大雪山(旭岳)(北海道)


だいせつさん 標高2290m。

 北海道の屋根である大雪山には2000mを超える峰々が連なってる。 その中の最高峰はもちろん旭岳である。
 筆者はその頂上を十数年前に踏んでいて、 2006年に大雪山を歩く予定はなかった。 ところが、夏になってひょんなことから同行者3人と旭岳を登ることになった。 長年山登りをやっていると、 周りの人たちにも私の趣味が知れ渡っている。 そんな訳で、普段の登山仲間と違った意外な人たちとの山行が実現した。 これはそのときの記録である。
 8月下旬の金曜日にメンバーそれぞれが新千歳空港入りし、 飛行場で全員が勢ぞろいした。 レンタカーでふもとの旭岳温泉まで移動。 この日は快晴で、 夕方、旭岳温泉に向かう途中の忠別ダムからも、 旭岳の赤茶けた山肌がはっきりと見えていた。
 温泉に入って体を休めて迎えた翌朝、 窓から外を見ると雲ひとつない快晴。 天気予報でも雨の心配はない。 ホテルの人の話ではこの2週間ずっと天気が悪かったそうである。 気温は東京に比べるとかなり低い。 早朝は、半袖シャツでは肌寒いくらいだ。 ホテルで朝食を済ませた後、 7時半のロープウェイで姿見駅に登る。 週末のため大勢の人が来ていると予想していたら、 意外と乗客は少ない。 夏休みも終わりに近づき、 紅葉には少し早い中途半端な時期のためらしい。
 ロープウェイ駅から正面に見える頂上を目指してゆっくりと歩き始める。 登山道の脇にはチングルマの果穂が揺れて、 夏の終わりを告げている。 中腹では、風が噴気孔のある地獄谷から吹き付けるため、 強い硫黄の匂いが鼻につく。 地下ではまだ活発な火山活動が行われていることがわかる。 頂上に近づくにつれ傾斜も急になるが、 足場はしっかりしている。 10時前に頂上着。 北海道の最高点だけに景色も雄大である。 前回ここに来たときはガスで景色を見られなかったので、 初めて見る景色が広がっている。 しばし休息と取った後、 下山に取り掛かろうしたら、 同行者からこのまま戻るのはもったいないので、 もっと歩こうという声が出た。 天気の心配はないし、時間も十分にあるので、 間宮岳を通って裾合平経由でロープウェイ駅まで歩くことに決まった。 今回の同行者とは初めての山行なので、 長時間歩くことに多少の不安はあったが、 結果的にはこの判断は正解だった。 もし旭岳の往復だけたったら、 物足りなく思ったに違いないからである。
 旭岳の頂上から見渡した限りでは、 間宮岳にかけて淡々とした道が続きそうに思えた。 ところが、いきなり旭岳からの下りで少々てこずった。 というのもここは砂礫の急斜面で、 ぐずぐずと足元が崩れるのである。 合い前後して下っていた他のグループの若い女性はスニーカーだったので、 尻餅をついたり、斜面に手をつきながら下っていた。
 この斜面を下りきった後は歩きやすい道だった。 間宮岳の広々とした頂上や、 中岳温泉(露天風呂)など変化に富んだコースで歩いていて飽きなかった。 7月頃の花の季節であれば、さぞかし華やかな遊歩道になると思われる場所もある。 しかし、8月下旬のこの季節では、 エゾオヤマリンドウの青い花が目に付いたくらいである。 蝶では、コヒオドシが時折飛んでいた。
 秋も近いし、 もしかしてナナカマドの一部では紅葉がはじまっているのではないかと期待していたのだが、 残念ながらまだ色づいてもいなかった。
 ロープウェイの姿見駅に戻ったのは15時前で、 約7時間の楽しい山歩きだった。
 この次に大雪山に登るときは、 ぜひウスバキチョウの季節に歩きたいものだと思っている。

 山行記録: 2006/08/26 登り50m(姿見駅−頂上)  下り1h05m(頂上−間宮岳−裾合平−姿見駅)

 中腹から噴煙を上げる旭岳を目指す。やがて硫黄の匂いが立ち込めてくる。
 写真はすべて、KONICA MINOLTA DiMAGE A2で撮影した。

 旭岳の頂上。今回のメンバー4人で記念撮影。右端が筆者。

 上は旭岳頂上からの景色。2枚の写真を合成した。
 大雪山とは旭岳を含む2000m前後の山々の総称だが、 こうして周囲を眺めると、 高さのあまり違わないピークがいくつも集まっていることがわかる。
 正面手前に間宮岳、その左後方に北鎮岳が見える。 右端は北海岳、松田岳である。
 それにしても、山は天気が良くなくては面白くない。

 夫婦池に写る旭岳。
 旭岳、間宮岳を回って、 ロープウェイ駅(姿見)近くの夫婦池に着いた頃(14時半)には、 少し雲が湧いていた。

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