円形波の干渉と干渉条件

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1.行路差による干渉条件

 

 

\includegraphics[scale=1.2]{setumei-1-1.eps}
 
 上図において、$S_1$$S_2$は振動数$f$の点波源で、これらを中心に波長$\lambda$の円形波が広がっているとする。このとき、$S_1$$S_2$からそれぞれ距離$l_1$$l_2$ずつ離れた点Pにおいてこれら2波源からの波が強め合うか弱め合うかを考える。
 $l_1>l_2$と仮定する。$S_1$$S_2$からは次々と波が送り出されている。ある時刻に、$S_1$$S_2$から同時に出発した波の山「1」のうち、$S_2$からの山「1」が点Pに届いたとき、もし $l_1-l_2=\lambda$であったとすると、$S_1$からの波の山「1」は点Pより$\lambda$だけ手前の点Qの位置にある。したがってその1周期後に点Qにあった$S_1$からの山「1」が点Pに達し、このとき$S_2$からの山「2」が点Pに届く(1周期分先行)ので、点Pでは$S_1$$S_2$からのともに「山」が重なることになり、2つの波は強め合う。一般に、 $l_1-l_2=n\lambda \quad(n:整数)$ならば、点Pにおいて$S_1$からの山「1」は$S_2$からの山「$n$」と出会い($n$周期分先行)、2つの波は強め合う。これは谷同士で考えても同じことである。
 しかしもし $l_1-l_2=0.5\lambda$だったとすると、$S_1$からの山「1」が点Pに達したとき$S_2$からの谷「1'」がPに届くので、2つの波は弱め合うことになる。一般に、 $l_1-l_2=(2n+1)\bun{\lambda}{2}\quad(n:整数)$ならば、点Pにおいて$S_1$からの山「1」は$S_2$からの谷「$n'$」と出会い、2つの波は弱め合うことになる。
 また、もともと$S_1$$S_2$間に$\pi$の位相差がある場合、$S_1$から「やま」が出ていくとき$S_2$からは「谷」が出ていくので、上記の関係は逆になる。以上より、干渉条件は以下のようにまとめられる。。
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1゜ $S_1$$S_2$に位相差がないとき:

\begin{displaymath}
\vert l_1-l_2\vert=
\left\{
\begin{array}{rl}
\!\!\!\!\!\!...
...bun{\lambda}{2} \cdots\cdots 弱め合い \\
\end{array} \right.
\end{displaymath}

2゜ $S_1$$S_2$$\pi$の位相差があるとき:

\begin{displaymath}
\vert l_1-l_2\vert=
\left\{
\begin{array}{rl}
\!\!\!\!\!\!...
...bun{\lambda}{2} \cdots\cdots 強め合い \\
\end{array} \right.
\end{displaymath}

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2.節線について

 

\includegraphics[scale=0.7]{setumei-3.eps}
\includegraphics[scale=0.7]{setumei-3.eps}
2つの点波源から送り出されていく円形波が干渉すると、かなり複雑な波紋ができる。この様子の一例を上のアニメで示してある。このとき、全く振動しない点(振幅0の点)を結んだ線を $\textcolor{red}{節線(せっせん)}$という。節線は双曲線もしくは直線をなす。以下にこれを示す。
上図のように、節線上の1点をPとする。このとき節線上では振幅が0であるから、先に述べた干渉条件の式を使うと、次のようになる。ただし、ここでは2波源$S_1$$S_2$は同位相で振動しているとする。

\begin{displaymath}\vert \overline{\mathrm{S_1P}}-\overline{\mathrm{S_2P}} \vert=(2n+1)\bun{\lambda}{2} \end{displaymath}

1本の節線はある同じ$n$に対する弱め合いの点を結んだ線であるから、1本の節線上では$S_1$$S_2$からの距離に差が一定値をとる。2点からの距離差が一定値をとる曲線は双曲線か直線である。
では次に、節線が何本できるかを考える。$S_1$$S_2$からの円形波を直線 $\mathrm{S_1S_2}$上で見ると、この直線上では$S_1$$S_2$からの波が逆向きに進んでくるので、この線上には定常波ができている。節線は振幅0の点を結んだ曲線であるから、当然直線 $\mathrm{S_1S_2}$にできる定常波の節の位置を通っているはずである。したがって節線の数は、直線 $\mathrm{S_1S_2}$にできる定常波の節のかずに等しい。つまり節線が何本できているかは、直線 $\mathrm{S_1S_2}$にできる定常波の図を描いてみて、その節の数を数えればよいことになる。
節線数 $= \mathrm{S_1S_2}$上にできる定常波の節の数