桃源社
昭和36年6月30日発行
269ページ 280円
装幀:三井永一
★ 書き下ろし
函に記載の「作者のことば」
一度機会があったら、新劇の世界の事
件を、中村雅楽という歌舞伎俳優が推理
したケースを書いてみたいと思っていた。
雅楽自身は、現場を見もせず、関係者に
会いもせず、ただ談話の聞き書を手がか
りに、考えるわけだ。
雅楽によって演劇史上の大事件の再検
討を試みさせたいと前からぼくは思って
いる。雅楽の好奇心が老いてますます旺
盛なあいだに、それをさせたい。しかし
この物語の出来事も、雅楽にとっては、
ひとつの演劇史だったともいえるようで
ある。
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