野菜はうまいぜ！

　翌日は柳もだいぶ調子が出てきてラサの空はコバルトブルー、俺達も気分壮
快、ポタラ宮殿も山々も町並みも輝いて見えたね！
偉い坊さんはダライラマと一緒にインドに亡命して寺院はあれてると聞いてき
たけど、確かにそんなとこもあったが、このなにもない空気の薄い辺鄙な所に
良くもまあ立派なのを……
寺院の中は、敬虔な仏教徒のチベットの人たちで溢れ、ヤクのバターの灯明が
暗い寺院の中を幻想的に演出して、無信心な俺も仏教の偉大さに圧倒されてし
まったが、バターの灯明は一種独特のにおいで柳の体にはきつかったみたい。
その晩もまたまた例のカラオケに行ってしまって、まったく俺達はいったいチ
ベットになにしに来たの。

翌朝、またまた気分も天気も絶好調、飯もうまいチベットの野菜は絶品だよ、
ジャガイモもナスもトマトも日本の３分の１くらいしかないと言うより育たな
いんだけど太陽に一番近く気温の差の激しいところで育った野菜は唖然とする
くらいうまいんだ、柳は食べなきゃ体が持たんぜと言ったが高山病の体には食
事も受け付けないらしくおれ達の食べる姿をボーっとして見ていた。
水量に恵まれ堂々として流れている川にはかなりの魚が居るはずなのに、魚は
不浄の物で食べないんだ。
チベットの人たちはバター茶にパサ（青麦の粉みたい）の食生活のせいで寿
命はビックリするほど短いんだぜ。

山を削り断崖絶壁を作りチベット山脈の水を運ぶ川、その断崖絶壁を人一人が
やっと通れるような道を延々と移動している人たち、また激流をヤクの皮のボ
ートで渡る人たち
ラサの北の青海湖の周辺から流れ出した川は黄河に達しているという。さなが
ら上空から見た川は龍のごとくうねり狂っているのだろう。この川はどこに流
れているのだろう。
ラサに生きる人々の・信仰に生き信仰に従い果てる人生・圧倒される！！！
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