虹はどの方角・方向に見えるか?

ビジュアル物理へ    トップページへ    新潟大問題 
 虹は夕方の雨上がり、夕立の直後などに現れることが多いですが、なぜ夕方なのでしょうか。  
 虹は太陽光が雨滴内で屈折と反射をすることによって生じますが、前方に雨が降っていて、背後 から強い太陽光線が水平に近い角度で差し込むといった条件が整ったときにしか見られません。雨 雲は西から東に移動することが多いので、雨が通り過ぎた直後で前方とは東、その背後つまり西か ら日が差す時刻、したがって夕方、ということになります。
 では、虹は何度の方角に見えるのでしょうか。
 普通に見えるのは主虹で、雨滴内で2回の屈折と1回の反射を起こした光線によって生じ、仰角(見上げたときの角度、正しくは虹を見込む角度−虹の視半径)約42°の方角に見えます。虹の外側は赤色、内側は青色になり、要するに「虹の七色」になります。このように色がつくのは、光の屈折率が光の色、つまり波長によって違うためです。プリズムに光が入射すると七色に分離するのと同じです。このように、波長によって屈折率が異なるために起きる現象を分散といいます。
 さらに条件の良いときには、主虹の外側にもう一本、やや色は薄いですが、虹が見えることがあります。この虹を副虹といい、色の配置は主虹とは逆に、外側が青、内側が赤になっています。副虹は、雨滴内で屈折を2回、反射を2回起こすことによって出来ます。
 下図は、雨滴内での光線の経路を模式化したものです。マウスで入射光線の位置や屈折率を変えることができます。左側のグラフは、入射光線と雨滴中心線との距離(衝突径数)をいろいろ変えたときの散乱角(雨滴からの屈折光線が太陽光線に対してなす角度)の変化を示したものです。これが極大値もしくは極小値を持つ付近では衝突径数が多少変化しても散乱角はほとんど変化しませんね。ということは、この散乱角の方角からは他の散乱角からよりも相対的に多くの光がやって来ることになり、全体としてこの方角に強い散乱光が見えることになります。これが虹です。太陽光線にたいして、主虹では約42°、副虹では約50°の角をなす円弧(アーチ)状に見えます。
 しかし、これは雨水の屈折率が大体1.33ぐらいの場合のときで、かりに屈折率がちょっと小さくて1.3ぐらいだと主虹と副虹の位置は逆転してしまいます。屈折率コントロールバー(図の最下段)で屈折率を変えてみることで確認できます。

操作法 :
 衝突係数変更:入射光線(水平な白線)上の白い丸をマウスでつまんでドラッグしてください。入射光線の位置が変えられます。
 屈折率変更:最下段の黄色の横線の先端付近をマウスでドラッグしてみてください。


主虹、副虹はどのような屈折・反射をしているか?


 主虹は図1のような反射・屈折により、また副虹は図2のような反射・屈折によって出来る。地上にいる人間が虹を見るには、雨滴によって反射・屈折をした光線は上方から来なければならないので、主虹は雨滴の上半球部分から入射した光線が、また副虹は雨滴の下半球部分から入射した光線によって出来ることになる。

◎主虹:

◎副虹:



主虹、副虹の色の配置はどうなっているか?

 衝突係数と仰角(散乱角)の関係は図3のようになる。

 雨滴に対して太陽光線は満遍なく入射するので、衝突係数は雨滴の直径分に等しく分布している。しかしこのグラフから分かるように、散乱角が極値を持つ付近では散乱角はあまり変化していない。すなわち、衝突径数がこの近辺の値を持つ光線はほとんど散乱角が近い値をとることになり、光の強さが他の散乱角の方角より強くなる。結局虹はこの方角の空に見えることになる(計算式はここをクリック)。
 水の屈折率は約1.33であるからこの数値を使って計算すると、主虹では赤色の帯は散乱角約42°、紫は約40°、副虹の赤色の帯は約50°の方角になる。なお、波長が短い光ほど屈折率は大きいので(屈折率は赤→黄→緑→青→紫の順に屈折率は大きくなる)、前式でβが小さくなり、したがって主虹では青色の光の散乱角は小さくなり虹の内側に、副虹では散乱角が大きくなって虹の外側に青色が現れる。
 もう一点注目すべきことがある。主虹と副虹の間がやや暗くなっているように見えるのである。副虹まで写った写真がないので、参考のために先の写真を見ていただきたい。主虹の下方と副虹の上方が白っぽくなっているのに対して、主虹と副虹の間には全く散乱光がなく、背景のフェンスがはっきり写っている。これは、主虹と副虹の間では、雨滴からの光が来ていないことを意味する。
 この理由は、図3のグラフから次のように説明できる。(主虹のように)雨滴内で2回の屈折と1回の反射で出てきた光線は衝突係数の値にかかわらずすべて42°以下の方向に散乱され、(副虹のように)2回の屈折と2回の反射をして出てきた光線はすべて50°以上の方向に散乱されてしまう。したがって、いずれの場合であっても42°〜50°の方向に散乱される太陽光線はないことになる。したがって、主虹の下方がやや明るいのに対して、主虹と副虹の間では雨滴からの光は見られないのである。



虹はなぜアーチになって見えるか?


 太陽を背にしているとき、平行な太陽光線に対して主虹は約42度の方角に見えるのだから、観測者を中心として、上方向ばかりだけでなく右方向にも左方向にもすべての方向について42°の方角に虹が見えることになる。1点を中心に左右上(下)に等しい角度で遠方に点を取っていくと、円弧ができる。つまり、虹は円弧(アーチ)状に見えることになる。なお、太陽の高度が高い(太陽光線が斜め上方から差し込むとき)と、図4(b)のように虹の面は地面に垂直でなく少し傾くので、虹の高度は低くなって、その分虹は少し小さ目になる。