長寿寺(鎌倉市) 2011年 10月
 長寿寺(ちょうじゅじ)は臨済宗建長寺の塔頭寺院で、山号は宝亀山。
 1358年の足利尊氏没後、鎌倉公方足利基氏が父の菩提を弔うために建立し、 開山は古先印元禅師と言われている。
 筆者が訪れたのは、2011年10月下旬。 それまでに何度か長寿寺の前を歩いているが、一般公開日でなかったり、時間の都合が つかなかったりで、やっと2011年秋になって拝観の機会を得た。
 境内の一般公開は、春と秋の金土日で、雨天の場合は中止となっている。
 では拝観順路に従って、境内を紹介しよう。
 山門に立つと正面に本堂が目に入る。 その本堂に続く参道の敷石がアクセントになっている。 この直線を基調にした幾何学模様の敷石が作りだす雰囲気が、お寺の隅々まで行きわたった清楚な雰囲気とよく合っている。 拝観する側も、思わず襟を正さざるを得ない気持ちにさせられる。
 順路に従い、まず玄関で靴を脱いでから建物の内部に入る。
 本堂には、ご本尊の釈迦如来像を中心に、古先印元坐像と足利尊氏坐像が安置されている。
 本堂から書院へと建物内部を歩くと、庭園が鑑賞できる。 座ってゆっくりと建物内部と庭園が鑑賞ができるように、緋色の毛氈が敷かれている。 本堂も書院も建物は新しいので、古寺の味わいには乏しいが、 そのかわりにすがすがしい気分になれる。
 建物の外に出ると、次は観音堂の拝観である。 こじんまりとした茅葺屋根のお堂で、聖観世音菩薩立像が安置されている。 説明によると、この観音堂は奈良県の円成寺から多宝塔を改造移築したものだそうだ。
 観音堂を後にし、背後のやぐらにある足利尊氏のお墓を経て庭園内の遊歩道を一巡することになる。
 庭園も印象に残る美しさである。 それは、新しい本堂、方丈との調和から生まれているようだ。
 長寿寺は、手入れが行き届き整然とした境内を持つという点で、鎌倉随一と言っていいだろう。
 写真は、RICOH GX200で撮影。


 江戸時代に作られた茅葺の山門。
 立て看板には、一眼レフによる撮影禁止と表示されているが、 2012年ごろから解禁になったようだ。
2011/10/28撮影

 山門から見た本堂。
 敷石の幾何学模様が目を引く。 整然として、清潔感のある境内を象徴しているようだ。
2011/10/28撮影

 隅々まで手入れの行き届いた清楚な庭園。
 建物のまわりの白い小砂利のうねりは、水を表現しているのかな。
2011/10/28撮影

 観音堂
 この建物は、大正時代に奈良県の円成寺から多宝塔を移築し改造したものだそうだ。
 今の観音堂の形から元の多宝塔をイメージしづらいのは、 多宝塔の初層部分を持ってきたためらしい。
 中に祀られている聖観世音菩薩立像は、ふくよかなお顔ですらりとしたスタイルの像である。
2011/10/28撮影

 観音堂の裏手にあるやぐらには、足利尊氏のお墓がある。
2011/10/28撮影

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