随所に採
用されている。安全性のための運転視界確保、メー
ター類の視認性、最良のドライビングポジション、車
両挙動のつかみやすさなど、テストコースで入念なチ
ューニングを重ねた。また、予想外の事態に対しても
安全に回避できる危険回避性能もハイレベルなもの
とした。ハイパワーに対応する強力なブレーキシステ
ム、限界性能を引き上げるSUPER HICAS、電子
制御トラクションコントロールシステムATTESA E-
TS。思うままに“走り・曲がり・止まる"クルマの基本
性能を、最新のテクノロジーの導入とともに高度なも
のにしている。
●モノフォルムバケットシート
GT-Rのシートは、グループAカーのそれをモチー
フに、ロードカー用としてファインチューニング。インバ
ース形状にすることで、ホールド性の向上と窮屈感
の解消を同時に図っている。
センター部を中心に適度なRをつけた包み込むよう
な形状を、肩部、脇腹、腰部、大腿部に採用。スポー
ツ走行時の横Gに対した際の操舵性の確保、長時
間におよぶ高速走行の際の疲労感の軽減など、その
効果は多岐にわたる。
■プロジェクターヘッドランプ
GT-Rはヘッドランプに、上方向への光の漏れをカ
ットし、夜間や霧など悪天候の視認性を向上させる
プロジェクターヘッドランプを採用している。
■アルミキャリパー対向ピストンブレーキ
速いクルマほど、安全でなければならない。サーキット
の制動力をそのまま移植した4輪アルミキャリパー対
向ピストンブレーキ。
フロントは、アルミ合金製キャリパー対向4ピストン型。
リヤは、アルミ合金製キャリパー対向2ピストン型。
対向ピストンは、シングルピストンにくらべ、ブレーキロ
ーターの押し付け力を高め、ブレーキの剛性を向上
させることができる。
また、バネ下重量の低減と放熱性を上げるために、キ
ャリパーにアルミ合金を使用。ブレーキ冷却用ダクト
の採用で、冷却効率も高い。
■ABS(アンチロックブレーキシステム)
ABSは、ATTESA E-TSとのベストマッチングを図
るため、相互を総合制御する方式がとられている。
4輪駆動車は、加速する能力も高いカ、それ以上に止
まる能力も高めなければならない。しかも、4輪駆動と
悪い干渉をしあわないことが前提となる。
GT-RのABSは精度の高い前後Gセンサーと横G
センサーを採用し、この目標を達成した。雪道などの
滑りやすい路面での高度なアンチスキッド性能の実
現。しかも、ドライ路面におけるスポーツ走行時のアン
チスキッド性能も高次元で両立させている。サーキッ
ト走行など、ハードドライビングにも充分対応し得る、
高性能ABSである。
■メカニカルLSD(リミテッド・スリップ・デフ)
不整路や左右輪のμが異なるような路面、限界コー
ナリング時の片輪の接地荷重低下による駆動力変
化に対応し、最適なトルクスプリットを行なうのがリミ
テッド・スリップ・デフである。GT-Rは、後輪ディファ
レンシャルに、トルク感応型メカニカルLSDを採用。
このメカニカルLSDは、回転数感応型ビスカスLSD
にくらべ、駆動輪への入カトルク、つまりアクセル操
作に感応し、ダイレクトに差動制限を行なうことができ
る。シャープなレスポンスと高いコントロール性という面
で、GT-Rにふさわしいと言える。
(パッシブセーフテイー衝突姓性)
万一、不可避の事故に遭遇した場合の安全性。そ
れが衝突安全性である。GT-Rは、ボディ構造をは
じめとして、細部まで入念な安全対策を備えている。
■ボデイ構造
GT-Rのボディは、安全性の高い衝撃吸収ボディと
なっている。これは車体の前後が衝突エネルギーを
それぞれ効果的に吸収し、キャビンヘの影響を最小
限に抑えるもの。最新のコンピュータ解析技術と数々
の衝突実験によって、高い衝撃吸収性能をもったボ
ディ構造を実現している。一方、居住空間の部分は
主要骨格部の強化と各結合部の補強により、しっか
りとボディ剛性を確保。
■サイドドアビーム
ドア内部に補強メンバーを組み込み、ドアの強度と
剛性を確保。側面からの衝撃にそなえている。
■フロント&リヤシートベルト
GT-Rは、常に適切かつスムーズな装着が行えること
を目標に、シートベルトを開発している。
フロントには、テンションリデューサー機構付ELRシ
ートベルトを装備した。リヤは、ELR付3点式シートベ
ルト(2名分)としている。フロントと同様、通常は身体を
締めつけることなく快適にホールドするが、緊急時に
は乗員を3点で確実にロックし、安全性を高めている。
■SRSエアバッグシステム(メーカーオプション)(注)
前方衝突時にドライバーの頭部に加わる衝撃を緩
和するSRSエアバッグシステム。メカニズムは、車体
に取り付けたセンサーが前方から一定値以上の衝
撃を検知してシステムに電流を流し、インフレーター
で瞬間的に発生した窒素ガスがSRSエアバッグを
膨張。そしてドライバーを受け止めた直後すみやかに
収縮。この間わずか0.1秒という瞬間的な動きで対応
する高度の安全性を備え、シートベルト装着時の補
助拘束装置(SRS)としてすぐれた乗員保護効果を
発揮する。
SRSエアバッグシステム装着車のステアリングは、本革巻4本スポークタイプ。
アルミパネル使用部位説明図
アルミ製フロント・フェンダーとポンネットの採用で、約11s
の軽量化を図った。二のフロントの軽量化は、慣性重量を
低滅するとともに、前輪の負担荷重を軽減し、運動性能
と操縦安定性の向上に寄与している。
(注)SRSエアバッグシステムは、次の様な場合には作動しません。
・前面衝突の場合でも、衝撃が小さいとき。
(例;コンクリートの壁に約20q/h以下の速度で正面衝突した場合)
・横方向や後方からの衝突、あるいは横転や転覆したとき。