解説: 定常波 解説

 

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定常波:

 時間が経っても移動しない波を定常波という。これに対して,時間経過ととともに移動していく一般の波のことを,定常波に対して進行波という。

 定常波がなぜ移動しないかというと,それは各点の振幅が場所によって決まっているからである。
 たとえば下図において,媒質各点は全て同じ振動数(周期)で振動しているが,点$\mathrm{A}$の振幅は$2a$、点$\mathrm{B}$の振幅は$a$,点$\mathrm{C}$の振幅は$0$,$\cdots \cdots$のように,各点の振幅が決まっているとする。
 ここである時刻において,媒質各点はそれぞれ各点の振幅に等しい最大変位をとっていて,波形$(\mathrm{a})$ようになっていたとする。その後時間の経過とともに媒質各点は,振幅の半分の値の変位,変位$0$,負の向きの最大変位,$\cdots \cdots$と振動を続けたとすると,その波形は図の
    $(\mathrm{a})\longrightarrow (\mathrm{b})\longrightarrow (\mathrm{c})\longrightarrow\cdots\cdots\longrightarrow (\mathrm{b}) \longrightarrow (\mathrm{a})\longrightarrow\cdots$
のように変化していく。これを連続したアニメとして描くと,下図の2番目の図のように,横方向に移動することなくその位置にとどまったまま振動する波-すなわち定常波となる。
 ここで大切なことは,定常波では,振幅が位置によって決まっている・・・という点である。




 では,どのような場合にこのような波ができるかを考えてみる。
 各点の振幅は決まっているのであるから,振幅$A$が位置$x$の関数になっていること,つまり$A(x)$と表される。また媒質各点は同じ周期で単振動しているので,媒質各点の変位は同じ周期変化をする時間$t$の関数として表されること,よって $y\varpropto f(t)$)である。
 以上のことより,定常波の一般的な数式の形は以下のように書ける。 \[  y(x,t)=A(x)\cdot f(t)\]  このように,定常波の数式上の特徴は,、座標$x$のみを含む項(因子)と,時刻$t$のみを含む項(因子)とに分離され,その2つの積の形になることである。
 さて,このような波は1つの単独の波では決してみられない。ではどのような場合にこのような波ができるのだろうか?
 それは,振幅,波長,振動数の等しい波が互いに 逆向きに進んだときにのみ見られるのである。この様子を,下のアニメで示してある。


 つぎにこれを,数式を使って示してみよう。
 $+x$方向に進む波を$y_1(x,t)$,$-x$方向に進む波を$y_2(x,t)$とし,その合成波を$Y(x,t)$とすると,\[  +x方向の進行波: y_1(x,t)=a\sin\bigg(f\,t-\bun{x}{\lambda}\bigg) \\-x方向の進行波: y_2(x,t)=a\sin\bigg(f\,t+\bun{x}{\lambda}+\delta\bigg) \quad(\delta :初期位相差 )\\\therefore Y(x,t)=y_1(x,t)+y_2(x,t)\\   =a\sin\bigg(f\,t-\bun{x}{\lambda}\bigg)+a\sin\bigg(f\,t+\bun{x}{\lambda}+\delta\bigg)\\   =\underline{2a\cos\bigg(\bun{2\pi}{\lambda}x+\bun{\delta}{2}\bigg)}_{ア}\times \underline{\sin\bigg(2\pi f t +\bun{\delta}{2}\bigg)}_{イ}\\    =A(x)\times f(t)\] となり,逆向きに進む2つの波の合成波が定常波の数式の形になることが分かる。ただしこのとき,2つの波の振幅も等しい必要があり,振動数・波長が等しくても振幅が異なる場合,合成波は移動していくように見え,定常波にはならないことに注意。
 定常波の振幅は上式(ア)の項の絶対値として表され,\[  定常波の振幅: |A(x)|=2a\bigg|\cos\bigg(\bun{2\pi}{\lambda}x+\bun{\delta}{2}\bigg)\bigg|\] $A(x)=0$となる点を定常波の,$A(x)=max$となる点を定常波のという。



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