冬の高尾山歩きの楽しみの一つは、
シモバシラというシソ科の多年草の枯れた茎に現れる氷柱(氷花、氷華とも)の観察である。
シモバシラ自体は、高尾山に広く分布しているが、氷柱(氷華)の観察が容易なのは、日中でも日が射さず温度が上がりにくい場所になる。
そういう条件に当てはまるのが、 高尾山の山頂から一丁平に通じる北側巻き道で、氷柱を手軽に観察できる。
下に紹介した写真も、ほとんどが同所で撮影したもので、2013年から2021年の間に撮った写真の中から選んでいる。
シモバシラに出来る氷柱(氷華)の形はさまざまで、2つと同じものはない。
だが、大まかには2つに分類できるようだ。
一つは、茎に沿って氷が上方に細長く形成されるタイプで、下の写真の最上段の2枚がこれに相当する。
このタイプは、冬の初めに現れることが多いようだ。
シモバシラの地上部は枯れているが、茎がまだしっかり残っていて、地中に残った根から水分が上の方まで十分に吸い上げられるためらしい。
ところが、寒さで何回か凍結と融解を繰り返すと、茎が壊れ水分が上方に上がりにくくなる。
そうなると、地中の根からの水は地表近くで茎から染み出しで、氷が横方向に広がりやすくなり、環状なることも多くなるらしい。
それが2つ目のタイプで、下の写真の2段目以下が相当し、氷柱より氷華(氷花)という表現が相応しくなる。
もちろん、これら2つに明確に分けられない場合も多い。
さらに季節が進んで、1月も中旬以降になると、茎の劣化に加え、地面が凍り、氷柱や氷華はほとんど見られなくなる。
筆者の経験では、シモバシラの氷柱や氷華の観察には、12月から1月にかけての寒気が入った晴天の日の午前中が狙い目と言えそうだ。