スラウェシ島(セレベス島)の生活

 Paluに滞在中は、 ホテルを昆虫採集/観察地とを往復する毎日だったので、 スラウェシの人たちの生活を十分に観察する時間がなかった。 それでも移動や採集の合間などに、 いくつかの興味深い光景に出会ったので、 その写真を紹介する。
 一般にスラウェシの人たちは穏やかで愛想がよいという印象を受けた。 カメラを向けても嫌がる人はなく、 ポーズを取ってくれる人が多かった。
 中には見慣れない格好の外国人を、 不思議そうに見ている子供たちもいた。 遊びで外国の田舎まで行ける人間と、 自分たちの生活境遇の違いに不条理を感じていたのかもしれない。
 最新技術の成果物が瞬く間に世界中に広がるものの例として、 携帯電話がある。 ここスラウェシ島でも携帯電話がかなり普及していて、 我々の車の運転手たちも携帯電話を使っていた。 こういう物質面での伝達速度が速い反面、 環境保護への意識はどう見ても高くない。 我々の車の運転手を例にとると、 昼食のお弁当を入れていた発泡スチロールの容器やポリ袋を、 走る車内から窓の外に平気で投げ捨てていた。 このような行為の背景には、 熱帯に住む人たちの自然の回復力への過信があるようだ。
 写真は撮っていないが、Paluの町の近代的なスーパーマーケットも面白かった。 一見すると品物の豊富さといい、整理された展示といい、 日本の中規模のスーパーマーケットの店内となんら変わらないのだが、 同行者が買おうとした傘は売り場の片隅にたった4本しか置いてないのだった。 ここの人たちは傘をあまり使わないらしい。 本当にそうのか雨天になればわかるのだが、 滞在中に雨の日がなく確かめられなかった。 じっくりと見て回ればもっといろいろなことが発見できたかもしれないが、 時間が短すぎた。

[追記]  スラウェシ島から帰って半年が経った7月、 Paluのキリスト教会で女性牧師が銃殺されるというニュースが報道され大変に驚いた。 背後に宗教抗争があると言われている。 一見のどかに見える南国の地方都市にも、 複雑な問題があるようだ。


 2003/12/28 Panekiで見かけた炭焼き。 年配の女性が炭焼きの終わった地面を掘り起こして、残った炭を集めていた。 炭が何に使われるのかなど質問したかったが、 言葉が通じず聞き出せなかった。 日本の炭焼きとの関連があるのかないのか興味がある。

 2003/12/28 Panekiで。 上の写真とは別の場所で行われていた炭焼き。 どうやら地面の中が炭焼き釜になっているらしく、 地中から煙が出ていた。

 2003/12/28 Panekiの近くの集落で出会った市場。 ちょうど日曜の朝に開かれる市場にぶつかったため、 車を降りて見学した。 集まってきた近隣の人たちで路地は大変な混雑だった。 食べ物、雑貨などが所狭しとならんでいる。 特に野菜や果物を初めとする食料品は種類が豊富だった。

 2003/12/28 Panekiの川で遊ぶ子供たち。 日曜のためか、 屈託なく水遊びに興じる子供たち。 この上流ではもう少し年上の大人も遊びに来ていた。
 蝶影もまばらになった午後遅くにのんびりと川を眺めていると、 バッテリーを背にして電気で魚を取ろうという若者たちや、 バイクを川の水で洗う人たちがやってきて 川はけっこうにぎやかだった。

 2003/12/29 Paloloで。 Paloloの周辺はカカオが広く栽培されている。 この家ではカカオの実を庭に並べて干していた。

 2003/12/31 Paloloの奥で。 Paloloからの山道はLake Linduという湖に通じているらしい。 その湖で取れた魚を担いで下ってくる男たち。 なんでも歩いて4,5時間もかかるという話だから重労働だ。

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