解説:放物面鏡による反射

 

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放物面鏡による反射:


 放物面鏡による反射については,入試問題にもときどき出題されることがある。
 ここでは,東京農工大の出題例(要旨)をもとに解説します。

 ***【問題要旨】***

(1)

 図1のような凹面鏡MONに平面波が入射し,反射後,波がすべて $y$ 軸上の点G $(\, 0, \, b \,)$ に集まるときの凹面鏡MONの形状に関する関数を求める。凹面鏡MONは $y$ 軸に関して対称であり,平面波は $y$ 軸に垂直な波面をもって $y$ に沿って入射するものとする。平面波が反射後点Gに集まるということは,一つの波面上の各点から出た波は,凹面鏡で反射後,点Gに同時に達する,つまり波面上の各点から点Gに達する時間が等しいことを意味する。
 いま,ある瞬間における一つの波面W上の点S $(\, x, \, d \,)$ から出た波が凹面鏡の点P $(\, x, \, y \,)$ で反射後点Gに達する時間 $t$ は,波の速さを $c$ として, $t=\waku{(ア)}$ である。また,同じ波面W上の点 $\mathrm{S}_0(\, 0, \, d \,)$ から出た波が$\mathrm{S_0}$→原点O→Gの経路で点Gに達する時間 $t_0$ は, $t_0=\waku{(イ)}$ である。両者を等しいとおくことによって,凹面鏡MONの形状に関する式が求まる。凹面鏡MONの形状は\[y=\waku{(ウ)}\]を満たす。
(2)

 上記(1)で求めた凹面鏡MONが図2のように置かれている。また $y$ 軸上には小さな物体ABが $y$ 軸に垂直に置かれている。物体ABの凹面鏡MONによる像を作図する方法について述べよ。ただし,点G $(\, 0, \, b \,)$ は与えられているものとする。


 解 答:

(1) (ア) \[\kern -1em t=\bun{\overline{\mathrm{SP}}+\overline{\mathrm{PG}}}{c}\\ = \color{blue}{\bun{(d-y) + \kon{x^2 + (b-y)^2}}{c}} \] (イ)\[\kern -1em t_0=\bun{\overline{\mathrm{S_0 O}}+\overline{\mathrm{OG}}}{c}\\ = \color{blue}{\bun{d + b }{c}} \] (ウ)  $t_0=t$ より,\[\kern -1em \bun{d + b }{c}= \bun{(d-y) + \kon{x^2 + (b-y)^2}}{c}\\ \therefore (b+y)^2= x^2 + (b - y)^2\\ \therefore 2by=x^2 - 2by \\ \therefore \color{blue}{y = \bun{1}{4b}x^2}\quad \cdots\cdots (放物線) \]  点Gは,この放物面の焦点にあたる。すなわち,放物面鏡に中心軸に沿って入射した平面波は,すべて放物面の焦点に収斂すことになる。パラボラアンテナは,この原理を利用して,遠方からの電波(ほとんど平面波となっている)を焦点に置かれた検出器に集めていることになる。
 逆に,焦点の位置から射出された波は,放物面鏡に反射後,平面波となって出ていくことになる。
(2)

 $\maru{\mathrm{a}}$ 点Bを通り $y$ 軸に平行な光線は,放物面鏡に反射後点Gを通る(上図の赤線)。
  $\maru{\mathrm{b}}$ 点Bを通り原点Oに向かった光線は,反射後,対称性により $y$ 軸に関して対称な方向に向かう(上図の青線)。
 以上,2つの光線の交点Dの位置に物体ABのBの像ができるように作図する。

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