断熱変化の分子運動モデル

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操作法:「Start/Stop」ボタンを押して、運動を開始させ、次いで「ピストン移動開始」ボタンを押してください。
下のスクロールバーで、左から順に、体積、分子初速(これは初期の温度と考えてもよい)、粒子数(分子数)、の設定変更ができます。設定変更は、まず「Start/Stop」ボタンを押して動きを止め、スクロールバーで設定を変えてから「Reset」ボタンを押し、もう一度「Start/Stop」ボタンを押して下さい。
粒子数は多いほど理論値に近くなりますが、パソコンに負荷がかかり過ぎないように、パソコンの能力に合わせて適当に設定してください。分子初速も速いほど理論値に近くなります。なお赤い粒子は、動きを見るための目印用粒子です。


 熱の出入りのない変化を断熱変化といいます。
 上のアニメは、気体を断熱変化させたときの分子の動きを、20-150個の質点でシミュレートしたものです。
 理想気体の内部エネルギーは分子の運動エネルギーの総和であり、これは温度に比例します。つまり温度は、気体分子の運動エネルギーの総和の大小を表す量と考えることができます。ピストンを移動させるとピストンに衝突した分子の速度が変化し、したがって分子の運動エネルギーが変化し、温度が変化していきます。下のグラフは、オレンジ色の点線で示した曲線が理論値で、ポアソンの式 を単原子分子に適用したものです。分子数が適当に多いと、シミュレーションは理論値にかなり近い変化を示します。左のグラフは、それぞれx 、y、z方向の速度成分に基づく運動エネルギー、および全エネルギーのそれぞれ初期値に対する変化率を示します。
 本シミュレーションは、3次元で扱っています。容器の奥行きは、容器の高さと同じ寸法(図の縦の長さ)で設定してあります。
 分子とピストンおよび分子同士の衝突は弾性衝突です。ピストンとの衝突によって速度変化するのはx方向(シリンダー方向)の速度成分で、その分子のx方向の速度成分に基づく運動エネルギーが変化しますが、分子同士の衝突によって他の分子の、しかもy方向、z方向のいずれの方向にも配分されていきます。
 このように、気体分子は絶えず衝突を繰り返すことによって、全体的な均一化が起きているのです。目印用に1個だけ赤色の粒子を作っておきました。この粒子で、衝突の頻度が確認できます。なお、粒子の大きさが少し変化しますが、これは奥行き、遠近感をつけるために・・・と考えた処置ですが、効果のほどはイマイチです・・・(-.-)!