ち り か ら こ ろ と、ちってしまいそうなこと    

                    

6月                     HOME

 

まど・みちおさんが好きだという

「プラテーロとわたし」を読みながら

母の家に行くと、

 

午前10時の電車は明るくて

まどさんとろばのプロテーロと私と、

いっしょに揺られています

 

ごとんごとん、

一人おりたり 二人のったり

誰ものりおりしない駅では

田んぼの風がのってきます

 

プロテーロ、道のりはながいのよ

お腹がすいたら途中下車しましょう

駅長さん一人のその駅は

プラットホームから首をのばせば草ぼうぼう

 

雨上がりの草を食べているあいだ

まどさんは駅長さんとお話しを

私はくちなしを一輪いただいて

プロテーロのたてがみにかざります

 

うつらうつら

時には乗りすごしたり、

あわてて手前でおりてしまったり

そんな日もありますが、

 

今日は まどさんの声で目がさめました

「ごらん、虹がでているよ

プロテーロ、きみならあの橋をわたれるね」

まどさん、私もつれてってください

 

おばあちゃんの町です。

駅から坂道がつづきます

あら、これは虹の橋?

 

まどさんは、だいじょうぶかい、と

プロテーロの肩に手をおきます

プロテーロは、ぽく、ぽく、とうなづきます

私は、ぷらんぷらんと揺れるシッポについていきます

 

ふりかえると川にそって松並木があって

その先に海が、あったはずですが

今では広い平らな土地が造られて

ちっぽけな海が空にくっついています

 

さあ、つきました

おばあちゃん、遅くなってごめん、ごめん、

すぐにお昼のしたくをするからね

まどさん、プロテーロにお水をあげて

そして、おばあちゃんとお話ししていてね

6-15

 

 

 

6月は

みどり みどり

みずいろ みずいろ

 

雨がふると

みろり みろり

みるいろ みるいろ

ろろ ろろ ぽろん 

と、なる

 6-11

 

 

 

木を切った

伸びすぎたからって

 

拾った実を土に埋め

おおきくなれ

おおきくなれ、と育てたのに

 

木は空をめざして伸び 

葉は光を透して

サラサラと鳴ったのに

 

木を切った

伸びすぎたからって

 

わたしのすることって 

こんなことね

 

せめて いのっている

空が切り口まで下りてくることを

5-11

 

 

 

ドクとダミ

なんという響き

 

そんな名前と 

知っているの?

 

白に白を重ねて 

真っ白に咲いて

 

雨にもにじまない

生命が匂っている

ドクダミよ

 

6-8

 

 

 

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